5月に僕が見た作品たちの中で面白かった物を、
映画・小説・アニメから一本ずつ紹介。
「残酷なまでに美しい未来…愛だけでは君に届かない」
遺伝子操作で優秀なデザイナーチャイルドが生まれるのが当たり前になった時代、両親のこだわりによって普通の出産方法で産まれた主人公が遺伝子に起因する様々な挫折を経験しながら、身分を隠し、遺伝子を隠し、宇宙飛行士を目指す話。
今作の世界観では、デザイナーズチャイルドは一様に優種、そうでない人間を劣種として扱っている。その為、人種や生まれた土地など、現在問題とされている様々な差別は逆に存在しない。
しかし一番の問題は、どう生まれるかを本人が選べない事であろう。本作の主人公の両親は、主人公に対して悪意などは持っていないが、結果として通常の出産方法で産まれた事が、彼の人生最大のハードルになってしまうのは皮肉な話だ。
こうして書くとディストピア感溢れる暗い話のように思われるかもしれないが、そんな運命に抗うというのが本作の主題であり、熱く、胸打たれる挑戦の物語である。
「村は死によって包囲されている。」
邦画ホラーの最高峰と名高い『残穢』の作者である小野不由美氏の著作、漫画家もアニメ化もされており、そちらで知っている人も多いのではなかろうか。元々漫画版は読んでいたが、少年誌掲載という事もあり、じっとりとした暗い雰囲気の中にもコミカルさがあった。しかし、小説版はホラージャンルだけあって静かで薄暗いゾンビ映画のような印象を受ける。
死んだ者が蘇る村の伝承『おきあがり』、唐突に引っ越してきた、『何故か家に入るのに許可を取りたがる』一家、村で流行する虫刺されのような傷と伝染病。これらが意味する物は、またその目的は。
個人的に読むハードルがやや低くホラー要素が強めの京極夏彦作品っぽいイメージがある。人の文章を人の文章で例えるのは失礼な気がしない事も無いから、今のは僕とこの記事を見ている君達だけの秘密ね。
「隠し事は、何ですか?」
下ネタ漫画家『後藤可久士(ごとうかくし)』は一人娘に自分の仕事を悟られないよう、普段は普通のサラリーマンとして振舞っている。そんな日常物……で済まないのが久米田作品の良い所。そんなあらすじから最初に描写されるのは、現代――成長した一人娘が虚ろな目をして父親との思い出を振り返る描写。
二人が過ごした過去と一人娘が過ごす現代は話数が進んでいく毎に近付いて行く。その中で徐々に分かってくる『母親がいない』『何故仕事を隠すのか』等の謎が回収される最終話を見た時には思わず手を打ってしまった。なお、過去パートと現代パートは比率が9:1で普段のテンションは圧倒的にギャグアニメなので肩の力を抜いて楽しめる作品。
個人的に漫画家のあるあるが面白おかしく描かれている点が好き、絵を描く物も字を書く物も本質的に同じ苦労をしているのだなぁ……と思わされた。
以上、5月に見た作品の中でお勧めの物を紹介した。
かくしごとは確かアマゾンプライムでまだ無料だったと思う。
(ガタカはレンタル300円)是非とも見てみてね。