「あのぉ…、きみ、大丈夫かい?」
頭上から声がした。俺は意識を取り戻す。目覚めるとそこは、あの路地裏。
俺は慌てて飛び起きて周囲を見回す。しかしそこには、あの男の姿は、影も形もなくなっていた。
「え、あ……、俺……」
「こんなとこで倒れ込んでると、警察が来ちゃうよ。お酒でも飲んでるのかい?」
親切そうな――少しぽっちゃりした眼鏡のサラリーマンが、困った顔で言う。
「い、いえ……その……」
「補導されないように早く家に帰りな、ね?」
男がこちらに手を伸ばした。ぷくぷくした肉厚な手。
俺はその手の向こうの男の顔を見た。男は決してイケメンと言えるような顔つきではなかったが――なんだか、無性に魅力的に映った。
例えるならば、腹の減った夜中にSNSに流れてきた脂っこい料理の写真を見たときのような……。
俺はぼんやりと男を見つめ続けた。
「ん?」
男が微笑んで手を軽く振る。
なんで、俺。
俺は急に正気に戻る。
こんな冴えないサラリーマンのこと……。
むずっと股間がむずついた。その違和感と同時に、自分の股間がびっしょりと濡れていることに気づいた。夢精したときみたいなその感覚で、それが精液だとわかる。
「本当に酔っ払ってるのかい?」
男が、困ったような顔をして言った。その男の頼りない表情を見たとき――俺の心臓が強く強く高鳴った。
男のスラックスの股間を見た。そこには、大きな体にふさわしい体積があった。
ごくっと、俺の喉を唾液が通過する。
――うまそうだ。
「え?」
俺は、思わず声に出していたらしい。
「えっ、いや、なんでも、ないっす」
俺は慌てて首を振り、仕方なく差し出された男の手を掴んだ。ぐい、と男は思いのほか力強く俺を引き上げる。あまりに勢いがついたせいで、男にもたれかかってしまった。
「おっと」
男が言う。男の体からは、一日の労働のにおいがしていた。――男の体臭。くらくらするような蠱惑的なにおいだった。俺の頭の中を何かが激しく、警告音のようなものとともに通り過ぎた。その体臭。そのにおいに何か覚えがあった。そしてそれが、とても危険なものだということも。しかしそれと同時に、それは果てしなく魅力的なにおいだということも……。
「あはは、大丈夫かい?」
男が笑って語りかける。
――食べたい。
――俺は、この男を食べたい。
――この男の生気が欲しい。
「あ、ありがとうございました」
俺は男に礼を言った。そうすれば、素直なこの男はまっすぐこちらを見つめてくるはずだった。
果たして、男はこちらを見た。
「あの、……『そこで、ズボンからちんこを出してくれませんか?』」
俺は言った。俺自身の口が、二重にも聞こえるような奇妙な音を放った。
「え?きみ、なに、言って……」
男のたれ目が、ぼうっと宙を見つめる。口がぼんやり開いて、太い腕がゆっくりと動いた。
「あえ、おれ、なん、で……」
男の捲り上げた袖から伸びた白く少し毛の生えた腕が、ゆっくりと股間に伸びていく。
「いいですよ、『そのまま、ちんこ出しちゃいましょう』」
「あ、あ、……うん、……ちんこぉ……出すぅ」
ジイ――とジッパーが降ろされて、女性器を開くときのようにその隙間から水色のパンツが覗いた。おそらく、トランクスだろう。男の指は器用な動きでそのトランクスだけをズボンの中でずりおろして、その中のものをぐいと引っ張り出した。
ぼろん、という効果音をつけたくなる存在感のある大きなモノが晒された。
その大きく立派で、男の色白な肌と比べて浅黒い他人のちんこ。
それをまじまじ見つめた俺の口の中で――
唾液がどくどくと溢れ出した。
うまそう。
うまそう。
うまそう。
頭の中がチカチカして、俺は何も考えられなくなっていく。
俺はゆらりと立ち上がり、男に正対すると言った。
「お兄さん、名前は何て言うのさ。仕事は何してるの?」
男はスラックスからちんぽをだらんと露出させたままの状態で、間抜けに自己紹介をした。
