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ジン(浜沼盡)
ジン(浜沼盡)

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エラー

私立真華高校といえば、ここ最近評判の進学校だ。 ここ数年で有名大学の合格者数が飛躍的に伸びていると評判だ。 それだけではなく、スポーツでも目覚ましい成績を残している。 今時珍しい全寮制の高校だ。 俺が真華高校を受験したのは、ただの記念受験だった。だって、ラグビーばっかりの生活をしているバカな俺が受かるわけもない。真華高校はラグビーでも最近好成績を残していたが、まあ俺には関係のない話だ。 ……と、思っていた。 だから合格者一覧に俺の番号が並んでいた時俺は本当にびっくりした。 そして今俺はこうやって、真華高校ラグビー部の一員として朝練に励んでいる。 パス練などをして基本的な動作の確認をしていると、 「修吾、どうだ調子は?」 キャプテンの藤村先輩が話しかけてきた。藤村先輩は高校生離れした肉体で、まるでプロのラグビー選手みたいだ。 将来は自分もプロになるんだっていっつも言っているし、藤村先輩ならきっとなれるだろうと思う。 「あ、お疲れさまっス。だいぶ、いい感じです」 「そうか。最近なんだか調子が悪そうに見えたから、心配でな」 先輩の言う通り、確かに最近あまり調子が良くなかった。 部内での練習試合でも、あまりしなかった判断ミスが目立ってしまったのだ。 「修吾には期待しているからな、なに、お前ならすぐ調子も戻るさ」 藤村先輩はそう言って爽やかに俺に微笑みかけた。 「頑張ります!」 先輩の期待は裏切れない。 「おはよーございます」 そう声がして、宮本哲太がやってくる。 この高校に入ってから仲良くなった、俺の親友だ。こいつも高校生離れした肉体をしている。 テツは今日『メンテナンス』の日だったので、遅刻だった。 「ああ、哲太。どうだった『メンテナンス』は」 「だいじょーぶだって言われました。問題なさそうっす」 Vサインを冗談みたいに出しながらテツが軽口を叩く。 「確認するからな」 藤村先輩がそう言って、ぐいとテツの頭を引き寄せキスをした。二人は互いに唇から舌を出し絡ませ合う。 「ん…っ」 テツが声を漏らす。藤村先輩はテツの腰を両手で掴んでぐいぐいと腰――股間を押しつけあった。 勃起したちんこがラグパンにくっきりと形を浮かべて、それをむにむにと絡み合わせるように押し付け合う。 「ぁ…すげ、きもちぃ……っ♡」 テツがうっとりと顔を綻ばせる。 ぷは、と藤村先輩が口を離した。 「『メンテナンス』は問題なさそうだな」 口元の唾液を拭いながらそう言うと、 「もちろんっスよぉ…♡俺、ちゃんとホモっすからぁ…♡」 うっとりとテツが答える。 「よし、じゃあ練習するぞ」 ぽん、と藤村先輩がテツの肩に手を置くと、 「ウッス!」とテツは一転真剣な表情になった。 朝練が終わり、俺は教室へと向かう。隣にはテツが並んでいる。 テツはくだらない話をずっとしている。俺は相槌を打ちながら、なんだか変な気分だった。 脳裏に、先ほどのキャプテンとテツのキスが焼き付いているみたいだ。 絡み合う舌。押し付けあいむにゅむにゅと形を変えるラグパンの膨らみ。二人のとろけるような表情――。 「大丈夫か?」 テツが俺を覗き込んだ。 「お前、最近ちょっと変だぞ」 テツは心配そうだ。 「ああ、そう……かな」 「お前も『メンテナンス』受けた方がいいんじゃね?」 テツが言った。 そうだ。そうかもしれない。 そう思いつつも、俺はなんだかそれに抵抗があった。 「あ、あ。そうだな、うん、そうした方がいいかもな」 だけどなんとかそれだけ言う。 教室の扉を開ける。むわっと男のにおいが鼻に飛び込んだ。 教室でも、――そして俺たちも、朝練後のユニフォームのまま授業を受けている。 