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tarupo789
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鉄✖️女✖️拳


『青蓮寺高校三年、怜禅院選手対、

沼野高校3年生、冴木選手の試合を開始します』


「両者、前へ。」


「・・・」


「・・・」


レフェリーの説明を小耳に挟みながら、

お互いの視線が沈黙のうちに絡み合う。

相変わらずニコリともしない、まっすぐで真剣な眼差し。


青グローブを身につけた彼女は冴木恵子。

盛岡市のよくわからない無名の高校出身。

スポーティーで短めの短髪。気の強そうな顔つき。

去年より少し体が大きくなったような気がするが、、、

それ以外は全く同じ光景だ。


・・・そしてこれからの展開も同じだろう。

去年の高2の大会を思い出す。







国内随一の伝統あるエリート高校、青蓮寺高校。

天才達が集まる中、私ももれなくその1人だった。


勉強も大事だけど、ストレス発散として片手間で始めたボクシング。

そもそも男の子を相手にするわけじゃ無いんだから。

必要な体力をつけて、パターンを学んで。

本番で少し頭を使えば簡単に女の子なんて殴り倒せる。決勝戦くらいは余裕だ。


そこで対戦したのが冴木さん・・彼女だった。



最初に彼女と闘った印象は “才能不足” 。

基礎的な身体能力は素晴らしいが、対人戦闘における絶望的なセンスの無さ。

いや、光るものはあるが、それを運用しきれない要領の悪さか。


ずる賢さの無い、実直で素朴な闘い方から、よほど真面目な性格なのだろう。

が、、、そういうのが一番扱いやすいのよね。

ボクシングって残酷なスポーツだから。


一方的な試合内容で3ラウンドにTKO勝ち。

この程度で決勝の選手かとレベルの低さに拍子抜けしたものだ。

対角の青コーナーで、鼻血を拭いながら肩を震わしていた彼女を思い出す。


彼女にしてみれば学力もスポーツも、

生まれも才能も、全て上の同じ人間に負けるなんて屈辱の極み。

大きな挫折を味わったことだろう。

ベルトを巻きながら少し同情したのを思い出す。


彼女は二度とリングに上がることはないだろう。

そう思っていたから・・

まさか一年後、同じ舞台で巡り会うことになるなんて本当に驚いた。



声に出して聞きたい。

『なんでそんなに頑張れるの?』

どうせ無駄なことなのに。






「では、両者正々堂々と試合に臨むように。

1分後に試合を開始します」


互いにグローブを強めに突き返しコーナーに戻る。


「去年と同じ子か。高校最後の試合としては面白いとは言えないな。

まあいい。

去年と同様気負わなくていい。リラックスしていけ。」


「はい、コーチ」


この夏が終わればすぐ受験だな。

口に合わないマウスピースを舐めまわしながら、ゴングを待った。








___


_______


_____________








「シィ!」


バグッ!!!


「・・・ッ!」


鋭い風切り音と、鼻っ面をがつんと走る衝撃。

パンチを放とうとガードを開けたタイミング、

そこに合わせるよう叩き込まれた彼女の拳で、膝ががくりと崩れる。



『冴木選手、去年の雪辱をぶつけるようだ!

気持ちの入ったパンチ!怜禅院選手の顔面を叩き潰します!

怜禅院選手、だいぶ顔が腫れていますね・・』


「はぁ・・はぁ・・・」


ダウンはダメ。

死ぬ気で相手に組み付く。

互いの迸る汗を共有するようだ。


無様に飛び散った私の血で、汚れた冴木さんの身体。

序盤に多少打ち込んだものの、

今ではなすすべなく、リング上で犯されるように、冴木さんのパンチを一方的に貰っている。


殴られる経験のない私が、こんな状況で冷静になれるわけない。


顔が熱い。ひどい腫れだ。

どくどくと溢れ出す熱い鼻血。

すごく無様な顔をしているだろう。


・・・パンチってこんなに痛いんだ。

知らなかった。


「ブレイク!離れて!」


彼女の実直な闘い方は去年から全く変わってない。

それなのに・・!


パンチの速さ、正確さ、判断力。

全てのステータスがそのまま、去年から信じられないほど向上している。

センスの無さ、才能のなさを補って有り余るほどに!


ドスっ!ドゴっ!


「おごっ・・ッ」


左のフックとボディのワンツー。

ボディにめり込む硬い弾丸が、私の胃の内容物を捻り出す・・!


「おぇっ・・・!!!」


こんなの。。女の子のパンチ力じゃない。

まるで男性のプロボクサーを相手にしてるみたいだ。


『ダウン!怜禅院選手、ボディで屈辱のダウンです!

さらにポイントで差をつけられてしまいました!

カウントが入ります__』


両手をあげてニュートラルコーナーへ向かう背中。

その筋肉質な背中が涙で霞む。


とんでもない努力をしたんだ。

この体でその積み重ねの差を、”言葉通り“、痛感する。


なんでそんなにまっすぐ頑張れるんだろう。

何にも持って無かったくせに・・

報われるかもわからないのに・・・なんでそんなに努力できたのよ・・!


悔しい。

本当に悔しいけど。

今、この試合は・・私が挑戦者なんだ。


「・・カウント止めなさいよ・・

まだ闘えるんだから!」


でも、認めない。

私のプライドが全力で否定したがってるの。

あんたの努力を!


だから絶対、あんたなんかに負けないんだから!!!








↓差分









いつもご支援ありがとうございます。

こういうリアル系な絵柄、受けが悪いのわかってても楽しくて書いちゃうんですよねー。。

鉄✖️女✖️拳 鉄✖️女✖️拳 鉄✖️女✖️拳 鉄✖️女✖️拳 鉄✖️女✖️拳

Comments

The gloves and face punches are erotic, fantaric work.

natsulucy

Nice work, trying out new things and realistic boxing is good to develop new styles

sakata

thanks. I’ll give it try, if I have plenty of time…

tarupo789

負ける赤グローブの彼女も、この経験をもとに自分を見つめ直します・・

tarupo789

よりリアルに!

tarupo789

お疲れ様です!ありがとうございます。 スポーツに限らないですが才能とか努力とかってすごく魅力的なテーマだと思っていて、生身で一対一で優劣をつけるボクシングはこの上なくそのテーマにエロくフィットする気がします!

tarupo789

Oh! Thanks. I think so too.

tarupo789

Still hope you make manga like nae vs sho again

Zikra rizki

才能がないと思っていましたが、実はすごい才能があったんですね!

qwer

リアルなボクシングが本当のボクシング!

불주

投稿お疲れ様でございます!! とても素敵なイラストと重厚なストーリーをありがとうございます! 去年勝ったからと言ってその子が努力をしてこないわけがない…才能に胡座をかいたらどうなるか、極限までの努力が試合を変える結果に繋がるということを表していてとても素敵でした!

ジェネラルAA

Realistic works are still great!

mbc


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