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牛帝
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穴の開いた船

エヴァンゲリオンの庵野監督が、たしか、大昔の『アニメスタイル』という雑誌のインタビューで、


「アニメ制作ってのは基本的に穴の開いた船だから。船が沈む前に対岸にたどり着けるか、それだけなんですよ」


みたいな発言されていました。


これを身をもって理解したのは、自分の長期連載『同人王』がエターなりかけてた時です。


2009年段階では、一生終わらなかった可能性もかなりありましたが、2010年の正月ごろに、


「このままでは一生終わらない。漫画は誰も助けてくれない。庵野監督の例えでいうと、対岸にたどり着く前に船が沈む。もう腹をくくって、2010年を丸々ささげて、今年完結させよう」


と決断しました。


2009年段階では、エターなりかけてるのに、このあとさらに話が膨らむ構想でしたが、予定を変更して、風呂敷をたたむことに専念。なんとか話の着地点を見つけだし、予定通り、ほぼ一年間でなんとか完結させました。


もし、2010年の正月に、厳しい現実と折り合いをつけて完結させる決断ができなかったら、いまだに『同人王』が終わってなかった可能性もかなりありました。


それから7年がたって2017年。『Twitter4コマ作家物語』という新連載を立ち上げました。


前回の反省を踏まえて、連載開始前に話を最後まで決めて、エターなりを防ぎつつ、ペイント漫画の早さを活かして、毎週16ページくらい更新して、2~3ヶ月で完結させる予定でした。


しかし、甘い目論見と裏腹に、早々と計画は崩壊。そのまま塩漬けで2年半がたちました。


これに関しても、今年の正月に覚悟を決めて、


「とりあえず他の漫画をすべてストップして、今年前半を丸々使って、まずは『Twitter4コマ作家物語』を片付ける」


と決断。それから4ヶ月かけて完結させました。


その後、ご存じのようにコロナ禍が発生して、即売会が滅びかける事態になってしまいました。


完結した4月段階では、物語のクライマックスである『同人王オンリーイベント』のシーンはまだ鮮度を保っていましたが、今となっては即売会は存亡の危機ですので、物語のニュアンスが変わってしまった可能性があります。


また、先日一人暮らしを開始して、収入面でかなり厳しくなったので、もしも4月に完結してなくて、8月末のいまから4ヶ月かけて完結させるとなると、預金残高的に厳しく、完結は不可能だったでしょう。


『同人王』も、『Twitter4コマ作家物語』も、賞味期限が切れる直前、船が大量の海水に沈む直前に、なんとか対岸にたどり着けた感じです。


僕は考え方が異常にネガティブで、日常生活では損をすることばかりですが、創作活動に関しては、持ち前の異常なネガティブさで、常人なら「まだ大丈夫」と思う局面でも、「このまま行くと助からない」と悪い方に判断して、結果的にギリギリ大怪我を回避した局面が何度かあります。


人生は『穴の開いた船』のような状況が往々にしてあるというか、極論をいえば、世の中のすべては『穴の開いた船』であり、仏教でいうところの『諸行無常』という言葉がそれに該当するような気もしています。


世の中にはいつまでも続くものなどなく、今日大丈夫なものは、明日も大丈夫かもしれないけど、一週間後にはダメになってるかもしれません。船が沈む前にギリギリ対岸にたどり着いたり、ごちそうが腐る前に食べたりするのを最近は心がけています。

Comments

商業漫画なら、良くも悪くも〆切がありますが、〆切もなければ、報酬も基本的にはない同人漫画では、どこまで行っても自分との戦いです。

牛帝

物事に対するモチベーションの維持は全人類共通の悩みですな多分。

kotaro


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