投与/攪拌/汚染 夜中のパトロール。 いつもの慣れ親しんだ道を、自転車で回る。 二十三区内とはいえ、この地域は今日も平和だ。 しかし、いつだって気を抜いてはいけない。むしろ、平和そうに見える時こそ、俺たちはより一層注意を払って警戒しなければならない――これは俺の尊敬する伏見先輩の言葉だった。 通りかかったコンビニの前。明らかに未成年と思われる集団がたむろしている。 「君たち」 俺が呼びかけても、彼らは特に慌てることもしなかった。 彼らの足元に転がっているのも、ジュースとポテトチップの袋だけだ。飲酒はしていないようだったが、時間はもう十一時。彼らの自由に出歩ける時間はとうに過ぎている。 俺は彼らの名前を控え、親へ連絡させ帰宅を促して、立ち去る彼らを見送った。 ふう、と息を吐いて、パトロールを続ける。公園の中を抜けるとき、がさっと何かが草を揺らした。 なんだ? 俺は自転車を停め、しばらくそこを伺う。草はじっと止まって動かない。じっとそこを見つめ続ける。風が吹き、わずかに草が揺れた。気のせいか、野良猫か何かだっただろうか。そう思い自転車のペダルに足を乗せたとき―― がさっ。 また、草が大きく揺れた。俺は懐中電灯を取り出してそちらを照らす。 何か大きな影が動いた。ライトを向けると、その何かは肌色をしていた。 がさっ、がさっ。 草が揺れて、大きな影がぬうっと現れた。 肌色のそれは、間違いなく人間だった。 人間。 一瞬俺がその理解を拒んだのは、その体がやたらに大きい、鍛えられた体だったから――ではない。 その人間は、全裸だった。 全裸で、首輪をつけられている。 「な、にを…しているッ」 俺が呼びかけても、男は平然と、四つん這いでその場から進み出る。まるで、まるきり、これでは……。 「おい、おい!」 呼びかけても、男は平然としている。というよりも、まるで今自分がどういう立場に置かれているか理解していないかのような目で、こちらをじっと見つめている。 「うちの犬がどうかしましたか?」 突然、後ろから声がかけられた。 ――犬。 「い、ぬ……?」 「はい、うちの犬のケンゴです」 男は当然のように答える。 「どうです、かわいいでしょう、うちの犬は」 男は『犬』に歩み寄り、喉元を撫でてやる。『犬』はうっとりと幸せそうな顔をしている。 俺は訳がわからなくなる。俺が見ているのが――つまりこの『犬』が筋肉質な大男であることが――まるで俺の幻覚で、本当はここにいるのは一匹の大型犬なのではないかと思うくらいだ。 「いや、しかし……これは…」 俺はそんな妄想に囚われないように、首を振って男に言う。 「こんな、ことは、……お、おかしい、これは、立派な犯罪だ」 そう言うと、俺は少し意識がしっかりしてきた。 「と、とにかく事情を詳しく――」 そう言った俺の首筋に、何かがぶすりと刺さった。 「あ、アガぁ……ッ!?」 抵抗することもできず、あっという間にその『中身』が俺の中に注入される。 「な、に、ヲォ……ッ!」 「もう一匹、ペットを増やしたかったんですよね」 ぷしゅっ、と針が抜かれ、鮮やかな色の液体がぴゅっと飛び散った。 その紫色の液体が地面に垂れるのを見て――俺は意識を失った。 ……気がつくと、俺はベンチに座って眠っていたようだった。 覚醒し周囲を見回しても、もうそこには誰もいない。誰も使っていない遊具が、薄暗い空間にぼんやり佇んでいる。 俺は首筋に手をやった。そこには、何の痕跡もないようだった。 「夢……?」 ぽつりと呟く。そう考えると、それは本当に夢だったのかもしれなかった。 あんなリアリティのない話。きっと夢に違いない。 俺は自転車に再び乗り込んで、警察署への道を漕ぎ出した。 そしてその夜は、他には何も事件らしい事件もなく過ぎていった。 しかし、異変が一つあった。 やたらに、俺の股間が勃起し、存在を主張したのだ。 俺は中学生のように、やたらに性的に興奮するのを感じていた。つまり俺は、無性にムラムラしたのだ――。 しかし、今は当直。まさかオナニーをするわけにもいかない。 俺は、ラジオ体操のような動きなどをして自分を誤魔化したが、しかし、ちんこの勃起はおさまらなかった。 次第に、頭の中がピンク色に染まっていく。 オナニーが。 オナニーがしたい。 そんなムラムラが最高潮になったころ、夜が明けた。 