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縷々道 生我
縷々道 生我

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5月に見た映画の感想

5/5 アンモナイトの目覚め


『化石女王』と呼ばれた実在の女性、メアリー・アニングを題材とした映画。綺麗な風景、エモーショナルな情感、同性愛のままならなさを緻密に描いた作品。Amazon Primeにて視聴。(視聴当時レンタルで500円程度)


同業者の男から鬱病の妻を預かって欲しいと言われた主人公のメアリー、最初はメアリーに対して警戒心を抱いていた妻だったが、熱病になった妻を献身的に介護したことによって二人の仲は急接近。元々妻と夫のそりがあわなかったという事もあり、二人は禁断の関係になっていく……という話。


性描写に直接的な部分があり、そういったモノが苦手な人は注意して欲しい。


同業者の妻との期限付きの恋愛、複雑な心境の変化を日々の天候や空気感から読み取ることが出来る情緒的な映画なのだが、そのラストシーンはハッピーエンドとは言い難い。だが、様々な解釈が出来るエンディングだったので、映画に浸りたい人におすすめ。


劇中に海辺を二人で眺めるシーンが何度も登場するのだが、物語の進行と共に同じ構図で様々な変化が読み取れる所が良かった。全てを語らず、読み手の解釈に委ねる部分が多い映画。


メアリーの仕事に対する高潔さと、禁断の愛に揺れる情感が見事。

5/5 エクス・マキナ


世界的な検索エンジンを経営する会社の社長宅に、高倍率の抽選の中で招かれたプログラマーの主人公。社長宅に到着した彼は、社長から女性型AI『エヴァ』のチューリングテスト(人間とコミュニケーションを取るに当たって違和感がないかのテスト)を依頼されたという話。Amazon Primeにて視聴。


主人公は段々とテスト対象のAIであるエヴァを人間だと認識するようになり、社長宅から外に出ることができないエヴァを救いたい、と思うようになる。


エヴァを人間だと認識する事に戸惑いを覚えて、『自分は本当に人間なのか?』と主人公が葛藤するシーンは、AIと人間の境目を取り扱う本作の魅力を詰め込んでいるようで素晴らしかった。


『AIに仕事を奪われる』というのは戯言だと思っていたが、本作のAIを見ていると、奪われるのは仕事だけではないかもしれない、と考えてしまう。現に主人公はAIに心を奪われてしまったのだから。


人間を正確に模した非人間を見ると不気味さを感じる『不気味の谷』という現象がある。人間のようでありながら、どう足掻いても人間足りえない行為を取るエヴァを終始不気味に思いながら本作を視聴していた。


突然のダンシングタイムは笑った。

5/5 バスケットケース


伝説的なB級ホラー映画、Amazon Primeにて視聴。(視聴当時はレンタル料金が500円程度)


大きなバスケットケースを抱える青年ドウェイン、そのバスケットケースの中身を見た者は例外なく酷い怪我を負う。一体バスケットケースの中身は、そしてドウェインの腹部にある謎の傷の正体は。


……と、謎を残す書き方をしたが、Amazon Primeのあらすじに既に正体が記載されているので紹介する。バスケットケースの中身は犬くらいの大きさの肉塊めいたモンスター、名前はベリアル。


ドウェインとベリアルはいわゆるシャム双生児、ドウェインの身体に腫瘍のようにくっついてベリアルが産まれた。彼等は幼いころに強引に医師に切り分けられたのだが、怪物めいた容姿のベリアルを衆目に晒すわけにはいかず、ドウェインがバスケットケースに入れて運んでいたのである。(腹部の傷跡はその際の切開痕)


そんな二人が、彼らを切り分けた医師に復讐するという話。


1982年の映画なので色々とツッコミ所が多いが、エンタメとして出来がいいので楽しめる。ベリアルが人を殺すシーン何かは顔を撫でたり(でも死ぬ)、お腹を撫でたり(でも真っ二つになる)しているようにしか見えない。シュールな笑いがそこにある。


そんな二人の仲互いの原因が、普通の人間として暮らせるドウェインへのベリアルの嫉妬心なのは興味深い所。ラストシーンは創世期のカインとアベルを彷彿とさせた。やることがない時とかに見ようね。

5/14 ホリック xxxHOLIC


好きな作品の実写版と聴いて心がざわつかない物はいない、僕もその一人だった。劇場にて視聴。


XXXHOLICは基本的に1話完結形式で、人ならざる存在『アヤカシ』とアヤカシが見える主人公『四月一日 君尋』との交流を描いた名作である。妖怪バトル!みたいな形ではなく、人と人ならざる者の相容れなさ、そこに生まれる感情とか、そういうヒューマン(?)ドラマ的な話が多い。


さて、映画版の評価だが、結論から言おう、“原作既読勢には”割とよかった。


原作読者は驚くかもしれないが、実写版では僅か2時間の間に、四月一日と侑子さんの出会いから、侑子さんが消え、四月一日が店を継ぐシーンまでをやる。驚くほどのスピード展開である。故に『ミセで働く日々』がかなり端折られており、原作を読んでいれば、あ、これはこのエピソードだな。あ、この子は●●だな。という事に気付けるかもしれないが、映画版から入った人は展開の早さに少し面食らうであろう。


