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ショーダウンⅡ 『12:くすぐり施術』

12:くすぐり施術  そのこそばゆさは……尋常ではなかった。  腋の窪み部分を指先だけで上から下にツツツとなぞる刺激は、伸びきった腋に強烈な電気を流されているかのように鋭い不快感を与え……思わず拒絶したくなる様な寒気を綾香の身体に刻み込んだ。 『はひぃぃぃっっ!? や、や、やめぇぇぇぇぇっっ!!!!!』  人差し指の爪の先が腋の柔肌をカリカリと引っ掻く度にゾワっと寒気を催す痛痒い刺激が送り込まれ、その痛痒さはすぐに“くすぐったい”という刺激に置き換わって知覚される。  くすぐったいと知覚された刺激は綾香の“笑いたい”という欲求を強く刺激し、彼女の意思とは無関係に脳が笑えと身体中に命令を下してしまう。  脳が下した決断に逆らうという行為はそれなりに忍耐と体力を対価に要する行為だと言わざるを得ないが、綾香にはその支払うべき対価が僅かに残された忍耐力しかない。笑いを堪えるべき体力は既に先程の足裏責めによって尽きてしまっていて、力もうと思っても上手く力が込められなくなってしまっているのが現状だ。    それでも口から笑いを吐き出さずにいるのは、綾香の意志が強くそれを拒否しているからに他ならない。それだけ夏姫を想う気持ちが強く、限界以上の気力を綾香が振り絞っていると言える。脳や身体は既にくすぐりの刺激に白旗を上げしまっているが、意志だけは強固に笑う事を拒否している。  後は綾香の我慢がいつ挫けるかの戦いだけ……  夏姫への強い想いよりもくすぐりの刺激が上回ったその時……綾香はどうする事も出来ずに笑ってしまうだろう。  彼女を支えているのは……夏姫への想い……それだけなのだから。 「コチョ~~~♪ コチョ~~~♪ コチョ~~♪ ほぉ~ら、どうですかぁ? 腋をこんな風に撫でられる感触は? もどかしくて、くすぐったくて堪らないでしょう?」  そんな夏姫への想いを踏みにじるかのように牡丹の指が綾香の腋を刺激する。  ワキの上の方から、脇の下までのラインを順番になぞる様に指先が肌を撫でていく。  伸びきった腋の肌に、憎い相手の指先がむず痒い線を縦に引いていき……綾香の我慢する顔を笑わせようと耐え難い刺激を送り込来る。  腕の付け根から腋の窪み……そして、脇の下へと指先がなぞると、今度はその道を引き返していくように同じ箇所をなぞり直していく。  そのじれったい刺激がいかにこそばゆさを生んでいるか……牡丹は理解しようとはしない。理解しないから同じ箇所を何度も指で撫でて綾香を無慈悲に追い込んでいく。 『くっっ! く、くすぐったいっっ!! こいつの触り方……私の弱いトコばかりを触って来て……そこをしつこくくすぐって来るっ!!』  牡丹の指は腋の窪みの少し膨らんだ箇所を指の爪先でなぞりながら登らせ、膨らみの頂上の肌を弄ぶように引っ掻いた後ゆっくりと膨らみの麓まで降りていく。  牡丹の指が肌をなぞると、そのなぞった肌にピリピリするような跡残り痺れるようなムズ痒さを肌に植え付けていく。ムズ痒さは指が去った後も肌に感触として残り続け、指が戻って来て再びそこを撫で上げるとその痒さは今度は強烈な“こそばゆさ”に変化し綾香を責め立てる事になる。  思わず腹筋がピクンと跳ね動いてしまいそうになる程のこそばゆさに苛まれ、綾香は笑いを堪える事が一層苦しく感じるようになる。 『くふうぅぅっっ!!? 何これっ!! 一度触られたトコが異常にこそばく感じちゃうっ!? 触り方も気色悪いし、何よりじれったい!! ゆっくり上下するこの動きがじれった過ぎて……余計にこそばさを増幅させてくる!!』  焦らすように綾香の腋をゆっくり上下になぞっていた牡丹は、彼女が苦しみながら笑いを我慢している姿を見て頬を緩め、もっと苦しめてやろうと企む笑みを浮かべなおして脇の下の方へと大きく指を滑らせて行った。脇の下へ指が移動するとそこには生肌と衣服との境界であると示すようにチャイナドレスのV字にカットされた袖が存在する。  