それがこの学校の『制服』だ。この学校には体育会の部活に入っていない生徒はいなかった。 それは普通のことだったか? 俺は微かなひっかかりを覚える。 なんでこいつらは今もユニフォームを着ているんだ? 「今日もめっちゃいいにおいだな」 テツが嬉しそうに言って俺の尻を触る。そしてクラスメイトたちの元へ向かっていく。テツを迎え入れた柔道部員とテツがキスをしている――。 ぼんやり立ち尽くす俺の元にも、陸上部員がやってくる。俺の足元にしゃがみ込んで、俺の股間に顔を埋めて嬉しそうににおいを嗅いでいる。 おかしい。 俺の股間は勃起している。ぴくぴく震えて先走りのシミがラグパンに染み出す。 おかしい。 俺は朝練の間に先輩に何度もちんこを触られたので、ラグパンの先走りからは芳醇な香りがするだろう。 おかしい。 俺は教室を見る。 いや、おかしくない。 男同士でキスをするのは普通のことだ。セックスをするのは筋トレの一環だ。汗をかき、互いに舐め合うのは塩分補給だ。 何もおかしいことはない。 これは『普通のこと』だ。 だけど。 だけど。 「どうしたんだよ修吾」 テツが戻って来て、話しかけてくる。 「っ、……なんでも、ない」 「お前最近本当におかしいぞ」 おかしい? おかしいのは俺じゃなくて――。 そう思った瞬間チャイムが鳴った。生徒たちはぴくっと反応し絡み合いをやめて、席に着く。 天井からモニターが降りてくる。俺も体が動いて席に着く。授業が始まるのだ。 俺たちを「教育」する、してくださる授業が。 画面が猛烈に輝いて、俺はその光に意識の全てを浸した。           * ――俺は授業の途中で抜け出した。 クラスメイトたちはまるで人形のように一言も話さずにモニターを見つめ続けていた。 俺はトイレで何度も吐いて、胃の中を出し切った。 気がつくとチャイムが鳴って、廊下が騒がしくなっている。 トイレを出た俺を待っていたのは、校長だった。 「校、長…」 「やあ」 校長――五十歳くらいだったろうか、それでも随分と若く見える――は爽やかに微笑んだ。 「山田修吾くん。どうやら調子が悪いらしいね」 「なん、で」 「彼が教えてくれたよ」 校長の横にはテツが立っていた。 「俺が報告したんだ」 「テツ、お前」 「お前もメンテナンスを受けた方がいいぞ。なんだか苦しそうに見えるから」 テツは笑った。 「そうしたら楽になれる」 違うんだテツ、それは楽になるんじゃないんだと言いたかった。 「宮本くん、ありがとう」 校長が言って、テツの後ろに手を回して尻を揉んだ。 「君は理想的な『端末』だよ」 「んっ♡嬉しい、っス♡」 「ご褒美をあげよう」 そう言って、校長はテツの耳元に何かを囁いた。 「んぁあああああああっっすっげえ!きもちいきもちいい!!おかしくなるぅっっ♡♡♡」 テツの体が痙攣するように震えて、ラグパンにじわぁっとシミが広がった。テツは白目を剥いて倒れ込みそうになる。校長がそれを抱きかかえた。 「この世のものとは思えない快楽だっただろう?脳が焼き切れそうなほどの快感だ。普通に暮らしていては味わえない。私は君にそれを与えることができる。だから従いなさい。わかるね?」 「はい、……俺は校長に従います……」 まどろむように呟くテツ。 「さあ、そろそろ授業が始まるよ。教室に戻りなさい」 「わかり、ました……」 ふらふらと夢遊病者のような歩みで、テツは教室に戻っていった。 校長は俺に向き直る。 「では、君のメンテナンスをしようか」          * 何かがおかしいというのはわかる、絶対にこんなのはおかしいのだとわかる。だけどどこがおかしいのか俺にはさっぱりわからない。何もかも普通だ。俺たちが管理されていることも俺たちが男同士に興奮することも男同士でセックスすることも全部全部普通のことだ。 「さて、状態を説明してもらおう」 校長が言う。授業が始まったのだろう、廊下は恐ろしく静まり返っている。