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【9/14挿絵追加】【支援者限定/イラスト1枚+SS】4月更新分 【Never forgive you!】

【Never forgive you!】


 それは、本当に突然の出来事だった。


「はー…疲れたなあ、もう…」


 牧野真希。演劇サークル所属。

今回、ボクサーの役をやることになった彼はアパートに帰るとため息をつく。

———あれ以来、突如襲来した謎の男、伊東涼介の「役者のため、演劇の為」

という名のボクシングトレーニングは続いていた。


「…ミットにシャドーにサンドバッグ。確かに、身体作りにも丁度いいんだけど…

 結構過酷だよなあ…」


 シャアァァァァァァァ・・・ッ


 真希はそう思いながらシャワーを浴びる。温かいお湯が皮膚に当たり、気持ちよさとそう快感を感じながら———


「…それに、俺。…ボクサーじゃないんだけどなあ…」


 真希は鏡に映る自分の姿に苦笑いを浮かべる。

以前は少なかった筋肉が徐々に体に現れ、だんだんと自分の体がボクサーへと変貌する。…そんな姿を鏡越しに見ながら、真希はふう、とため息をついた。


「…確かに楽しいときもあるけど…なんだか、いいように使われているなあ…

 ってか、涼介はなんで俺にそんなボクシングさせたいんだろうなあ…」


涼介の目的、MOSOを理解できない真希はシャワーを浴びながら目を閉じ———

その心地よさに、身も心もゆだねたその時!


ガチャッ

突如として、真希のアパートの玄関の扉が開いた!


「ただいま」


「え!?まお兄!?」


聞き慣れた声に、真希は思わずシャワーを絞めるとバスタオルを体に巻き付けて

走り出した!


「まお兄!おかえり!…もー、1週間も留守にして―!」


「真希…シャワーか」


「あ…ごめん、こんな格好で!びっくりしたからつい…!」


「大丈夫。風邪ひくから、シャワー浴び直して」


「う、うん!」


 真希はそう言われると、すぐさまシャワーを浴び直し着替えると———


「…お待たせ!へへ、お帰り、まお兄!」


「ただいま。急にいなくなってごめん」


「ん-ん、いつものことだもん。今回の1週間はどこに行ってたの?」


「ん、タイ」


「タイ!?え、また…なんで?旅行!?」


「ちょっと修行」


「修行ってなんの…

 まお兄ってそんな格闘技とかに興味あるように見えないんだけど」


「…色々だよ。それよりも、久しぶりに日本食食べたい」


「あー、じゃあ今日はエビフライにでもする?昨日買っておいて仕込んであるんだ。すぐ出来る!」


「いいね。じゃあ、頼んでもいい?その間に荷物片づけて来る」


「もちろん!」


 …エビフライを作りながら、真希はふふっと微笑んだ。


…真希と真央は双子。真央が双子の兄で真希が双子の弟。

双子と言えばよくそっくり、と言われるが真央と真希はあまりそんなことはなかった。肌の色は白く、どちらかと言えば奥手で大人しい白色肌の真希に対し、褐色肌で喧嘩上等で手が速いの真央。双子なのにまるで正反対の二人。…だが。