「おれ、はぁ……さわだ、ひとし……です、かいしゃでは…、えいぎょうで、そとまわりを……」
なるほど。だからこんなに雄のにおいをぷんぷんとさせているのか。もう季節は夏だ。男は取引先を回って、いっぱい汗をかいたのだろう。
「お兄さん、彼女はいるのかな?セックスはどれくらいするの…?オナニーは、どれくらいする?」
澤田の顔が、少し苦しそうに歪んだ。どうやら抵抗しているようだ。
「『正直に答えてよ』」
俺の手は自然に澤田のちんこに伸びた。澤田のその立派なイチモツを、くちゅくちゅといやらしい音を立てながら扱き出す。
「あッ!ハァッ♡」
澤田の目が快楽に歪み、潤んだ。俺は耳元に口を近づけ、呼吸を多めに澤田に囁きかける。
「ほら…俺が気持ちよくしてあげるから……♡素直になって、答えてよ……」
「んっんぁッ……亀頭擦られると……あぁッ♡」
くいっ♡くいっ♡と澤田は腰を少し前に突き出す。
「ほら…♡答えて」
「あん♡あんぁぁ♡……おれっ、おれ、はぁ……かのじょは、いませ、ん……どう、どうてい、です……おな、オナニー、はぁ……毎日ぃ……していますぅ……」
潤んだ目に物欲しそうな色を浮かべて、澤田は俺を見つめてくる。とてもかわいいと俺は思った。
「へぇ♡お兄さん童貞なんだ…♡かわいらしい感じなのに、ぷふっ、残念だね♡」
「かわ、いぃい……?」
呆けた澤田の顔に、微かににへらと笑みが浮かんだ。ぴくっと、その勃起ペニスが反応し震える。ぐちゅっぐちゅっと手のひらで亀頭をねじるように擦りながら俺は言う。
「うん、とってもかわいいよ…。お兄さん、すっごくかわいいから、……お兄さんの生気が欲しくなっちゃった」
「せい、きぃ……?」
「そう、生気」
俺はその場に膝をついた。ちょうど眼前に、澤田のモノがでんとそそり立っている。大きい。そして、そこもまた――非常に濃厚な臭気を放っていた。一日の労働で蒸れた臭いちんぽ。ああ、ああ。
なんて、なんて――。
俺はたまらず、澤田のちんぽにむしゃぶりついた。
「あっあぁっ、だめ、そんな、だめだ!」
澤田が叫ぶ。
もちろん俺はそんな声を無視して、澤田のちんぽの塩辛い味を存分に堪能する。
「んぅ♡ふうっ♡あ、あぁーッ!すげ、すげぇッ……!」
澤田が、その温厚そうな顔に似つかない獣のような声をあげる。この男が一匹の雄なんだと十分に理解できるそんな姿。そして喉奥を突く荒々しい腰の動き。
亀頭が弱いことはわかっていたので、その周りにべろっと舌を這わせたり、吸ったりして刺激する。
「んぁッ♡亀頭すっげ♡感じるッッ♡」
ずっしり重たい金玉をやわやわともみしだきながら、俺はちんこを吸い続ける。
「あーっ!おれ、イくぅッ!イっちゃうぅッ!」
グイッと金玉がきゅっと動いて、亀頭が膨らみ鈴口から熱い液体が放たれた。どくどくと俺の喉奥に注いだそれが、食道を通って胃に流れていく――。
ああ。うめぇ……。
ザーメン臭い息を吐きながら、俺はその場に膝をついたままぼんやりと澤田を見上げていた。
そして、
急に意識を取り戻した。
俺。
一体、何を……。
澤田がのろりと動いた。呆けた顔でこちらを見て、澤田は、
「あぁ、……すごい…すごいよ、ぉ……♡」
とうっとり言う。
俺は何もかもが恐ろしくなって、その場に落ちていたエナメルバッグをひったくるように拾うと、どんな盗塁の時よりも息を切らしてその場から逃げ去った。
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というわけで新作になります。
この前新しいの始めたばかりじゃないか!その通りです、すいません。
いろいろちょっとずつちゃんと書いていこうと思います。
野球ユニ着た純朴な青年がインキュバスになっちゃったらめっちゃえっちじゃね?と思い付いたら止まらなくなってしまいました。
今後彼にはどんどんえっちになってもらう予定です!うふふ( ◠‿◠ )
今回は2話までは全体公開ですが、この後は支援者限定になる予定なので、よろしくお願いします〜!