刺激に対して無防備に晒されたワキの部位と、衣服の生地で多少なりとも外気から身を守っているワキ下の部分……それを隔てているのがチャイナドレスの袖であるのだが……牡丹はその袖の中に無造作に人差し指を突っ込んで外からは見えない衣服の中の胸横の部位をその指でコソコソと触って刺激し始める。 『うひぃぃっ!? ひっ!? 服の中ぁっ!! 指が服の中に入り込んでくすぐって来てるっッ!! や、駄目!! そこ……触らないでっっ!!』  手を全部は服の中に入れず人差し指だけを袖の中に入れ込んで、肋骨の浮き出た肌を弄り回すように指先でくすぐって来るその刺激はあまりに耐え難かった。  ただの上下に撫でるだけのくすぐりであればじれったい刺激を我慢すれば良かったが、まさか指が服の中にも侵入してきてくすぐるとは想定していなかった。服に守られているから触られないだろうと勝手に油断していた綾香にとってこの無理やりに差し込まれた指でのくすぐりはあまりに想定外で……綾香はその、服の中でモゾモゾと蠢いてくすぐって来る指に思わず顔を天に向けて顎先を震わせながら笑いを堪えることを余儀なくされた。 「ぷっ! ひっ! くふっ!! んふ……ふ……くくくっ……」  意志の力を越えるくすぐったい刺激が送り込まれ、綾香の口端からは我慢出来なくなった笑いが少しずつ吐き出させ始める。ギリギリ吹き出すのを我慢してはいるが……漏れる笑いには震えが含まれており、肩やら顎やらもその声と連動して寒さを堪えるような震えを見せてしまっている。 「おやぁ? 綾香様……今、少し……笑っていませんでしたかぁ?」  胸横の肌を撫でさせていた指を服の袖から抜き出しながら牡丹は意地悪な声で綾香にそう尋ねてくる。  綾香は顎を震わせながらも、首を必死に左右に振って“笑ってなどいない”と無言の返事を返す。 「気のせいでしたか? ふぅ~~ん、そうですかぁ……」  牡丹は笑う事の出来ない綾香にワザと聞こえる様にクスクスと笑いを零し、腋の肌を人差し指でなぞりながら手を再び腋の中心の方へと戻していく。 「では……これはどうです? 腋をこのように触られるのは……耐えられますかぁ?」  ネットリとした低い声でその様に囁いた牡丹は、腋の中央に人差し指を戻し終えると……今度は他の指もそこへ合流させ全ての指を腋窩の膨らみへと触れさせ始めた。 『ひっ!? イひッ!? ゆ、指が……全部……ワキに集まって来る!? ヒィィィィっっ!!』  腋の中で最も敏感な腋窩の膨らみに全ての指が触れた事によりビクンと身体を反応させて笑いを噛み殺すように震え出した綾香。今まで1本だけで済んでいた指の刺激がいきなり5本(左右合わせて10本)に増えてしまい、彼女の脳はすぐに刺激に対する処理が追い付かなくなってしまう。 『あっ……ひっ!? だ、駄目!! ただ指を置かれているだけなのに……もうそれだけでこそばく感じるっ!! 腋の神経が勝手にゾワゾワ湧き立って……肩の震えが止まらないっ!!』  綾香は必死に目を閉じて顔を下に向け口を閉じる事だけに集中し、襲い来るであろうくすぐったい刺激に耐えようと身体を緊張で硬化させた。  牡丹は綾香のその健気な反応を楽しむように見ながら、彼女の耳に“あの擬音”を再び唱え始める。 「ほ~ら、こちょ……こちょ……こちょ……♥ コチョ、コチョ、コチョコチョ~♪」  その擬音が発されると綾香は顔をビクリと持ち上げ、その声に拒否反応を示すように頭を左右に振り乱す。  『ひっ!? や、や、やめっ!! そ、そんな言葉っっ、耳元で囁かないでっ!!』  するとその擬音からワンテンポ遅れる様に牡丹の全ての指がランダムに蠢き始める。 『イヒィィッッ!? 全部の指がモジョモジョ腋を触り始めたぁぁぁ!! や、やだ! 気色悪くて、くすぐったいぃぃっひぃっ!!』  野球のボールを掴む様な手の形を維持したまま、綾香の腋窩の膨らみを包むように構えた5本の指がその膨らみを愛でる様に次々に触れては素早く肌から離れていく。