「…安心した、まお兄帰ってきて!極上のエビフライを作らなきゃ!」


正反対ながら、二人はなんだかんだ、仲良くやっていた。

やっと帰ってきた兄のため、 丁寧にエビフライを作る真希は、やがて。


「…よし!完璧!まお兄、できたよー!」


「ありがと。…さすが。いい匂い」


「へへ、でしょ!食べよ!」


「うん、いただきます。…やっぱ、真希の飯が一番だな」


 真央の言葉に真希はへへっと笑みを浮かべた。


「そう言えば、まお兄はタイにいたんでしょ?タイってご飯もおいしそうだけど。なんだっけ…トムヤンクン?」


「あーゆーのも悪くないけど、やっぱ日本食…っていうか真希の飯が最高」


「そうなんだ。俺はちょっとそう言う現地のご飯!っていうのに憧れるけどなあ」


「真希も行ってみればいい。そうすると、時折に日本食が無性に恋しくなる」


「へえー、そんなもんなんだ」


 仲の良い二人の食事風景。…そんな時、ふと。真央の目が真希の手を見つめた。


「ん…真希?」


「ん?」


「…喧嘩でもした?」


「え?なんで?」


「…拳。殴りタコがある」


「あー…」


 真央の言葉に、真希は自分の手を見て改めて気づく。…確かに、ここ最近は毎日

 涼介のトレーニングでサンドバッグを殴ってばかりだ。


「それに…よく見れば、体つきも前と思うと鍛えられてきた感じがする」


「え?そう?」


「…真希、運動とか喧嘩、あんまりしないと思ったんだけど…何かあった?」


「あー…まあ、隠すことじゃないし。…実はね、まお兄。俺、最近、ボクシングをしててさ」


「…へえ、意外。…でもないか」


「え?」


「なんでもない」


「ん-とね、演劇部でボクサーの役をやることになったんだ。けど…」


「けど?」


「うーん…まお兄は伊東涼介って知ってる?」


「知らない。誰?」


「うちの大学の人なんだけどさ、俺がボクサー役をやることになった!って時に突然現れてさ…なんか、MOSO?」


「…?」


「俺もよくわかんないんだけど、なんか、俺がボクサー役をやる!ことにすごく情熱的でさ。ボクシングの練習をさせてくれるんだよ」


「…なにそれ?見返りは?」


「…それがないんだよねえ」


「…新手の勧誘?」


「正直、意味が分からないんだよね。なんか、MOSOがどうたらとか言ってるけど、俺がボクシングしている姿を見るとすげえ喜んでさ」


「…真希は大丈夫なの?」


「うーん…でも、結構強引…なんだよなあ、あいつ。…でも、金取られるわけじゃないし、うーん…」


「…悩んでるね」


「まあ、ね。正直、ちょっと理解が追い付かなくて疲れる人。

 振り回されてるよなあ」


「ふうん、そうなんだ。じゃ、真希は今ボクシングができる、と」


「ま、まあ?一応…って感じ。初心者だけど…」


「スパーリングとかは?」


「何回かあるよ。プロスタイル?っていうの?ヘッドギアもなしなんだけど…」


「それは、その涼介って人の意向?」


「うん。…ってよく考えたら、結構危ないよな…」


「そうか。…でもちょうどいい」


「え?」


「真希、僕と試合しよ」


「…は?」


「ついでだから、その涼介ってやつも呼んでよ。僕もあいさつしたい」


「は!?!?」




 そして、数日後。


「いやー!真希!お前、ほんっとさいこう!マジGJ!」


「…いや、別にあんたのためじゃないけれど…」






 涼介と真希の秘密?の練習場。『兄の真央が俺と試合がしたいって言ってて』と真央を連れていくと、

涼介はすこぶるハイテンション。


「いやいやいや!兄弟対決!?しかも双子!さらには純白と褐色!くぅっ!こんな試合を見させてくれるとは…!

MOSO神は俺を愛してるに違いない!」


「…え?」


 今日も『何を言っているかわからない』に困惑する真希。それに対し、真央は淡々と言葉を発した。


「ねえ」


「おっと!すまない、双子・兄属性の真央だったな!」


「うん。属性ってのはよくわからないけど。それよりも、さっさとやりたいんだけど」


「おー、わりーわりー!今日の試合があまりにいいカードだったんでな!くぅっ!双子同士の兄弟対決だなんて!MOSOが捗るぅッ!」


「…MOSO…ね」


「ふふん、いつでも準備!出来てるぜえ!もちろん!プロスタイルでいいよな!」


 涼介はそう言うと、真央はこくりとうなづいてみせる。




「…まお兄、本当にいいの?」


「大丈夫」


「いや、大丈夫って…昨日も行ったじゃん。ヘッドギア無しとか危ないよ。スパーリングなんだから、ヘッドギアとかプロテクターつけて…」


「なんで?」


「なんで…って!ボクシングだよ!?殴り合いだよ!?俺達素人だよ!?」


「平気」


「平気って!」


「…だって、僕が真希に負けるわけがないもん」


「…え?」


「…ふふ」


「ま、まお兄…?」


「そのまんまの意味。…真希は僕を倒せない。そして、僕は真希をリングに沈める。…それだけのこと」



 真央はそう言うと表情を一変!ふふん、と笑みを浮かべながら———


 くいくいっ


「———どうしたの、真希?僕が怖いの?」


「ッ!」


 グローブでかかってこいと真希を挑発すると、その顔がいっぺんに赤くなった!