教室の中で何が起きているのかは手に取るようにわかる。 「、っ……」 「これは命令だ。従いなさい」 校長が言う。俺の口が動いた。 「はい、俺の人格システムに重大なエラーが生じた恐れがあります」 俺は耳を疑う。 何を言っているんだ俺は。 人格システム? 重大なエラー? 背中がじっとりと汗で湿っていく。 「なるほど。だとしたら君を修正する必要がある」 校長が俺に近づく。俺は動けない。校長の手が俺のこめかみに伸びる――。 そこの皮膚が、まるでシールのように剥がされる。 俺は思い出す。そうだそこには俺の『端子』がある。俺の脳にアクセスするための端子が。 こめかみ。 端子。 バチバチと目の前がフラッシュし、連鎖的に俺の記憶が蘇る。 そうだ俺は手術をされた。俺は手術されて脳にアクセスできるようになって俺は改造されたんだ。 おかしい、おかしい、おかしいおかしいおかしいそれはおかしい。 体から冷や汗が溢れてユニフォームを湿らせる。足を動かして逃げ出したいのにできない、足が動かない。 「記憶が復元されているようだね。大丈夫、すぐにすっきりさせてあげよう」 校長が何かのコードを持っている。俺は歯を食いしばって体に力を込めるのに、体は綺麗に気をつけの姿勢で動けない。 そして校長の手に握られたコードが、俺の脳に差しこまれる。 「あ、っ!」 声が漏れた。 俺の中に『プログラム』が入ってくる。俺を正しくするプログラム。修正プログラム。 違うこれは正しくない、こんなのは正しくない、 「修正プログラムを適用中です」 俺の口が言う。 「進行度30%、35%」 俺の口が俺の聞いたことのない感情で話す。意識が徐々にクリアになっていく。 俺は正しくなっていく。 正しく。正しく――この真華高校の生徒としてふさわしく―― ――違う!―― 「エラー、エラー、コード839。セキュリティに重大な欠陥があります」 俺の口が言った。俺の意識はまだ残っていた。俺は目を動かして校長を見る。校長は顎をさすりながら、 「コード839か。なるほど、思っていたより深刻だな」 そして言った。 「しょうがない。強制アップデートだ」 「アップ、デート?」 思わず声が漏れた。校長は目を見開いて、 「おや、驚きだ。その状態で自律的に声が出せるとは。君はどうやら本当に特異体らしい」 校長が俺の肩を抱いた。俺を強引に引っ張っていく。俺は必死に大声を出して逃げ出したいのにそれができない。 「さあ、こっちへおいで」 校長は階段を降りていく。見たことのない扉を開いて、中へ俺を招き入れた。 何か大きな箱形の機械が並んでいる。 「君たちを管理するためのサーバーだよ」 校長は言い、椅子に座るとモニターの電源をつけた。 学校内の様子がうつっている。 「ほら、『端末』の様子をご覧」 校長が言った。俺のクラスの様子だ。こんなカメラが設置されていたことも知らなかった。 クラスメイトたちは何かを楽しそうに話している。 校長はキーをかつんと押した。 クラスメイトたちは楽しそうに話したまま、各々のズボンをずり下ろしてオナニーを始めた。 まるで当然、どころか、息をするくらいに自然に。 彼らはコントロールされているのだ。 「こういうこともできるぞ」 もう一度キーを押した。 びゅっ!びゅっ!と生徒たちの股間から同じタイミングでザーメンが噴き出した。 それでも、何も気づいていないみたいに普通にしている。 さらにキーを押す。 クラスメイトたちは各々それを舐め取り出す。 「うん、完全に解除されてはいないようだ」 校長がいつの間にか俺を見て満足そうに言う。俺の股間が勃起していることを確認したのだ。 「まだ手の施しようはある。よかったね」 よかった? 校長の言葉がわからない。それはよかったのだろうか。 「とてもよいことだ。とても幸せなことだよ」 校長はそう言って、またコードを俺のこめかみに差し込んだ。 「なに、を、する気だ」 俺はかろうじて声を出した。 「ふふ、君は素晴らしい。