それぞれの指が触れる時間は一瞬ではあるが、肌に触れた瞬間少し撫でて離れていくという一連の動きは爪で引っ掻かれている感触と同様のこそばゆさを生んでしまい……既に笑う寸前まで追い込まれていた綾香にトドメを刺さんと意地悪な刺激を送り込んで来ている。 『はぐぅぅぅっっ!!? ヤ……バ……いっっ!! くすぐった過ぎて……笑いが……も、漏れちゃうっっ!! 駄目! 我慢しないとッっ!! 口に力を込めないとッっ……ひぐぅゥっ!?』  ワキの敏感な肌を5本の指が同時にサワリサワリと撫で上げて来る刺激はじれったいだけの刺激には収まらない。  指が膨らみの付け根に触れ、そこから頂上を目指してソワ~っと撫でて来る感触はじれったさともどかしさが入り乱れて強烈な拒否反応を引き起こしてしまう。  ワキの膨らみが全方位からなぞり上げられ、肌が震えるほどのムズ痒さを与えられる感覚……その感覚がくすぐったいと思わない人間などいない。少なくとも綾香は……この刺激に耐え難いこそばゆさと抑え難い笑いの欲求を体内に抱え込まされている。 『ひぎっひっっ!! うぐぎぎぎぎぎっ!! 我慢んんっっ!! 我慢しないとぉぉ!! 笑ったら……夏姫がっっ!! くふぅぅぅ!!!』  自分が笑えば夏姫が苦しむ事になってしまう……だから笑う事だけは我慢しないといけない! と、綾香は自分に言い聞かせているが、その心の声はくすぐりに降伏してしまっている身体の芯の部分には届かない。  残っている力を全て口元に集中させてどうにか声を出す事だけは防げているが……もはや我慢する意思は挫けかけてしまっている。 『夏姫ぃぃ!! な、夏姫ぃぃぃ!! ぐくっっ……くぅぅ!! これ以上……夏姫を苦しめる訳にはいかないっ!! だから……笑っちゃ駄目! 意地でも……笑うのだけは我慢しないと……』  綾香は涙目になりながら片目を瞑って夏姫の姿をモニター越しに見ている。夏姫は力尽きる様にぐったりとしていて呼吸も荒いままだ。これ以上……夏姫に苦しんでほしくはない! 出来ればこのまま自分が我慢しきって……夏姫が苦しまずに済むのが一番望ましい。  でも……この……身体の内側から湧き上がってくる“暴力的な可笑しさ”はどうにも耐え難く、綾香の我慢を削り取ろうと全身の筋肉を弛緩させてくる。  歯を食いしばって我慢する綾香も、この全身の力が抜けていく感覚には抗いようがなく……やがて奥歯の噛みしめは緩くなり口は開きそうになっている。 「くっっふ! くく……うくくくくく……くっくっく……」  顔はすでに笑っている……後は“声”を口から吐き出すだけ……  綾香はその声を吐き出すまいと……唇を噛んででも耐えようとする。  その必死に我慢する様子を見た牡丹は、想定以上に頑張る綾香に感心し……そして再び企む様な笑みを口元に浮かべる。 「中々頑張るじゃないですか~♥ これが夏姫様を“想う気持ち”の表われなのでしょうか? それはとても素晴らしい愛の形だと素直に感心させられてしまいますねぇ♥」  腋窩の膨らみを集中してくすぐっていた牡丹の手がその言葉と共に動きを緩やかにし始め……そしてくすぐる動きはそのままに腋の下の方へと移動を開始する。  腋窩の膨らみの麓をモジョモジョとくすぐり……更に下へと移動し……胸の膨らみ始めのすぐ横まで手が移動してくる。距離にしては数センチ程しか移動していないが、くすぐる箇所が移動したとなると肌に感じるこそばゆさも変化し……綾香はそれだけの動きで危うく笑いを吐き出しそうになってしまう。  身体の力はどんどん抜けていき、もはや……笑いを我慢するという行為を自分の意思だけで行うのは不可能な段階まで追い込まれている。綾香はそれを感じながらも、牡丹のくすぐりに意地でも笑わないという態度を取り続けている。 「しかし……我慢も程々に致しませんとぉ……身体に良くないと思いますよぉ? 折角お身体は笑いたいと主張されてますのに……それを意志の力で我慢し続けるというのは良くありません。特にぃ……精神的な方面で……」  牡丹は腋の少し下の部位に手を移動し終えるとランダムに動かしていた指の動きを止め、ボールを握るような形にしていた手を突然パーの形に解放し指を上にも下にも広げて遠くまで届かせる様に伸ばし始めた。  