「まお兄…ッ!」


「そうそう、その顔その顔。———昔、真希と本気でケンカをしたときのことを思い出すよ」


「なにを!?」


「覚えてない?取っ組み合いになってケンカしてさ、仲直りするときに言った僕の言葉」


「そんな、昔のことなんて!」


「ふうん、でもいいや。僕は一度、真希と本気でやってみたかったんだよね」


 ———真央はそう言いながらファイティングポーズ!


「ッ!」


「僕が何でタイに行っていたか、知ってる?———護身術で格闘技を習うため。

やっぱり本場が一番って思ってね。だから、真希。…本気でおいで」


「う…!」


 その瞬間、真央から放たれる闘気ともいえるような気合!———真央は一瞬だけひるむ…が!


「…おやおやおやあ?真希くんは腰が引けちゃったかなあ?」


「涼介…ッ!」


「ふっふっふー、真希、いや、弟君?君は今、お兄さんに喧嘩を売られちゃったんだよ?

『お前じゃ僕には敵わない』ってね?…だったら、お兄さんをわからせてやるしかなくね?

ほら、演劇でもあったろ?…リングの上では拳で語れってな?」


「…ッ!」


 明らかに煽っている涼介の発言、そして態度!だけど…!


「…俺だって…!」


「お?」


「俺だって…!伊達に練習してるわけじゃない!だから…!


 真希はそう言うと、ぎゅっとグローブを握りしめる!


「後悔…すんなよ、まお兄!」


「ふふ、どれだけでもどーぞ。…やっと真希の本気が見られる♪」


「何!?」


「弟との死闘だなんて、血が騒ぐじゃん?…せいぜい、僕のワンマンショーにならないようにきばってよ、真希」


 真央は不敵な笑みを浮かべながらリングに上がり———真央もまた、リングに上がる。そして!


「…1ラウンド。1ノックダウンで終了といこうか。もっとも…真希が僕相手に3分持つとは思えないけど」


「舐めんな、まお兄!俺の力、見せつけてやる!」


 二人はにらみ合いながら一瞬即発!それを見た涼介は———


 カーンッ!


「Box!」


 リング下からゴングと声をかけると———


「まお兄ッ!」


「ふふ、来いよ真希。僕を楽しませて?」


 双子の兄弟の対決が今まさに!火ぶたを切って落とすのだった!





「ふふーん、いいねいいねえ、兄弟対決とか!マジMOSOが捗るってもんだ!さてさて、二人の試合、存分に楽しませてもらうぜえ…?」


 にやりと、笑みを浮かべながら二人の試合を観戦する涼介。———涼介は二人の試合を目に焼き付けるかのように頭をフル回転!

ワクワクとしながら、リングの戦いを見つめる。———開幕。先に手を出すのは真希。


「———シッ!シッシッ!」


 バスバスッ!


 鋭いジャブが真央のグローブを鋭く叩き、乾いた音が当たりに響き渡る!。


(ふうん、真希のやつ、やっぱ才能あるよな)


 涼介はその展開を見ながら真希の姿に思わず関心をする。———初心者ボクサーが真っ先にリングに上がってぶち当たる壁、

その一つが他人を殴る勇気。


(…前の試合でもそうだったけど、真希はその辺、しっかりクリアしているよな。ボクサーとしての自覚を無意識に持っている、って感じか)


 殴るのに慣れない人間のパンチ、というのはどこかヘロヘロとなってしまいがちだ。だけど、真希のジャブはしっかりと、

まるで真央をサンドバッグか何かに———手を出しジャブで牽制をする真希。

一方、真央は。


「………」


(手は出さず様子を伺う、か。慎重派か?)


