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さっど【SAD】
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『触洞』PART1

原案 ブロブさん

テキスト再構成・加筆修正 SAD

人間の心の影…その集合体と呼ぶべき悪魔デボネアが消滅した後も異世界セフィーロに深く刻まれたその爪痕は容易には癒えず、跋扈・徘徊する魔物、魔獣の脅威は人々の恐怖を煽り疑心暗鬼を醸成させ続け、その結果さらに心の影の産物である魔物たちを各地に産み出す悪循環から抜け出せずにいた。

今では自分たちの世界と同様に大切な存在となったセフィーロの為に、海たちマジックナイトもまた協力を惜しまず東奔西走で魔物討伐に精力を注いでいたが、なかなか目立った成果も得られない日々が続いていた。


「ここ…みたいね」


緑を喪い痛々しく禿げ上がった岩山の中腹にぽっかりと口を開けた洞穴…

わずかに漏れ出てくる籠った空気の湿っぽい匂いに僅かに柳眉をしかめつつ、海はレイピアを握り直すとかなり深そうな洞穴内に歩を進める。

最近、この山の近郊に位置する村や町で度々魔物による被害が発生し、少なからぬ死傷者も出ているという。

昨今のセフィーロでは珍しくもない話だが無論放置しておくことはできない為に海は単身この地に赴き、住民たちから証言と魔神セレスによる空からの探索の末にこの洞穴を発見した。

どういった相手なのかも判然としないことから近郊の砦に駐屯する騎士や兵士達には村々の守りを固めることに専念してもらい、海は単身での洞穴調査を選択した。


(少し心細いけど… 今はそんなこと云っていられないわ!)


二人の仲間、光と風もまた海と同じく魔物の脅威に晒されている別々の場所に赴いており、ここ最近は三人揃って行動することは少ない。

薄暗く迷宮を連想させる洞穴内の雰囲気に首をもたげかけた弱気めいたモノを振り払うように顔を上げ、更に奥へと進む。


(それに…もし…もしも『アレ』が二人の前で来ちゃったら…まずいもの…)


海が単独行動を選択したのにはもう一つ、光たちにも云えないある理由があった。



傾斜気味の洞穴内を数百メートルも降っただろうか、それまでよりも開けてちょっとした広間ほどの面積を持つ空間に足を踏み入れた直後だった。


『いらっしゃい… あら、来てくれたのは水の魔法騎士ウミね? フフッ、これは好都合だわ』


突如出現した強い魔力の気配とともに、妖艶で邪悪な気配を伴った女の声が何処からともなく響いてきた。


(!? やっとお出ましねっ どこっ!)


即座に身構え油断なく周囲に視線を走らせるがゴツゴツとした岩盤に反響した声の出処は容易には探れず、肌を刺す魔力もまるで全周から放出されているようで間近に存在するのは確かだが、この薄暗い岩窟の何処に潜んでいるのか絞る事ができない。


『ウフフ、ほら私はここよ? じっくり見せてもらったけれどマジックナイトで一番の噂通りの整った綺麗な顔ね貴女、その青い魔法騎士の防具も素敵…』


「くっ⁉」


相手の位置を補足できず焦燥の水位が上昇する海の耳朶に、からかうような響きが刺さる。

だが、魔力の気配は強まっているにもかかわらず周囲にその嘲笑の主の姿はない。


(確かにすぐ近くにいる! 相手は透明系の魔物ってことなの⁉)


物理的に透明なのか姿隠し系の魔法でも使える相手なのか、いずれにせよ後手に回る可能性が高く厄介なのは否めない。


『 翻るそのマントもスベスベして気持ちいいのでしょうね、真っ白なブーツとグローブはどんな手触りなのかしら? ああ、ああっ!早く触手と粘液でグチュグチュに犯してやりたいわ…!』


「何をっ…⁉」


だが、有利な先手を取ったはずの相手の初撃は意外なものだった。

セフィーロの守護神マジックナイトの誇りと象徴である防具に向け淫らな言葉を浴びせられた海は思わず息を呑んだ。


(この魔物、私の防具を狙っている? ま、まさかっ…まさかあの時のように私を?!)