それにより親指が腋の少し上の方に……人差し指が腋窩の膨らみの下(麓)に、中指が脇の下に……薬指と小指は衣服の裾の中へと滑り込み、胸横の肋骨付近に位置取る形に配置が変わる事となった。 「私ぃ……さっきも言いましたように“整体師”の資格を持っておりまして、よくお客様の身体をほぐす仕事をさせて頂いていたのですがぁ……不思議な事に、私のマッサージは皆さん“くすぐったい”と感じてしまうようで……まともな施術を行えた試しがございません♥」  それぞれの指を目的の場所へと向かわせた牡丹はその様に言葉を紡ぎ、それぞれの指に少しずつ力を込め始める。 「特に……ワキ近辺の施術をする時は、お客様が笑い狂ってしまいまして……暴れて最後まで施術をさせて頂けない事もしばしばでした。ですから、いつか……こんな風に拘束して抵抗できないようにして施術を行ってみたいと思っていたのですよぉ♥」  食い込んでいく指の力は流石は専門職といった力加減で、痛いと思う程強すぎはしないが決して意識しないで済む様な弱い感触には収まってはいない。  広げた全ての指が綾香の“笑いたくなるツボ”に深く突き刺さっていて、その全てが綾香が“今触られたくない”と思える箇所に触れているものだから綾香は強く不安を煽られる。 『や、だめ!! それ以上……指……動かさないで!! 触られただけでゾクってするのに……指が動くって想像したら……もう……絶対耐えられないっ!!』  全ての指が配置に付き、適切な深さで食い込んで動きを止めている。  服の中に忍び込んだ小指と薬指は肋骨の間に添える様に指先が触れているだけであり強い不安は煽ってこないが、しかしその触れている肌は猛烈にムズムズと痒みを発していて……指が動けばその痒みが“こそばゆさ”に変化する事は分かり切っている。  親指の位置もワキの上の方であるにもかかわらず触られているだけですでに耐え難い。人差し指の食い込みも、胸骨と鎖骨が入り乱れている骨の隙間の敏感な神経に触れていてムズ痒い。胸の膨らみ付近に置かれている中指だって爪の先が脇下の肌に薄く食い込んでいてこそばゆさを感じてしまている。  これらの指が一斉に動き始めたら……自分は一体どれほどのくすぐったさに襲われてしまうのか? 綾香はそれを想像しつつ……でも想像の範囲だけでは刺激は予測出来ず、不安を駆り立てられる一方になっている。  出来れば……このまま手を離してほしい……  指を動かさず、何もしないで別のくすぐりに移って欲しい……  いや、くすぐりも……もう終わりにして欲しい……  と、祈る様に心の中で命乞いをしてしまっている綾香だが……牡丹がそれを聞いて責めをやめてくれる訳がないと分かり切っている。だからその心の命乞いは声に出そうとは思わない。  ……このまま何もなく……終わって欲しい。  綾香のその思いは、勿論牡丹には届かない。  届かないから牡丹は……口元をニヤつかせて、無慈悲な刺激を綾香に送り込み始める。 「仲間内からは“くすぐり施術”なんて揶揄されたものですが……綾香様は耐えられるでしょうか? 私の……この……くすぐった過ぎると評判のマッサージを……♥」  言葉を言い終えると同時に指先にグッと力が入る感触を覚える。それぞれの“くすぐりのツボ”に食い込んでいた指達が更に肌の深い所に潜り込み……そして同時にムニョムニョとツボの奥をまさぐる様に蠢き始める。 『ひぎっ!? あがっっはっっ!! あ、あ、あ、あっっ……だ、駄目だ……コレ……駄目なヤツ……だ……』  ワキの肌に窪みが出来てしまう程深く指先を入れ込んだ牡丹の指達が一斉にくすぐりを開始すると、綾香は電撃に撃たれたかのようにビクンと身体を跳ね上げさせ、そのまま痺れる様に身体中をビクビクと痙攣させ始めた。  そして我慢する間も与えられず、横隔膜から押し上げられた猛烈な笑いの衝動に綾香の口は強引に開かされ…… 『も、もう……無理……。