 ガードを固め、真希のジャブがギリギリ届かない位置に足を動かし続ける。…そのステップ、距離を測る目は確かにハイレベルな感覚を受けるが———


(…攻めねえな。リーチの問題か?にしても…これじゃせっかくのMOSOが捗らねえなあ…)


 言ってしまえば退屈な試合。真希がひたすらにパンチを打ちだすだけの試合。


「くっ!このっ!あたれッ!」


 真希自体は必死にパンチを繰り出すものの、真央はただ、無表情でガードを固めながらひたすらに距離を調整するだけ。そんな試合。


(…ん-…なんだ?真央のやつ、攻めは苦手か?どっちにしても、動かねえ試合じゃMOSOも捗んねえな…)


 涼介は二人の試合に若干、残念な気持ちを抱いた———その時!


「このっ…!馬鹿に…するなっ!」


 ダンッ!


 しびれを切らした真希が大きく踏み込む!そして!


(真希、勝負に出たか!でも、そんな大ぶりじゃ…!)


 真央のステップに相手には当たらねえだろう、涼介がそう思った、その瞬間!


 バシィィィィィィィッ!


「ッ!」


「っ!やった!」


 真希のストレートは、真央のガードの隙間を貫通し———真央の顔面を吹き飛ばす!


(…え?あれ、当たるのか…?!)


「ぐっ…!」


「よおし!舐めんなよ、まお兄ッ!」


 一発、大きいのを当てた真希はさらにヒートアップ!ダンッ!と大きく踏み込み、真央の中へと入り込むと———


「ふっ!シッシッ!」


 バスゥッ!バシバシィッ!


「がっ…くぅっ!」


 手数重視のインファイト!真央の顔面にフックからのワンツーを叩き込み———


「シッ!シッシッ!シィッ!」


「———ッ!」


 バスバスバスッ!バスッ!バシィィィッ!


 そのままのラピッドパンチ!真央に攻撃をさせる隙も与えない真希の連打が真央を叩きのめす!


(———すげえ!真希のやつ、さらに強くなってんのか?!)


 涼介が真希の猛攻に思わず目を見張り———!


「シィッ!」


 バキィィィィィッ!


「…あぐっ!?」


(アッパーが入った!これは…!?)


 真央の体が大きく揺れる!———瞬間!


「まお兄!俺の…!俺の…勝ち…だぁぁっ!」


 ひゅおっ!


 フィニッシュ!連打、アッパーからの真希の踏み込んだストレートが放たれる!それは、まるで吸い込まれるように真央の顔面へと放たれると———!


「ふ」


 真央の口角が少しだけ上がる。———瞬間!


「遅い」


 スッ!


 真央は体勢をすぐさまに戻すとダッキング!


「え…!?」


 真希のストレートが真央の顔面があった位置をすり抜けると———


「シッ!」


 ドムゥゥッ!


「ご…はっ…!?」


 真央のボディーブローが真希の腹へと突き刺さる!


(ッ!すげえ、あの体勢からボディーブロー!…やっぱ、真央のやつ、わざとか!わざとパンチを受けてやがったな!)


 涼介の想像通り!真央は真希の腹を穿ち、さらにダンッ!と踏み込むと———!


「真希!ぼさっとしてんな!」


 ドスドスドスッ!ドッスゥゥゥゥゥゥゥゥッ!


「———ッ!」


 真央は真希の腹へボディーブローの連打!


(っ!すげえ、あのボディー…!腰までしっかり入ってる、ガチのボディー…!しかも連打…!)


 涼介の想像通り、いや、それ以上のボディー連打!真央はボディーブローの連打に耐え切れず、思わずガードが下がった———その瞬間!


「頑張ったね、真希」


「ッ!」


「でも、これでおしまい。———シィッ!」


 バッキィィィィィィィィィィィィィッ!


 真央の振り下ろすようなチョッピングストレートが真希のテンプルを射抜く!


「———ッ!」


 真希は声も出せず、体を大きく回転させながらバランスを崩すと———


 ドタァァァァァァンッ!


