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桜梅桃華@女装・TSF小説
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男の娘のための性別矯正下着:11

消えゆく男としての自分

部屋に入った瞬間、若干のたばこ臭さが鼻につく。

シンプルなラブホテルの一室なのに、今の俺にとっては別の意味を帯びて見えてしまう。


「……入って」

彩音がドアを閉め、バッグをソファに置く。


俺と高橋は、互いに視線を合わせられず、所在なげに立ち尽くしていた。

ついさっきまではファミレスのボックス席で緊張していたのに、今はもっと狭く、逃げ場のない空間。心臓の音が大きすぎて、相手に聞かれそうだ。


「二人とも、そんなに固くならなくていいんだよ」

彩音は軽やかに笑って、ベッドに腰を下ろした。

その仕草だけで、まるでこの部屋の支配者みたいに見える。


「……あの、相川さん」

隣で高橋が小さな声を出した。ワンピースの裾をぎゅっと握りしめ、少し躊躇いがちな仕草。


「ん?」


「あの……“高橋”って呼ばれるの、やっぱりいやなの。よそよそしい感じがして……。わたしの名前は“尚紀(なおき)”っていうんだけど……今は“ナオ”って呼んでほしいな」


頬を染め、俯きながら言う。

その声音は確かに女の子のもので、俺の胸を強くざわつかせる。


「ナオ……」

試しに呼んでみると、彼女――いや、“ナオ”はぱっと表情を和らげ、微笑んだ。


「うん、それがいい。……もうわたし、男の頃の自分じゃないから」


その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。

ナオは完全に“女性になった自分”を受け入れている――。

俺はまだ認めきれないのに。


「……わかった。じゃあ、ナオ」

口にすると、ナオは少し恥ずかしそうに笑って頷いた。


「ありがとう、……“優斗くん”」


その笑みは、完全に女の子のものだった。



「……ねぇ、優斗くん」

彩音がこちらを伺うように言った。


「せっかくだから……優斗くんも、“優ちゃん”って呼んでいい?あと、その見た目で“俺”って呼ぶのもやっぱりおかしいし……“私”に変えちゃおうよ」


「え……あ、あの……」

思わず後ろに下がりそうになる。自分の呼び方を変えるなんて、ちょっと抵抗がある。

でも視線を横にやると、ナオが微笑みながらこちらを見つめている。


「……ナオも、そうしてるんだよね」

俺も……いや、私も優として……女の子の自分を受け入れた方が自然なんじゃないか――そんな気持ちが、ふわりと湧き上がる。


「わかった、優……で、いいかな?私……」

ぎこちなく言葉を吐く。声が少し震えてしまう。


「うん、それでいいよ。可愛い……」

彩音がにっこり笑い、私の頭に軽く触れる。


「ほらね、自然でしょ?二人とも女の子なんだから、優ちゃんも変にこだわらなくていいんだよ……」


「……あ、うん……」

頷きながら、胸の奥にじんわりと熱が広がるのを感じる。

ナオの隣に並び、同じ女の子として呼ばれることで、少しずつ心も身体も落ち着いていく。


「優ちゃん……」

彩音が名前を呼ぶたびに、妙に甘い感覚が胸に残る。


「……はい……」

私も、自然と返事をする。

もう、“元男”の自分は遠い。今は優として、ナオや彩音と同じ時間を過ごす――そう実感していた。



「せっかくだから、二人とも鏡の前に並んでみなよ」

ベッドに寝転びながら、彩音が楽しそうに言う。


「えっ……」

私は思わず声を詰まらせた。

しかしナオは小さく息を整えてから、真っ直ぐに鏡へ歩み寄っていく。


「……一緒に」

振り返り、私を手招きする。

拒めなかった。私もナオの隣に立つ。


全身を映す姿見に、二人並んだ姿が映った。

ワンピース姿のナオとショートパンツ姿の私。

肩の高さも、体つきも大きく変わらないのに、纏っている雰囲気はまるで違っていた。


「ほら、優ちゃん。もうわたしたち、“女の子同士”にしか見えないよ」

ナオは自分の髪を触りながら、恥ずかしそうに笑った。


胸の奥が強く脈打つ。

