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ヴァニラアイス2
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S.T.KNIGHTS ミッション 「不可侵の協定を破って侵入した獣人に制裁を加えよ」前半

この日、特に任務を与えられず部屋で待機、というかベッドに寝転がって漫画を読んで楽しんでいた橙真舜(とうましゅん)だが、突然腕時計型の端末にアラームが鳴った。


舜「ああ、また任務か。ちょうどいい所だったのに。」

漫画がちょうど盛り上がっているところに水をさされて不機嫌になる舜。

とはいえ、舜が所属するS.T.インスティテュートの命令は絶対だ。

怠そうに身なりを整えて、ホワイト司令・白鳥翼(しらとりつばさ)のいる司令室に向かった。



翼「つい先程の通報で、ある獣人が我々人間界との国境線を越え、侵入してきたという情報が入った。今回の任務は、新人の空見響(そらみひびき)と共に、獣人の横暴を止めてもらう。」

翼の横にいる参謀のイエロー・黄田雷(きだらい)が手元の端末を操作し、司令室にある巨大モニターに地図を映し出した。

雷「我々S.T.インスティテュートと、獣人族との間に結ばれた国境不可侵の協定…それを破って1人の獣人が人間界に侵入してきました。場所はこちらです!」

モニター上の地図のある地点が点滅している。

舜「獣人との戦いはこの前終わって、やっと休戦協定を結んだところでしょ?もうそれを破って侵入してきたっていうんですかあ?」

翼「獣人達は血の気の多い者が多いからな。今回の休戦に納得のできない者が暴れているのかもしれない。」

舜「わかりました!俺に任せてください♪…ってその新人の響ってのがいませんが?」

翼「ああ…舜は彼とのコンビは初だったかな。彼はちょっと独特の世界観を持つ奴でな…今頃S.T.インスティテュートの音楽室にいるんじゃないかな。悪いが音楽室に赴いて、彼に今回の任務を説明し現地に向かってくれないかい?」

舜「独特の世界観って…?」

翼「会えばわかるよ。」



音楽室に近づくにつれ重厚なピアノの音が聞こえてきた。

かなり勇ましい曲調だ。

聞いているだけで気持ちが昂ってくる。

部屋に入ると小柄な男の子が体を前後左右に揺すぶりながら感情を込めてピアノを演奏していた。

舜(コイツが響か…なんか完全に自分の世界に入っているな…)

舜は何度か演奏中の響に声をかけたが、当人は気づいておらず、何度目かの声かけでようやく響は舜の存在に気が付き、演奏を止めた。


舜「初めましてだな!俺は舜!よろしくな!」と手を差し出す舜。

ところが握手をするどころか軽蔑の視線をおくり返す響。

舜(ん…?なんでドン引きされてんだ?)

響「あなたがS.T.KNIGHTSのオレンジ…橙真舜センパイですか……」

舜「あ…ああそうだ!お前は空見響…だよな…?俺とは初めての任務だけど…な…仲良く頑張って行こうぜ♪」

できるだけ明るい声質で話しかけるがまったく響かない。

響「なんか…センパイ…いやらしい目で僕を見てますね…」

舜「はあ!?なんで俺がお前を…」と一歩前に踏み出すが、

響「いやあああ!!近寄らないでください!!ヘンタイ!!」と全力で後退りする響。

舜「お、おい!ちょっと待て!俺がなんかしたか!?落ち着けよ!ほら、なんもしねえから…!」

響「……2m以内に近寄らないでください…!」

舜「おい!まるで俺を犯罪者みたいに扱うなよ!」(こいつ…妄想癖あるんじゃねえか…?)