「が…あ……あ…!」


 ついにノックダウン!真希は信じられない、といった表情で天井を仰ぎながら、パクパクと口を動かすと———


「…ふう。思った以上に強かったよ、真希」


 ———試合は、悠然と話す真央の勝利に終わった。


「10!KnockOut!ブラアアアァァァァァッ!ボオオオォォォゥッ!!」


 カンカンカンカーンッ!


 涼介はゴングを鳴らすと同時にスタンドアップオペレーション!大きく拍手をした!


「いや!やばい!お前らやばい!マジサイコー!」


 ———涼介はリングに上がる。


「っかー!これだからボクシングはたまんねえなあ、おい!ってか、おい、真希!真希!大丈夫か!?」


「う…うー…」


「安心しろ、急所は外した。そのうち目が覚めるさ」


「どこがだよ、本気で顎狙ってぶち当てたじゃねーか。…ったく、こえ―男だな」


「何で?」


「何で、じゃねーよ。…あんた、相当な手練れの癖に…真希にわざと打たせてやったんだろ」


「わかるのか?」


「そらまあな。これでもボクサーだし」


「ふぅん。口だけの変な奴、って思ってたけどそうでもないんだ」


「失礼だな!?俺はこう見えても健全なモデル兼ボクサーなんだぜい!」


「あっそ」


「あっそ…ってねえ。知らないのか?伊東涼介。今モデル界でも大注目のアクションスターモデルなんだぜい!オラ、この俺が表紙を飾った雑誌をプレゼントだ!」


「どうでもいい」


「っかー!反応薄いねえってか捨てんな!」


「まあ、今回の試合は思った以上に収穫があったよ。やっぱり、真希には格闘技のセンスがある」


「…やっぱそう思う?」


「昔、取っ組み合いの大喧嘩をしたときに少し、思ってね。もっとも、かたくなに格闘技をやりたがらない真希がボクシングをここまでやるのは予想外だったけど」


「ふふん、それはこの俺のカリスマってやつだよなー!なーっはっはっは!」


「…それに」


「潰さなきゃいけない奴っていうのも理解したから」


「へ?」


 ———瞬間!


 ビュッ!


「うおっ!?てめ、いきなりパンチ打つとかどういう了見だ!」


「決まってるだろ。…真希に無理やりボクシングをさせるお前は兄として見過ごせない」


「は!?無理やりなわけないだろ!」


「…真希が言ってたよ。『ちょっと理解が追い付かなくて疲れる人。振り回されてるよなあ』って」


「あ!?え!?あ!?」


「真希を振り回すやつは僕が許さない。真希は見せものじゃないんだ。…さあ、次は僕と試合をしてもらおうか?伊東涼介…!」


「うおッ!?」


 瞬間、真希の体から覇気、いや、殺気ともいえるオーラが涼介を押し返す!———涼介は一瞬、その気に押され一歩たじろぐも。


(…あ、待てよ?)


 その瞬間、涼介の頭に電流が走る!


(双子の弟をやられてガチ切れの双子の兄ボクサー!復讐のためにリングに立つってこれ、めっちゃMOSOしがいのあるシチュエーションじゃねえ!?)


「ふ」


 ———涼介の顔に不敵な笑みが浮かぶ!


「ならば来るがいい!お前も弟と同じように!俺の拳で沈めてやろう!」


「…貴様」


「なーっはっはっはっはっはー!俺を倒せると思うなよ、真央!」


 涼介はすぐさまグローブをつけ、上着を脱ぎ捨て!あっという間にボクサースタイルとなるとリングに上がり———!



「っしゃああ!」


 バァンッ!


 胸前でグローブを叩き合わせ、気合を入れた!


「これもMOSOのため!お前にも真希にもリングに沈んでもらう!覚悟しろ、真央!」


「来い。…真希を振り回したこと、死ぬほど後悔させてやる。死ぬほど…な」


「なーっはっはっはっはー!お前ごときにやられる涼介様ではないわー!」


 すっかり出来上がった涼介。そして、そんな涼介に殺意を向ける真央!———ファイティングポーズを取り合い睨み合う二人。もはやゴングを鳴らす相手もいない二人だけの試合。


 カチッ!


