この数ヶ月頻発する美女の拉致事件、常人には不可能な犯行前後の状況からこのところサキュバス・クイーンと噂されるヴィランの影を感じ取ったスーパーガールは山岳部の奥地に佇む屋敷が怪しいと見当をつけ調査に赴いた。
築100年を優に越すだろう南欧風の広大な石造りの屋敷…
だが、その不便な立地から既に住む者も居なくなってから20年近く経過していると聞くその場所に一夜降り立ったスーパーガールは穴だらけで廃屋同然の上部構造物ではなく、荒れ果てた土台石垣の一隅にぽっかりと開いた地下へ通じるらしい入り口に向かい、躊躇なくその中へと脚を踏み入れた。
中はかなり深いらしく、螺旋状に闇の中を続くこけむした石段の終点は見えない。
カビ臭く淀んだ空気が凛と伸びた背中に靡く真紅のマントに絡みつく石段をプラチナブロンドの鋼鉄乙女は慎重に降り始める。
真紅のブーツのヒールが硬く反響する石段を10段ほど降った時だった、背後からガリガリとした轟音と全身に突き刺さる危険な波動を感じ身を翻すスーパーガールの視界に入ったのは入り口を塞ぐように滑り落ちてくる鉄格子状の落とし戸。
しかもその素材は単なる鋼材ではなく、不気味な緑の燐光を放つ鉱石と思しきものだった。
「あれは… クッ、クリプトナイト⁉︎」
無敵のスーパーガール唯一の弱点である宇宙鉱石クリプトナイト、それが発する放射線は彼女の持つ超能力全てを封じると云っても過言ではない危険性を持つ。
(でも…あの程度のものならば!)
幸いあの格子戸を構成するクリプトナイトの放射線はさほど強いものではなさそうだ。
これならば能力の使える今立つ場所で加速をかけた勢いで十分に破壊可能だろう。
放射線量は高くはないと言え、あの量のクリプトナイトを用意できる相手に勝手のわからない閉鎖空間に留まるのは危険と瞬時に判断したスーパーガールは迷わず屋外への一旦退避を決断した。
だが、一気にダッシュをかけるべく力を込めた両脚にグニャリとした感覚が何重にも絡みつくと凄まじい力で絞め上げてくる。
「こっ、これはっ⁉︎ 放しなさいっっ‼︎」
見れば石階段の奥から、明らかに魔界か宇宙生物の一種と思しき醜悪な触手が何本も出現し、彼女の美脚に巻きつき拘束してくる。
『ホホホッ! ようこそ私の屋敷へ愛と正義のアイアンメイデンたるスーパーガールちゃん? 歓迎するわ』
「⁉︎」
そして触手群の伸びてきた先から響く女声の嘲笑。
直感的にその嘲笑の主がサキュバスクイーンと呼ばれる首領だとスーパーガールは確信した。
だとすればこの屋敷内に攫われた女性たち、あるいは有力な手がかりがある可能性は高い。
『その通り、貴女の想像通りここは私のコレクションルームみたいなもの。貴女の探し物はきっとこの奥にあるわホホッ!』
「そう、教えてくれてありがとう。じゃあ表から改めてご挨拶に伺うわっ!」
スーパーガールの思考を読んだように再度響く挑発の声に惑わされることなく、この地下階段から脱出を図るスーパーガール。
触手の締め付けも全く動けないほどではない、この位置ならば十分に加速ジャンプで引きちぎれるだろう。
とりあえず外部に出てから仕切り直して、建物の床天井でもぶち抜いて真上から地下に突入してやればいい。
『あらら、もうお帰りなの? でも残念、ここは一方通行なのよ? それにそこから貴女は動けないはずだけれど?』
だが、再度スーパーガールの思考を読んだように妖艶な声が響いた。
To be continued…
※大分以前に描いたラフ描きをベースに、ベタを強く使う本家アメコミでよく使われる手法で仕上げてみました。
イメージ繋がりそうな感じなので、以前上げたWW拉致シリーズにおいてスーパーガールが囚われた時のエピソード風にテキストも作成してみました。
数日中に差分利用してテキスト付きイラストをアップする予定です。イラストは完成しているのですがテキスト推敲したいので。
お詫び代わりにSG絵もう一枚置いておきます。
既にピクにアップしていますが、委託で描いたSG絵の高解像度版です。