それだけ強靭な意志を持っているとは」 校長は俺に歩み寄って俺の勃起した股間をさすった。それだけで気持ちがいい。とてもとても気持ちがいい。でも違うだめだと思う。 「その意志を壊すのはもったいないが、仕方ない」 壊す? 校長は振り返ってまたキーを押した。画面に映る全学生が一斉に起立をし、直立する。 「彼らの――全『端末』の意識を君に流し込む。君がどんな強靭な意志を持っていても、1000人近い意識を流し込まれたら、ひとたまりもないだろうね」 恐ろしい話だった。あんなおかしくなっている意識を、1000人分? 「や、め……」 俺の言葉を無視して、校長はかつん、とキーを押した。 「う、あっ!」 最初に流れ込んできたのはラグビー部のメンバーの意識だった。馴染みのあるチームメイトの意識が俺の中に流れ込む。それは俺を安心させるための校長の手段なのだと理解できた。 「あっ、テツ、テツ……」 テツの意識が流れ込む。テツが俺に語りかけている気がした。聞き取ろうと意識を澄ませた瞬間 ぐあっと膨大な意識が俺の中に流れ込む。 「あっ、あっ、あががががががががががが」 膨大な意識。膨大な快楽。脳が焼き切れるほどの情報。 壊れる壊れる俺が壊れる壊れる壊れるっっ 校長が囁く。 「そうだ、君を破壊する」 いやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!! 俺は、俺は―― 真華高校の生徒としてのあるべき姿。 真華高校の生徒全ての意識。 それが俺に上書きされる。 「君を壊してしまっても、作り直すことが私にはできる」 校長が俺に言う。 「その破片を組み合わせ直すことなんて、私には造作もないんだよ。だから安心しなさい。君はいなくならない。君は私の都合の良い存在になって、都合の良い道具として働くんだ」 俺の意識にその言葉が届いても、俺は嬉しいとしか思えない。 俺は真華高校の生徒として校長に都合よく使っていただけるのだ、俺はこの高校の生徒としてふさわしい存在に作り替えていただけるのだ、俺はもっとみんなと一緒になって――気持ちよく―― 「おや、限界のようだね。射精を許可しよう。好きなだけ排出しなさい」 「――はいっっ!!俺は真華高校にふさわしい生徒になるため、精液を排出いたします!!」 俺は腹から声を搾り出し、ぐいっ!と腰を前に突き出して、ラグパンの中の窮屈なペニスを痙攣させる。 まるでゼリーみたいに濃厚なザーメンが先端からぶりゅりゅっと溢れ出して、ラグパンから染み出して俺の太ももを汚した。 がくん、と首が垂れる。 校長が満足そうな笑みで俺を見つめた。俺のラグパンからザーメンをかき集める。 「――再起動いたしました」 俺は顔をあげて校長に言った。 「エラーがないか、スキャニングしたまえ」 校長が言う。俺は斜め上を見上げて脳内に違和感、異変の兆候がないか確認する。 校長が俺の顔にザーメンを塗りたくる。いいにおいだ。男のにおい。俺の大好きなにおい。 俺は顔を正面に向け言った。 「――スキャニング完了。エラーは検出されません」 「よろしい。教室へ戻りなさい」 「命令を受諾しました。教室に戻り、真華高校の生徒としての活動に戻ります」 俺は振り返って扉へと向かっていく。エラーのない、正しい足取りで。

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Comments

コメントありがとうございます。 完全なメカ化とはまた違った味があるかも?と思います!

ジン(浜沼盡)

ありがとうございます!いいですよね…

ジン(浜沼盡)

これは…人間でありながら機械の要素が入ったMC…堪らないです!素敵な作品をありがとうございます!

にじげん

機械化されたコントロールはエロすぎる

KEVIN


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