 時計の長身が進み、音が鳴り響いたその瞬間!


「…潰す!」


 動いたのは真央!真央はダンッ!と開幕より大きく踏み込むと———!


「シッ!」


 鋭いストレート!先ほどの真希との試合とは違う、無駄も隙の無い鋭い一撃!


「っ!あぶね!」


 涼介はそれをスウェーバック!何とかかわすと———


「なろうッ!」


 打ち返しのストレート!涼介の赤いグローブは真央の顔面へと迫ると———


「ふっ!」


 バシィッ!


 真央はパーリング!涼介のそれをはじき、耐性を崩させると———


 ダンッ!


 真央はさらに前へと突っ込む!


「このっ…!シィッ!」


 涼介は体勢を戻しながらもワンツーのラッシュ!真央を迎え撃つも———


 バスバスッ!バスッ!


(ちっ!ガードがかてえ…!)


 真央はガードを崩さず、さらに突撃をかけて来る!


「くっ…!」


 涼介は距離を取ろうとバックステップを踏むも———


 くんっ!


(うおっ!?ロープ…追い詰められてたってのか!?)


 涼介は額に汗を流す!———追い詰めるような真央のステップワーク!


「追い詰めた」


「くっ!」


 ロープを背負った涼介は歯を食いしばり、覚悟を決めると———!


「潰す…!シィッ!」


 ドムゥゥゥゥゥゥゥッ!


「うぐっ…?!」


(き…ちぃ…!)


 真央のグローブが腹にめり込み、涼介は思わず唾を吐き散らす!———が!


「まだだ」


「ッ!」


 バキィィィィィィィッ!


「ぐへあっ!?」


 間髪入れず、真央の右フックが涼介の顔面を吹き飛ばす!


(く…ぅっ…!ま…ずい…!)


 途切れることのない連撃!涼介は真央のパンチに思わず目を廻すと———!


「終わりだ」


 バッシィィィィィィィィィッ!


「———ッ!」


 真央のアッパーが涼介の顎をきれいに跳ね上げた!


「がっ…あっ…!?」


 涼介の口からマウスピースが飛び出る!涼介は思わず、後ろへとその体を倒すと———


 ドタァァァンッ!


「がはあっ!?」


 涼介は大の字にダウン!


「げほっ!ごほっ!がはっ!」


 ———リングマットに沈んだ衝撃に思わずせき込んだ!


「ふ、この程度か。真希のが強かったな。———二度と真希に近づくな。いいな」


 真央は涼介をふん、と鼻で笑い———リングを降りようとすると。


「にゃ…ろう…!まだまだ…!」


 涼介は立ち上がる!———だが、先ほどの連撃の当たり所が悪かったのか、額から出血している。だが…!


「オラ来い!MOSOの為にも負けられねーんだよ!」


「…死にぞこないが!」


 涼介はそれでも、と闘志を燃やす!———そう、MOSOの為に、ここで真希も!真央も手放すわけにはいかない!


「オラ、俺のパンチも…もってけよ、真央!シィッ!」


 涼介はジャブを放つ!


「ふん」


 真央は見越したかのように、そのジャブをくいっと、頭を傾けて避けると———


「うおおおおおおおおおっ!」


 涼介はさらにストレート!———単純なワンツー、だが、涼介の本文であるスピードがノリに乗ったストレート!素早い一撃が真央へと迫る!…が!


「これで終わらせてやる」


 真央は静かに声を出す。———瞬間!


「ッ!」


 真央の目がギラリと輝き———!


「おおおおおおおおッ!」


 真央は涼介のストレートに合わせ、上から打ち下ろすようなフックでのカウンターを仕掛ける!———真央の必殺の打ち下ろすような一撃!それは涼介のパンチをかいくぐるかのように唸り、涼介の顔面へと炸裂しようとした———その時だった!


「にゃろうっ!」


「っ!?」


 そのカウンターを見越していたかのように、涼介の左が動く!ストレートを放った手を引きつつ、涼介は顔を傾け———真央の打ち下ろしのフックを紙一重で避けながら———!