敵はお馴染みのジョロウグモ、映画オリジナルキャラクターのバンドマンを連れている。二人が並ぶとバンギャとバンドマンにしか見えない。でもキャラ立ちはしっかりとしていたし、決して意味のないオリジナルキャラクターではなかったと思う。俳優の話をするのであれば、百目鬼くんが声や立ち振る舞いも含めて凄く良かった。


残念な所はひまわりちゃんの扱いか、周囲を不幸にする体質である事を序盤でバンドマンにバラされた挙句、特に何の救済も無くフェードアウトしてしまった。それどころか四月一日の傷を肩代わりして身体が傷だらけになった。シンプルに可哀想。


一方その頃四月一日は百目鬼とイチャイチャしていた、これはいつも通り。


原作を見た後だったら視聴をお勧めする、そんな映画だった。

5/19 シェラ・デ・コブレの幽霊


『世界中の映画愛好家が探し回る伝説のホラー映画』というTwitterでの触れ込みが気になったのでAmazon Primeにて視聴。


ガラージュといったゲームでもそうだが、現在では入手困難な作品を廉価で楽しめるようになるのは良い文化だと思う。神秘性が失われてしまうデメリットはあれど、ね。


『埋葬したはずの死人が電話をかけてくる』という霊障に苦しむ屋敷の住人が霊能者に助けを求める。しかし、霊能者が屋敷を調べて行く内に、この屋敷に隠された秘密が徐々に明らかになっていく、という話。


本作は1962年の白黒映画であり、演出も今では考えられない物が多い。幽霊登場のシーンでボワッ……と煙が出たシーンでは、思わず『いやこれインチキおじさんの登場の仕方だよね』と声に出してしまった。お鍋の中からボワッと(ボワッと)~である。


ただ、時代を感じる屋敷の内装や車、登場人物の服装は他の追随を許さないリアリティがあって、視覚的にとても楽しめた。まあ60年前の映画だから、当たり前といえば当たり前なのだけれど。


上映時間も1時間20分と短くまとまっていて見やすい。ただ、翻訳が少し微妙なのも手伝って、腰を据えて見なければ『???』が浮かんだまま終わりそうな映画だった。

5/25 ハッチング 孵化


機能不全家庭の少女が森から拾ってきた卵、そこから産まれたのは××だった。以前から気になっていた作品、映画館で視聴。


SNS映えの為に嘘で塗り固めた家庭を作ろうとする母親、それに全く逆らえない気弱な父親、我儘な弟、そんな歪んだ家庭に住んでいる少女が主人公。


少女はある日、森で死にかけのカラスに出会う。苦しそうなカラスを慈悲の心で撲殺した彼女は、今しがた死んだカラスの物であろう卵を発見、家に持ち帰って育てる事にした。最初は拳程度の大きさだった卵は日に日に大きくなっていき、1m弱程にまで成長する。そしてある晩、卵は『孵化』する。其処から出てきたのは、醜い鳥の化物だった。


化物とはいえ産まれたばかりの赤子、彼女は家族に隠してこっそりと化物を育てる事を決意した。しかし、化物は彼女の心が読めるのか、次第に彼女に危害を加える人・動物に襲い掛かるようになり……という話。


話の作りもさる事ながら、節々に意味深な言葉が出てくるため、考察が捗る映画。我が子を家族の部品としか捉えていない母親(主人公母)と、我が子の暴力衝動を全く制御できていない母親(主人公)。母親として欠落した部分のある二人の物語はどのような結末を迎えるのか。


一つの家庭が徐々に壊れていく様が非常に生々しく、この繊細さは女性監督ならではだなァと思考。


ミッドサマ―等と同じく、画面が明るいホラー映画。

5/26 ビバリウム


ハッチング(先述)を楽しめた人にはお勧め、という文句にホイホイ釣られて観た映画。結論から言うと釣られて正解だった。Amazon Primeにて視聴。


同棲する新居を探そうと、不動産会社に紹介された物件に行く二人。オーナーのこだわりか、同じような家が立ち並んでいる巨大な集合住宅群の内一つの物件を紹介された二人は、住居の内見を行った。


しかし、内見も終わってさァ帰ろうと車に乗り込んだらどうにも様子がおかしい。進めども進めども同じ風景が続いて車が一向に住宅群から出ないのだ。よく見ると、これだけ家があるのに周りには一人も人がいない。


そう、二人は【閉じた世界】に閉じ込められてしまったのだ。


【閉じた世界】では、不思議な事に二人が生きて行けるように毎日食材が届く。そして、二人が何とか生活をしていたある日、二人の元に赤ん坊が届いた。同封されていた手紙曰く『育てれば解放される』との事。この赤ん坊は何者か、そして、この世界の目的は……というSFミステリ。


最近流行りの時間的ループ作品とは一味違う、空間的ループ作品だ。


【閉じた世界】の雲がよく見たらすべて同じ形をしていたり、集合住宅群全体の作りが安っぽかったりする所が、逆に『人の暮らしを真似して作った異界』といった感じが出て良い。


怖いシーンは少ない、が、不気味なシーンはずっと流れ続けている、そんな映画だった。




5月に見た映画の感想

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