海の背筋を極寒の冷気が走り、悪夢の記憶が鮮明に蘇る。

数ヶ月前、とある魔人の奸計に落ち虜とされマジックナイトの防具を纏わされたまま、おぞましい触手群や魔物に陵辱され続けた。

特にセフィーロの住人でありながら魔人の協力者となった死霊師に身体のみならず純白のサイハイブーツとロンググローブ、マントそのものまでも執拗に陵辱されてしまい、屈服寸前にまで追い詰められていた窮地を仲間たちのお蔭で脱したものの、深い心身ダメージを負ってしまった。

何とか精神的に立ち直った今も時折その時のフラッシュバックに襲われ、フラッシュバックに晒されるとマジックナイトの防具姿で自慰に浸るのを止められないほどに身体を開発されてしまっていたのである。

姿を見せない魔物にあの死霊師と同質の強い偏執性と粘着性を感じ取り、戦慄に全身の肌が粟立つ。

魔物の放った言葉は陵辱の記憶を嫌でも思い出させ、動揺の色を隠せない海の隙を突くように天井や岩壁から粘液を滴らせた触手が何本も出現し飛び出してきた。


「はっ!」


だが歴戦のマジックナイトである海の意識は即座に切り替わり、身体は触手に巻き付かれる前にその場から反射的に跳躍して鮮やかに回避する。


「ふっ!」


鮮やかな紺碧色のマントと長いストレートヘアを靡かせながら、中空に海の長身が華麗に弧のラインを描く。

純白のサイハイブーツを履いた両脚はぴったり揃い、先端までピンと伸ばされている。

目標に逃げられた触手群はそれでも方向を変え無防備に見える脚へも巻き付こうとするが、その前に両脚を揃えたまま鮮やかに着地した海のレイピアで次々に斬り裂かれた。

斬り捨てられた触手の断面から霧状に飛び散ったおぞましい粘液飛沫が僅かに海のマントを汚す。


「このっ!穢らわしいわね!」


セフィーロの人々、そしてエメロード姫の思いが託された防具を汚された海は怒りの声を上げ、次々に現れ襲いくる触手へ巧みに愛剣を振るっては斬り払い続ける。


「もう諦めたら? こんな貧弱な触手だけじゃ私は倒せないわよ」


何十という触手を斬り払い続けた海は、一向に姿を見せない魔物に向けて挑発を試みる。

徐々に本体の位置を絞りこんでいる手応えはあった。

たなびく紺碧色の聖布表面は飛び散った粘液ですっかり汚れてしまっているが、累々たる触手の残骸が散乱する中に屹立した海に些かの呼吸の乱れもない。


『流石ね水のマジックナイト龍咲海 でもね、もう勝負はついたわ……』


「まぁそうね、こんな事にいつまでも付き合ってられない、私の勝ちで終わらせるわ!」


今のやり取りでほぼ相手の本体ポジションの特定が出来た。

あの右から二番目の石柱の周囲、あるいは石柱自体が擬態している魔物だ!

上手く挑発に乗ってくれたと内心思いつつ、負けを認めたにしては奇妙な余裕を含んでいるような響きに一抹の不審がよぎるものの、構わず海は左手を頭上へ伸ばし『水の龍』発動に入る。

海の得意とする魔法である水の龍は周囲の大気から抽出した水分を魔力を帯びた指向性の水流に変え、超高圧で投射する攻撃魔法だ。

直線方向に点で突き穿つのみならず曲射させて面で斬り裂くことも可能であり、その威力も相まって少々中心を外したところで問題はない。


(一気に薙ぎ払って終わらせてやるわっ!)