「おーりゃああああああっ!」


 バッキイィィィィィィィィィッ!


「———ばか…な…?!」


 涼介の左ストレートが真央の顔面を貫く!———完全に不意を打たれた真央は、その一撃に思わずぐらり、と揺らぐと———!


「シィッ!」


 バッキィィィィィィィィィィィッ!




 涼介のアッパーが赤い弧を描き———!


「———ぐッ!あ…ッ!?」


 真央はマウスピースを吐き出しながらぐらり、とその体を真後ろへと倒した。そして———!


 ドタァァァァァンッ!


「がっ…あ……あぐっ…!がはあっ!ばか…な…!」


「にゃめんじゃねえぞ、こんちくしょうッ!」


 涼介はついに、真央をリングマットへと沈めると———


「はあっ!はあっ!…あー、しんど……って…あ…あれ…お…お…!?」


 ドタァァァァンッ!


 涼介もまた、体が崩れると———


「う…うげえ……ぐ…へ…」


 リングマットにノックダウン。———涼介と真央、二人は仲良くリングマットに沈んだのであった…。






 それから、2週間後。


「…真希、ただいま」


「まお兄!また1週間もふらっと姿消して!どこ行ってたの!?」


「…タイ」


「タイって…またなんで…」


「真希にたかるあいつをぶっ飛ばすため」


「…涼介のこと?まあ…気持はわかるけど…」


 あの日、散々に死闘を繰り広げた真央と涼介。———涼介に負けた真央はあれ以来、涼介に目を付けた。真希に悪影響を及ぼしかねないあいつ。だが、実力で負けた以上、もっと強くならねばならない!———そう思った真央は今まで以上に学業と海外でのトレーニングに力を入れていた。———そして。


「ねえ、まお兄。涼介はいいんだけど…もう一人、忘れていない?」


「…ん?」


「俺もまお兄に負けたんだけど」


「お前は弟だから」


「かんけーない。…俺、あれから涼介にボクシングトレーニング!ガチで入れてもらってもっと強くなってるから!———次はまお兄にも負けないよ!」


「…なに?」


「ふふ、次のスパーリングも楽しみだな!あー!まお兄ぶっ飛ばすぞー!」


 いつの間にか出来上がった不思議な三角関係。真央は何とも言えない表情を、真希はウキウキした表情を向き合いながら。…二人は今日も仲良く、オムライスを食べるのであった。



「へっくし!…あー…真央との試合?二度とすっか!あいつつえーし!MOSOするどころじゃねーし!ああいうのはMOSOが一番だって!ほんと!くっそー!覚えてろよ!次会ったら今度はよゆーでボッコボコにしちゃるからなー!」


【END】

(シナリオライター・ミケ空さん)


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今回は、モブ兄弟with涼クンの絡みをミケ空さんにおねだりして、

誕生日に戴きました☆

ショートストーリーとして皆様にも公開させていただきますね^^

今回は黒モブ君が白モブ君をKOしたわけですが、いつかプロのリングで2人とも再戦して欲しいと願ってやまない私なのです( ̄∇ ̄)

双子の兄弟対決しか得られない栄養分が確かにある☆

涼クンとの三角関係に、今後も注目くださいネ^^


ミケ空さん、今回は素敵なストーリーを戴きまして

ありがとうございましたm(_



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今回は以上になります^^

もしこのSSで見たいシーンがあればイラストを追記したいので、

コメント欄かDMでご連絡くださいませ(*´▽`*)


来月も引き続きよろしくお願いします^^


Thalys



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Comments

実に涼クンらしくて私も大好きです(*´▽`*) 何な事言いつつ、じつはボロボロな面も含めて😁😁

Thalys

地味ににゃめんじゃねえぞ、が好きだったりします😁

ミケ空

セレマナーさんいつもご支援ありがとうございます(*´▽`*) KOシーン了解しました☆ 出来上がりましたらまた告知しますね^^

Thalys

初コメント失礼します!涼くんが黒モブくんをKOするシーンのイラストが見てみたいです!

セレマナー


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