そして、伏見先輩が交番にやってきた。 「おう、お疲れ」 その伏見先輩の男らしい顔を見て――俺は、体に電気が走った気がした。 「――大丈夫か、なんだか、顔色が悪いようだが。汗をかいている」 俺は慌てて、 「い、いえッ……!大丈夫、です!すみません、失礼します!」 「そう、か。気をつけて帰れよ」 「は、はい…!」 俺は制服を着替え、自宅へと向かった。その最中もずっと、股間は勃起したままだった。 * 今日が非番でよかったと思う。 もし今日勤務があったら――俺は確実にそれをすっぽかして、オナニーに耽っていたことだろう。 「んごぉッ♡んぉッ♡」 間の抜けた声を漏らしながら、俺は俺のちんぽをしごきあげていた。 中学で初めてオナニーを覚えたときみたいに、ちんぽを擦るのが気持ちよくてたまらない。 「んぁっ♡んぁッ♡」 俺の脳内を駆け巡っていたのは伏見先輩の姿だった。 「せんぱ、先輩ィッ!♡」 どうしてと思うよりも前に、先輩の男らしい顔が逞しい体が低い声が脳裏を巡って俺はチカチカ頭が点滅してすげえ気持ちよくなってしまう。 だめだと思う気持ちが、圧倒的な快楽の前にかき消されていく。 「ちんぽっ♡ちんぽぉっ♡」 情けなく卑猥な言葉を口にし、俺は先走りが泡立つほどぐちゅぐちゅと激しくちんぽを扱きあげる。 ――なんでだ、なんで、なんで。 気持ちいい気持ちいい気持ちいい。 おかしいこんなのはおかしいきもちいいきもちよすぎるどうでもいい! 俺の中で何かが急速に『育って』いくのがわかる。 それは。 あのとき――。 俺は首筋に打ち込まれた注射針の感触を思い出した。 そうだ、忘れていた。俺は何かを打ち込まれたのだ。 あの男に。 連鎖的に、俺の脳裏に、不意にあの『犬』の姿が蘇った。 「あ、あぁぁあああがぃああああああっ!♡♡♡」 俺は情けない声を漏らし、ちんぽを触りもせずに射精してしまった。 今までの人生で経験したことのないような、濃い精液をぶりゅぶりゅ出す射精。 それが、止まらない。 脳内がビカビカ眩しく点滅する。 俺の瞼に、脳裏にあの『犬』の姿が焼き付く。 「だめ、だぁっ!♡俺……おかしくなっちまうぐぅッ♡♡」 犬。 俺は強制的に理解させられる。 犬。犬。 俺は、ああなりたいのだ。 犬。犬。犬。 あの犬になりたい。 犬、犬、犬犬犬。 俺の中の細胞が言っている。俺は犬になりたい。 犬犬犬犬犬犬犬!犬犬犬犬犬犬犬犬! あの犬になって、あの犬みたいに、 「ごしゅ、じん、さま…ヒァっあぁッッ!♡♡♡」 ご主人様に仕えたいご主人様に従いたいご主人様の奴隷になりたいィィィイ!!! 「ご主人様っ♡ご主人様っ♡」 俺は乳首を刺激する。乳首が気持ちいいなんて思ったことなかったのに俺の乳首はもう淫乱になっていて触るだけで頭がくらくらする。先走りまみれの手を舐め回して雄の味を堪能する。ザーメンも掬い取って口に運ぶ。濃厚でザーメンはすげえうまい。 「見てっ♡見てッ♡俺っ♡淫乱に育ちましたぁッ♡ご主人様っっ♡見てっっ♡」 ――だいぶ、いい感じに仕上がったな。 声が聞こえた。目の前に昨日のあの男――いや、ご主人様が立っていた。 ――すっかりできあがってるな、俺が入ってきたのにも気づかないくらいに。 「あ、あ、あ……」 無言でご主人様がズボンを下ろす。ぼろんとちんぽが現れる。 ちんぽ。 ちんぽだ。 ご主人様のちんぽ。 何よりも俺が大好きな。 最愛のちんぽ様。 俺はそれを目の前にして、今すぐにしゃぶりつきたいのを我慢する。俺は奴隷だから、命令があるまでしゃぶってはいけないのだと『俺の中で何かが教えてくれる』。 「そうだ、よく理解している。馴染んでいるな」 ご主人様が俺を褒める。その背後には昨日の『犬』がいる。俺は彼の姿を、ちんぽをバキバキに勃起させながらも彼の後ろに従順に立つその肉体を見て――俺は彼と、『兄貴』と同じになったのだと理解する。 ああ、ああ、ああ! 最高だ、最高だ♡ 俺は嬉しい♡ こんな喜びは知らなかった。 支配される喜び♡全てを明け渡す喜び!圧倒的な存在がいるということ……。 とろぉっ♡と俺のちんぽから先走りが垂れた。 「さあ、ご褒美だ」 ぶるん、とご主人様がちんぽを振ってその酸っぱい臭気が鼻に届いて俺は発狂したようにちんぽにむさぼりつく。 ちんぽ!ちんぽ!ちんぽちんぽちんぽ! 