響「…なんか…センパイとは音楽性の違いというか…波長が合わなさそうなので…」

舜「音楽性の違いって…ロックバンドかよ…」

頭を抱える舜。

舜(やべえ…なんだコイツ…。こんな奴とコンビ組んで大丈夫なのかよ…先が思いやられるぜ…)


舜(なるほど、ホワイト司令が言ってた独特の世界観ってこういうことなのね…)

ため息をつきながら響に今回の任務を説明するも、聞いているのかいないのか、反応が薄い響。捉えどころのない響に対して不安が募る舜。お互い打ち解けず、不協和音のまま獣人が出現したポイントに向かう2人。




獣人が現れたという地点は自然豊かなのどかな村だったが、木造の家が無惨に破壊されているところがたくさんあった。獣人が暴れ回ったのだろう。

心を痛めながら村を見回っていると筋骨隆々の1人の獣人とでくわした。

長い銀色の髪に銀色の尻尾。狼を思わせる、いかにも凶悪そうな獣人であった。

獣人「よおお!てめえらがS.T.KNIGHTSとかいう奴らだなあ!?」

響(こ…これが獣人…!?す…すごく強そうだ…)

戦士になったばかりで、まだ実践経験の浅い響。その表情は明らかに恐怖に駆られていた。舜は横目で響の表情を確認し、(まだまだ実戦は早えんじゃねえの?)と心の中で思ったが、そうも言ってられない。


舜「おい!俺たちはこの前の戦いでお互い消耗し、それでやっとお前んとこの獣人王と結んだ休戦・不可侵の約束だったんじゃねえのかよ!何でまた俺たちの領土を侵すんだよ!?」


獣人「ふん!!今の獣人王は生ぬるいんだよ!俺は休戦なんぞ支持しねえ!血に飢えた俺たちを満足させるのは"戦い"だけだ!獣人の世界は力が全て…いずれこの俺…イグード様が今の獣人王をぶっ殺して、獣人王になってやるのさ!」


舜「へっ!暴力で何でもかんでも解決しようってクチだな!話し合いが通じるような相手でもねえな!」身構える舜。

イグード「クク…話が早くて助かるぜ!」

舜「おい響!変身して一気に叩くぜ!準備はいいな♪」

響「お…大きい声を出さないでくださいよセンパイ…!僕には僕のペースがあるんです…」

舜(なんなんだよコイツ…全くノリが合わねえ…!)

相変わらずマイペースな響に調子を狂わされる舜だが、とにもかくにも2人は光に包まれ変身した。


舜は両手に短めの剣を構え、響は左手に巨大な盾、右手に細身の剣を構えた。


イグード「へっ!どっちも殴ればすぐにへし折れちまいそうな華奢な体じゃねえか!かかってこいよ!」


先手を打ったのは舜だった。

舜はS.T.KNIGHTSで随一の俊敏さを誇っている。

瞬時にイグードの背後へまわり、双剣で背中を切り付けた。

イグード「ぐっ!痛っえーなゴミが!」

拳をぶん回すイグード。だが全く舜には当たらない。舜の高速のフットワークでイグードの攻撃を躱しているのだ。

イグードは「蚊みてえに飛び回んじゃねえよ!」とイラつくが大ぶりな攻撃は舜に届かない。

舜はさらにスピードに乗ってイグードの体を双剣で傷つけるが、しかし致命的はダメージを与えられている気配は一向にない。


舜(コイツ…硬え…!)

獣人の防御力が思ったより高かったということもあるが、

舜の致命的な欠点…それはスピードはあるが攻撃力が低いという点だ。

S.T.KNIGHTSのレッド・赤羽勇(あかねゆう)と比べると、その威力は雲泥の差だろう。

獣人の体に細かい傷はつけられるものの、ダメージはほとんど与えられていないというのが現状だろう。相棒の響は全く当てにならず、いまだにビビって動けずじまいだ。焦る舜。


舜「ちっくしょう!さっさとくたばれ!双隼撃(そうしゅんげき)!!」

と双剣をX字型に繰り出す必殺技を出したが、相手にはまた大したダメージを与えられず、それどころが必殺技を出した後のスキを的確に見極められ、土手っ腹に渾身のパンチを喰らってしまう舜。