その笑みは、同性のそれじゃない。私を試すような、誘うような――。


「ほら、もっと近づいて」

彩音がベッドから声をかける。

まるで演出家のように。


私たちは少しずつ距離を縮めた。

ナオの手がそっと、私の指先に触れる。

その瞬間、電流が走ったみたいに背筋が震えた。


「……あったかい」

ナオが小さく呟く。

私も無意識に指を絡め返していた。


鏡越しに視線が絡み合う。

男同士だった頃には決して交わらなかったまなざし。

今は互いに、女の子の姿で――。



「ねぇ、ナオ」

呼ぶと、ナオの肩がびくりと震えた。


「……ん」

震える声で返事が返ってくる。


気づけば私たちは、息が触れ合う距離にいた。

どちらからともなく、唇が重なった。


「二人とも可愛いよ……」

彩音の囁きが背後から響く。


私たちはすぐに顔を離すことができなかった。

ナオの吐息が頬にかかり、心臓が壊れそうなほど打ち続けている。


「わたし……男だった頃からずっと、誰かに女の子として見てもらいたかったの」

ナオの瞳が潤み、まっすぐに私を射抜いた。


「……私は……女の子の服に興味があったの。姉ちゃんの制服を着たり……でも本当は女の子になりたかったのかも……」


言葉がこぼれた瞬間、再び唇が重なり、今度は深く溶け合った。

指先から、胸の奥から、すべてが熱に飲み込まれていく。


彩音はスマホを取り出してカメラを向けていた。


「二人とも素敵……ほら、そのままもっと……」

挑発する声に煽られ、私たちは止まれなくなった。

鏡の中で絡み合う姿は、とても元男同士とは思えない。


ナオの吐息が、私の耳元で甘く震えた。


「優ちゃん……もっと、わたしを呼んで」


「ナオ……」

名前を呼ぶたびに、彼女は身を震わせる。


私たちは、もう男には戻れない……多分。


彩音の笑みが視界の端に映った。

その笑みは満足そうで、まだ何か企んでいるようにも見える。


けれど今の私には、もうどうでもよかった。

ただナオの体温と、甘い声と、女の子としての彼女の全てに溺れていくだけだった。



ナオの唇が柔らかく、私の唇を捉える。

深く、重なり合うたび、女の子の身体がもたらす甘い痺れが全身を駆け巡る。

互いの息が混ざり、熱が一気に高まる。


「……優ちゃん……わたし……女の子の身体になってからは……毎日一人で……」

ナオの声が震えながら、私の耳元で響く。


私もナオの背中に腕を回す。


「私も……ナオと同じ。女の子の身体って本当に気持ち良くって……」

キスが激しくなり、舌が絡み合う。


ナオの手が私のショートパンツのボタンを外し、ショーツ越しに秘部に触れる。

その感触だけで、身体の芯が溶けそうになる。


「……あっ……ナオ、そこ……っ」

声が自然に漏れる。


さらに、ナオの指が優しく、でも大胆に私の胸を撫でる。

女の子同士の、激しい抱擁。


男だった頃の記憶が遠のき、今はただ、この熱に身を委ねる。

ナオが私の首筋に唇を寄せ、軽く吸う。


「優ちゃんの肌、柔らかくて……熱いよ」

その言葉が、私の欲望をさらに煽る。


私はナオの肩を押し倒すようにベッドへ導く。

二人が重なり合い、互いの身体を求め合う。

指先が互いの秘部を探り、甘い吐息が部屋に満ちる。


「……もっと、深く……ナオと一つになりたい」

私の言葉に、ナオの瞳が輝く。

激しい動きが続き、女体化の快楽が頂点へ向かう。

汗ばんだ肌が擦れ合い、息が荒くなる。

この瞬間、私たちは完全に女の子として、互いを認め合っている。

心と身体が溶け合うような、甘美な時間。



ふと、背後からそっと伸びてきた指先が、私の腰をなぞる。

思いがけない温もりに、息が詰まった。


「ねえ、実はね、今日のこと……二人が自然に惹かれ合うんじゃないかって思ってたの」

耳に届いた彩音の声がとろけるように響く。


彼女が微笑むのが、声の揺らぎだけで伝わってくる。


「だからね、いいものを持ってきたんだ」

……いいもの?一体、何を。かすかな熱が全身を駆け抜けた。


【12章へつづく…】

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