口の中で膨れるご主人様のちんぽの存在感と苦味としょっぱさと鼻に広がるその臭気と、そのすべてが愛おしくて、すべてが俺を変えていく。 俺の中の『細胞』が喜んでいる。 植え付けられた細胞だと理解している。それでも果てしなく幸せだ。普通に生きていては味わえないこの幸福の前に、他の全てが価値を失っていく。 夢中でしゃぶりながらも俺は快楽をしっかりと与えることを忘れない。初めてのフェラチオでも、俺は『ちゃんと』奉仕できる。それもこれも、ああ、ああ、『兄貴』のおかげだ。 「アニキィ、ありがとう…ございまふ♡」 俺より年下の兄貴に感謝を述べる。兄貴がゆっくりと歩み寄って俺の頭を撫でる。 兄貴もしゃがみ込んで、俺たちは二人でご主人様のちんぽ様にご奉仕する。 ちんぽ越しにキスをして舌を絡める。唾液と先走りと、兄貴の荒い鼻息、そして俺の鼻息が絡み合う。エロい音で俺の頭がいっぱいになる……。 ――すっ、げえ……♡ 「なかなか壮観だな」 ご主人様が嬉しそうに言う。ご主人様に喜んでもらえて俺も嬉しい。幸せだ本当に幸せだ。 「っし、……そろそろご褒美をやらないとな」 びくっ♡とご主人様がそのちんぽを上下させて言う。 俺と兄貴はその場に正座をして、ご主人様のちんぽの前に顔を突き出して待機する。 「堕ち切ったお前らのカオ、最高だ。よし、――イくッ」 ご主人様のちんぽから精液が溢れ出した。勢いよく放物線を描いたそれが、びちゃちゃっと俺と兄貴の顔にかかる。濃厚なニガいにおいが鼻の中に薫って、俺はそのにおいだけで射精、するッ――♡ びちゃびちゃと俺と兄貴の精液が床を汚していく――。 ご主人様が俺たちの元へ歩いてくる。 「憲剛、お前は床を掃除しろ」 「わかりました、ご主人様!」 兄貴が腹から声を出し、這いつくばって精液をなめとる。 「享、お前は宣誓だ」 「ハッ!」 俺は機敏に立ち上がり、警察学校で何度も仕込まれた敬礼をご主人様に捧げる。 綺麗に直立し、手を額に添え、腹から声を出した。 「私佐竹亨は、ご主人様の淫乱奴隷に生まれ変わりました!これから私のすべてはご主人様のためにあります!ご主人様の喜びこそが私の悦び!――なんなりと、ご命令を!」 「……いいだろう」 ご主人様が俺の前に立ち、顔にかかった精液をぬるぬるとパックするように塗り広げる。 ――ああ♡ 濃厚なザーメン臭、ねばねばした感触で俺の顔が覆われていく。 ぬる、 とご主人様の指が俺の口に差し込まれる。俺は赤子のようにそれをしゃぶった。 そうしているだけなのに俺のちんぽは喜びに、 ぴくん♡ぴくん♡ と震えてしまう。 「問題なさそうだ――お前に初めて職質された日から、俺はお前を手に入れると決めていたんだ」 そうか――そうなのか。 俺は誇らしい気持ちになる。 ご主人様に選んでいただいたこと。覚えていただいたこと。 「あいつの中で育て上げた細胞をお前に埋め込んで、お前は俺の奴隷に生まれ変わった」 ご主人様が視線で兄貴を示す。兄貴はザーメンを舐め終えて、口の周りをべたべたにしながら同じように直立していた。 ご主人様は言った。 「さて、お前の近くに、もう一人とても魅力的な雄がいるな?」 ああ――! 誰のことかわかって俺は嬉しくなる。 「次はそいつを手に入れよう。はは、もう興奮しているようだな」 ぺしん!とご主人様が再び先走りを垂らす俺のちんぽをはたいた。 「ヒゥっ♡はいっ!私にできることはなんでもいたします!先輩と一緒にご主人様にお仕えできるのは――とても、とても素晴らしいことです!先輩にもこの喜びを知ってもらいたい、です……ッッ♡♡」 俺の頭の中に先輩の顔が、着替えの時に見た柔道で鍛えた逞しい体が、男らしい表情が浮かんだ。 あの顔が――支配される喜びに目覚め、陶然とする様――俺と同じく奴隷に落ち、敬礼を捧げる様――。 それを想像するだけで、俺の心の中を快楽が満たしていく。 この幸せを分けてあげたい。 きっと先輩もとても幸せになれるはずだ。 一緒に幸せになりたい。 ああ、ああ、ああ――! 喜びが爆発しそうになると、ご主人様が言った。 「まだイくな、お前が次にイくのは、その男――伏見修を堕としたあとだ」 ぐい、とちんぽを握りしめる。 「はい……ッ!」 「伏見のケツの中で射精させてやる。楽しみにしておけ」 俺は再び敬礼をした。 「ありがとうございます!私は先輩のケツの中でイきます!とても楽しみです!」