舜「ぐはっ!!」

舜の胴の部分の鎧は粉々に砕け散ってしまう。

血を吐きながら後方に吹き飛んでしまう舜。

獣人イグードのパンチ1発はとてつもない威力だった。


イグード「へっ!やっぱり大したこたあねえな!おい!そっちの水色のは何もしてこねえのかよ!?」

イグードの次の興味は未だに何もアクションを起こせてない空見響だった。


獣人の強烈な殺気に気圧されてしまう響だが、

響「な…舐めるな!ぼ…僕だって…S.T.KNIGHTSに任命された…せ…戦士の1人なんだ…!」

と叫ぶ響。

イグード「ビビって何も出来ねえのが戦士だと!?笑かすにしてももっとマシな冗談を言えよ!」

と突進してくるイグード。

響はさっと巨大な盾を構える。


ガンっ!!


鈍い音が鳴った。


イグード「ぐああ!!痛っえええ!!」

右拳をおさえるイグード。


響の盾はS.T.KNIGHTSで最強の硬さを誇る盾だ。

思いっきり右手で盾を砕こうとしたイグードは逆に右手の骨にヒビが入ってしまった。

響(だ…大丈夫だ…!僕の盾は何でも防ぐことが…できる…最強の盾なんだ…!)

そう思ったのも束の間。


ベギッ!!!


右脇腹に激痛が走る。

イグードが瞬時に左手で響の右脇腹に強烈なパンチを入れたのだ。

ベギベギベギ…!!

響の上半身の鎧も粉々に粉砕してしまった。

イグード「ヘッ!盾は硬えが…お前たちのその立派な鎧は思ったより脆いようだなあ!」

イグードさらに無防備となった響の体にパンチを何発も浴びせる。

響「ぐはっ!!ゲホっ!ぐああ!!」

苦痛に悶える響。


「や…やめろお!!」と再び双剣を構え叫ぶ橙真舜。

舜「それ以上、響に手を出すんじゃねえ!やるなら俺をやれ!!」

イグード「おうおう!泣けるじゃねえか!弱虫同士の友情ってやつか!?悔しかったら助けてみろよ、ホラ!!」

そう言って響の腹を足で思いっきり踏みつけるイグード。

響「ぐほっ!!」

苦痛に歪む響の表情。


舜「へっ!!自分よりも弱え奴を痛めつけるしか己の欲望を満足させることができねえんだなお前は…!」

イグード「何だと?」

イグードを挑発する舜。

舜「だってそいつは…響は戦士になってまだ日が浅え半人前の状態なんだぜ?そんな奴をいたぶって満足してるなんて…ああ…未来の獣人王様が聞いて呆れるぜ♩」

イグード「き…貴様あ…!!雑魚が調子に乗ってんじゃねえぞ!!」

舜「あっ!頭に来てるってことは図星なんだっ♪ 今までお前のいうところの"雑魚"…"弱いもの"いじめをして"ボクを認めてよ〜"なんて小っちぇえ承認欲求を満たしてきたんだなあ〜♪カワイソーなヤツだぜ!」


これにはイグードはブチ切れた。

イグード「……いい根性してやがるぜ…!…てめえは…もういくら泣き叫んでも許さねえ!俺の全力でぶち殺してやる…!」


プライドを傷付けられたイグードはもう響に興味はないと言わんばかりに、響を蹴り飛ばし、舜の方に向かってくる。それと同時に…


イグード「獣人を怒らせたらどうなるか…思い知るがいい…!!」

バキバキ…ベキベキ…

と獣人はみるみる体型を変えていき、より獣に近い形になっていく。

獣人の戦闘態勢だ。


舜 (ああ…響から俺に矛先を向けられたのはいいけど…これはいよいよやべえなあ…♪)

ニヤリと笑う舜だが、さてどうやってこのよりパワーアップした獣人を攻略していけばいいのか…全く糸口のないまま双剣を構える。


響 (舜センパイ…僕を庇って…このまま何もしないで…足手纏いのまま終われるか…!)

響は満身創痍の体を何とか動かし、自分の武器である盾と剣を拾いに行った。

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Comments

新メンバーの響、気に入っていただけて幸いです^^

苦痛に歪む響の顔がめちゃいい👍

ken


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