自分の勝利を確信する海。

だがそのとき、澱んだ空気の洞窟内で風など無いにもかかわらず海のマントが煽られたようにバタつき始め、あろうことか蛇のような動きで細まった先端が海の左手首に巻き付いた。


「え?! なんなの!? 私のマントが勝手にっっ……! 痛ぅ⁉」



マジックナイトの防具の一部である強靭なマントに左手を強く締め付けられ、想定外の状況への驚きと動揺で発動仕掛けていた水の龍は淡い輝きを残して元の水素化合物へと戻って消えてしまう。

ほとんど同時に右腕にもマントが巻き付き絞め上げ、更には刀身を激しく弾かれレイピアを振り落とされてしまう。


「そんなっ⁉ どうしてマントが……ああ! 腕が引っ張られてっっ!」


その間にも粘液塗れのマントは勝手に動き続け、右腕も頭上へ強引に引き摺り上げると左腕に巻き付いたマント先端と絡み合って結びつき、あたかも手枷のような状態となる。

両手首を頭上で縛られた形で拘束され、純白のロンググローブがギュッと締め付けられた。


「くっ、腕が……っ⁉」


『いい格好ね海、自分のマントで両手を縛られた気分はどうかしら? 種明かしをしてあげるわ水のマジックナイト様? この触手は私の一部、そして粘液には私の魔力と細胞が含まれている……』


「なんです…ってっ⁉」

 

『ふふっ、そして私の細胞粘液は少しずつお前のマントに浸透し侵食を続けて根を張った。お前が馬鹿みたいに触手を斬ってくれたおかげで思ったより早くマントを乗っ取ることができた』


「そんな!この卑怯者っ!! 解きなさ…いっっ!!」


『褒め言葉として受け取っておくわね、既にマントの帯びたお前の魔力も細胞のエサになっているわ。ふふ!つまりお前のマントはもう私の意のままに動くのさ? フフフッ!!!』


「な…なんですって⁉」


「ふふ。だがお前も縛られるのは好きよね? 前にもその純白のロンググローブを縛られて感じていたわよね…ほんと、変態マジックナイト様だねウミちゃんは』


魔法騎士の防具そのものへの偏執的な執着の響きを隠そうともしない魔物の言葉だが、直立しているのも難しいほどにきつく頭上で両腕をマント拘束されている事実を直視すれば、自分の…魔法騎士の防具をたとえ一時的にせよ支配下においている内容自体は嘘ではあるまい。


「⁉…フザケたことを言わないで!誰がそんなっ…縛られて、かっ、感じるもの…ですかっっ!」


顔を赤らめながらも強く反駁する海だが、純白のロンググローブを縛られたとき少しだけゾクッと身体が甘美感に震えてしまったのも事実だった。

間違いなくそれは、あの淫獄で受けた肉調教での背徳に彩られた劣情…


(や、やっぱりこの魔物!私の身体の弱点を知っているんだわっ⁉ まずいわ、早くなんとかしないと!)



