DoujinStars
牛帝
牛帝

fanbox


『反脆弱性』は貧乏人には使えない

最近はコロナやら何やらで、「めったに起きないけど、ごくまれに起きると大被害を及ぼす現象」を意味する『ブラック・スワン』という言葉を聞く機会があったかもしれません。


これの提唱者が、ナシーム・ニコラス・タレブという人です。


タレブの著書は、『ブラック・スワン』が有名ですが、他にもいくつかあります。


個人的には、『反脆弱性』という本が、WEB漫画の性質とは相性が良いのではないかという気がして、かなり読み込んでいました。


ですが、よくよく考えてみると、もともと恵まれた立場の人間じゃないと、タレブ理論は使えないのではないかという気もしています。


一例をあげますと、『反脆弱性』には『バーベル戦略』という概念が出てきます。


自分なりにザックリ要約しますと、投資をする際に、資産の9割は安全な現金とかで持っておいて、1割を超ハイリスクな証券とかに投資します。


すると、最悪のケースでも資産を1割以上失うことはないので、破滅の可能性はゼロですが、超ハイリスクな投資がワンチャン吉と出た場合、めちゃめちゃリターンがデカいという戦略です。


普通の考えでは、中程度のリスクの投資に全財産ブッこむ方が得っぽいですが、これは最悪の場合、リスクの計算違いで破滅する可能性があるので、『バーベル戦略』の方が安全だし、うま味だとタレブは説明しています。


『バーベル戦略』は、投資だけではなく、人生にも応用できるとしています。


例えば作家業は、もともとハイリスク・ハイリターンなので、安全策である一般職と組み合わせるとうま味です。


ヒマな閑職に就きながら、余暇の時間で作品作りをすれば、生活を心配することもないですし、もしも大ヒットを飛ばせれば最強。実際にそういうやり方で大成した人は多いですし、タレブ自身も昔はそうしていたと解説されていました。


まったくもって正論ですが、いまの日本に『ヒマな閑職』なんかないですし、あったとしても、自分のような非正規雇用おじさんに就けるわけがありません。


投資に限っても、そもそも生活費自体がないのだから、投資をするお金があるわけがない。


『反脆弱性』の『バーベル戦略』は、もともと余ったお金を投資に回せるくらいお金持ちだったり、生活が安定していて、かつ、余暇にモリモリ創作活動ができるくらいホワイトな企業に勤めている恵まれた連中が、人生をより盤石にするためのテクニックであって、そもそもガチでお金がないし、ブラックな仕事しかないド底辺非正規雇用おじさんが、どん底から人生を這い上がるケースはまったく想定しておらず、自分には根本的に使えないのではないか。


しかし、ハウツーというのはだいたいそういうものです。例えば絵の教本なんかも、もともと画才があり、ほっといても上手くなれる連中に技術を教えて、ますます上手くするための本はいくらでもあります。


いくら描いてもサッパリ上達しないガチ凡才を、プロの最底辺レベルくらいまで引き上げるという触れ込みの本もありますが、内容にかなりごまかしがあり、実際に使える本はほぼありません。


若いころの僕は、2桁単位で絵画技法書を買いあさってましたが、実際に効果があったと思えた本は2冊程度でした。


他の例では、Twitterでもよくネタにされてますが、人生がキツくなった時にメンタル系の本を読むと、「恋人のおかげで立ち直れました」みたいなのばかりで、非モテの自分からすると、そりゃ恋人がいるならほっといても立ち直れるだろと思いますし、これもまた自分には何の参考にもなりません。


僕のような底辺の人間の主観では、世の中のすべてがそんな感じで、ハウツー本やらなにやらは世の中にあふれかえっているのに、自分が本当に必要としているものは、嘘だろというくらいまったく見つかりません。


底辺の人生は、他人が救ってくれるようなものではないので、残念ですが、自力で何とかするしかないのだと思います。

Comments

昔から読書は好きですが、残念ながらほとんど身についてはいないですね…(´・ω・`)

牛帝

牛帝さんは色々本を読まれていて博識ですね。感心します。

takashi303


More Creators