「ぐえっ!!」 山ニーナさんの電撃から逃げるため、トイレの窓から飛び出したオレ(白井弟)は、外の茂みをクッションにする形で、地面へと転がり落ちた。 「っつ~~」 少し頭を打って痛かったが、ダメージはそこまでではない。 すぐさま体を起こし、両の目をバッチリ開く。と―― 「の"を"ん"っ!?」 またまたまた、自身の舌から発せられる謎の奇声。再び体全体も一気に硬直し、時が止まる。 というのも。 オレが目を開いた先、その視線の中心には。 『美弦さん』と『モンモさん』が、互いを見つめあって体を寄せ合っている姿が映った。 なぜか美弦さんはベビードール姿だった……。 <パシャ> オレの脳内シャッター音を皮切りに再び時が動き出す。 オレが「しまった!」と思うのと同時に、二人ともビックリ顔でこちらへと振り向く。 その直後、モンモさんの表情がみるみる般若を思わせるものへと変わり……青筋立てて、高らかに感情爆発した。 「テメーーー!!!!白井いいいいいい!!!!ふざけんなーーーーー!!!!」 「うわああああ!!すいません、すいません、わざとじゃないんです!タイミングが悪いんです!世間的には、ラッキーとか言われそうなんですけど、今日のオレの運勢も最悪なんですー!!」 オレは精一杯の命乞いのつもりで言葉を並べるも、モンモさんはそんな事お構いなしにその場で手足をジタバタさせ、半泣きで言葉を続ける。 「あとちょっとだったのに!! あとちょっとだったのにいいいいい!!!!」 「な…何が!?」 「うるせー!!テメーもザキホシ星に帰してやろうか!!?」 「ざ、ザキホシ星って一体……?」 「あたしが知るか、バカヤローーー!!!!」 「えーーーーー!?」 「とりあえず、歯ァ喰いしばれ、白井弟ぉ! 貴様にはモモさん特製『かわいがり』を教えてやる」 ボキボキと腕を鳴らしながら近づいてくるヤンキーウーマン。 「いや、ちょっと……し、昭和はんたーい!!」 「ワオーーーーーン!!!!」 「まさかの犬化!?ってそれもシャレにならねーー!!」 <ガチン> オレへと飛び掛かると同時に聞こえるのは、ぶつかり合う上下の歯の音。オレは、モンモさんの噛みつき攻撃を転がりながらかわし、バッと後ろに退きながら体勢を立て直す。 「ガルルルルル……」 だ、ダメだ。モンモさん完全に正気を失ってやがる。これじゃ、話が通じない。 ここは、ひとまず…… 「ご、ごめんなさーい!!!!」 オレは瞬速で頭を下げると、そのままの勢いで、裏庭の出口から校外へと逃げ出した。 コモンの扉が開くまで、あと41枚。 ================================================ 「ついにやりやがったな、白井弟! 百合の邪魔をするとは、このブルリフ男主人公の面汚しめ!!水崎、フラグチョーカーの起動を!!」 …と思われるかも知れませんが、ここから巻き返しますので、もうしばらく白井弟の命、見守っててやってください(汗) さて、今回はさすがに補足説明必要ですね。 『モモ×美弦』が、突如発生してた理由ですが、これは第二次フラグメント攻略戦後の展開によるものです。 フラグメントにエーテルを吸われ、気絶し、眠り続ける美弦。 朝、回復により目を覚まし、最初に瞳に映ったのは自分を心配し、見守るモモの姿だったが……。 次の瞬間、美弦は、顔面蒼白となり悲鳴を上げて逃げ出してしまう。 突然の事で混乱するモモだったが、すぐに「ハッ」と気を取り戻すと、わき目もふらず追いかける。 美弦の体力が落ちていた事もあり、すぐに追いつき、裏庭でモモは美弦の手を掴むことに成功する。 以下、その後の二人の会話―― 「ハァハァ、ったく、なんで逃げるんだよ、美弦!?」 「だって…だって…私絶対嫌われたもの。モモの前でフラグメントにあんな……気持ちよくなってる事知られて、繋がれて……全部知られて、こんな私、好きになってもらえるわけない!!」 「この、バカ美弦!! むしろ逆だっつーの!!」 「へ?」 「アタシさ、嬉しかったんだよ。フラグメントに美弦の感情繋がれた時、美弦から流れてくる想いがさ、アタシに見られて恥ずかしいとかアタシと繋がれて嬉しいって感じで……気持ちは矛盾してるんだけどさ、その理由全部にアタシが入っててスゲー嬉しかった」 「……嘘よ、そんなの…モモは優しいから」 「嘘じゃねーって」 「じゃあ……今…ここで証明してくれる?」 うるんだ目で唇を突き出す美弦。 「美弦……」 優しい瞳で、それを迎え入れるモモ。 二人の距離が徐々に縮まり、今まさに愛の証明を!! ……というところで、白井弟がズッコケてきたワケです。 ふざけるなーーー!!!!白井弟の首を!!水崎、首ドッパンの許可を!!という気持ちが高まりますね~。この補足説明書かない方がよかった気もしますが、先に書いたように、ちゃんと『モモ×美弦』にとっても『白井弟』にとってもプラスになるようなルートに行きますのでご期待ください。 白井弟視点で書いてるので、彼の目が届かない所で起きてる事は、どうしてもこうした補足説明が必要になるのがネックです。 普通に客観的な三人称視点で展開すればいいのですが、それだと『白井弟のストーリー』っぽくなくなるので、フラグメント戦以外は使わないようにしてます。 あとは『ザキホシ星』についてですが……フフッ、いずれ分かるさ☆