未だ逃れられぬその劣情鎖が徐々に自分を縛り付けてくる感覚に、海は内心の動揺を隠しつつ必死に自分のマントから抜け出そうと両手を動かし身をよじる。

しかし粘液でベタつくマントは全く緩まず、純白のロンググローブがギチギチと音を立てながら皺が寄ったり伸びたりするだけだった。


「このっ……だ、だめ。抜け出せないっ。それにマントの粘液がグローブにまで……」


抵抗するほどグローブも滴ってくる粘液で少しずつ汚れ、淫らな光沢が増していく。


『ほらほら、早く抜け出さないと…… それとも本当はもっとされたいのかしら… いいわよ、ふふっ!』


魔物の命を受けたマントの一部がズルリと持ち上がり、今度は腕を上げて無防備になっている海の腋に張り付くとウネウネと蠢き始めた。


「あ! ……そ、そこは!? あぁああっ……だめぇっ……んふんんっっ!」


まだ粘液で濡れていない、スベスベのマント表面が海の脇を擽るように愛撫する。

初めは擽ったさが勝ったが、瞬く間に快感に変わっていく。


「あぅ、うぅう、や、やめ…やめて! 私のマントで腋なんて触らないでっっ⁉」


頭上で両手首を縛られているため腕を下ろすこともできず、敏感な腋の愛撫を受け続ける海は息が乱れ、意思に反して身体がいやらしく捩ってしまう。

華麗な跳躍を披露していた美脚は今では内股気味に膝頭を擦り寄せ、純白のサイハイブーツが擦れる音を響かせてしまっていた。

もはや跳躍で逃げられる心配はなくなり、触手群が今度こそ海の脚を捕らえようと這い寄り、足首から膝下にかけて幾重にも巻き付いた。


「しまった!脚がっ⁉」


双脚を一纏めに拘束され、強く締め付けられる。

同時に触手は純白のサイハイブーツへ淫らな粘液を塗りたくり始めた。


「くっ、私のブーツに穢らわしい粘液なんか塗りつけないで!」


海は必死に抵抗しようとするが、拘束されたブーツの脚はモジモジと僅かにしか動かせない。

そしてブーツ越しに脚を拘束される束縛感や愛撫される感覚、粘液の光沢は瞬く間に海のトラウマを呼び起こし、開発された脚の感度を更に鋭敏化させる。


「ンあぁ! だ、だめっ、脚はっ、ブーツは! んんっ! んぁあっ!!! ンあんっっ!」


『ふふふ、やっぱりその真っ白なサイハイブーツいじめられるのが一番の弱点のようねぇウミ? いいわ、爪先から太腿の付け根までたっぷり責めてあげるわぁ』


「だ…誰がブーツいじめられて、変な気持ちになったりなんか…! やめてっ! いやっ!それはいやぁぁあああぁぁン!」


妖魔の言葉にゾクゾクと身体が期待で震える自覚、海の理性がその事実を必死に否定するように抵抗の声を上げるが、すでに快楽の色が混ざり初めている。

思わずバランスを崩し仰向けに倒れ込みそうになったが、とっさに動かした左右の指先が垂れ落ちていた木の根か蔦のような物に触れ、それを掴むことによって転倒を回避する。


『クク… いい顔よウミ? 貴女やっぱりこういうのに弱いのねぇ… さ、その身体全体を私にもじっくり味あわせてねぇ?』


「うっ…⁉ なっ…なにっ? 地面がっ!」


突然硬い洞穴の地表がグニャリとしたものへと変わり、同時に周囲数メートルあたりから濡れた薄紙が溶け落ちるように消失しその下からギラついた粘液が泡立つ空洞が出現する。


『ふふ、この洞穴はそれ自体がわたしと融合しているようなもの…貴女のマントと同じようにどうとでもなるのよ? ウフフぅ… やっぱり思ったとおり、貴女のグローブ美味しいわぁ… もっと強くシゴいてくださらないかしらぁ?』


「えっ… ああっ⁉ いッ………いやああァァアッッ!!?」



毒々しい赤黒の肉床に変貌した地表に出現したバスケットボールほどの大きさの眼球が出現し、自分のマントと醜悪な触手群に拘束されブーツ愛撫を受ける惨めな自分の姿を凝視され、おぞましさと恥辱に全身の血が逆流する思いだったが、それ以上に自分が両手で握り締めているものの正体に衝撃と嫌悪感が渦巻く。

それは木の根や蔦などではなく、グニュグニュと蠕動しネバつき臭気の強い体液を分泌し続ける太い触手だった。

だがその触手から手を離せば間違いなく直下へ墜落する。

既にブーツの先端数十センチ下は泡立ちギラつき、無数の触手が蠢く粘液溜まりと化して落ちたら容易ならざる状況になるであろうことは想像に難くない。


『うふふ… じゃあ気高い魔法騎士がどこまで頑張れるか、たっぷりイジメてあげるわウミちゃん?』


絶体絶命の窮地へ追い詰められた海にむけ、肉壁淫獄の主が残虐なショーの開演を告げた。


To be continued PART2


#ブーツ愛に燃える漢! ブロブさんの熱いソウルに感銘を受け、またありがたくも拙作DARKTEMPEST-Uからのオマージュ連想もありという設定からの作品です。

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