ゴメン、夏姫……私……笑っちゃ……』  心の中で綾香が夏姫に謝罪の言葉を唱えようとするのを邪魔するように…… 「プッッッはッっ!! ぶぁあぁぁぁあぁあぁぁあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ちょ、ひゃ~~~~~っははははははははははははははははははははははははは、駄目ぇっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、これ耐えらんないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ、へひぃぃ~ひゃははははははははははははははははははははははははははは!!」  開いた口から盛大に大笑いを吐き出してしまう事となった。 「ギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、やははははははははははははははははは、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヤヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、待ってぇへへへへへへへへへへへへへ、それやめてぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  今まで我慢してきた笑いを一気に吐き出す様に……天を仰いで口から唾を吐き散らしながら激しい笑いを腹から搾り出して発声させる。 「嫌ぁァ~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ムニムニしないでっっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、その揉み込むくすぐり反則っふふふふふふふふふふふふふふふふ、無理ぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ、笑っちゃうっっふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、くすぐった過ぎてどうしても笑っちゃうぅぅふふふふふふふふふふふ、だぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」  一見すると整体師らしい丁寧でしっかりとしたマッサージを身体の側面に施しているだけに見えるが、牡丹の指は全てが綾香の笑いのツボを刺激する為の箇所に配置されている為、そこにマッサージの刺激を入れると狂おしい程のくすぐったさを生み出す事とになる。 「ひぎゃ~~っっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、フギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、お願いぃぃひひひひひ、無理っっ!! それ無理ぃぃぃぃ~~~ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、くすぐった過ぎて頭ぁおかしくなるっっふふふふふふふふふふふふふふふ、イヘヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! だぁ~~はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」  パーの形で広げた牡丹のそれぞれの指は綾香の笑いのツボを的確に突いて揉み解す様にくすぐりの刺激を送り込んで来る。特に一番力が入るであろう親指の揉み解しは、力が強い分痛そうにも感じるが……綾香の腕の付け根付近にあるツボはくすぐったいと感じる神経が肌の奥にも走っており、そこに届かせるためには多少の力が必要になる。その力加減を絶妙に調整してくすぐったいと感じられる刺激だけを親指に送り込ませているのだから、皮膚に食い込ませる痛みよりもくすぐったさが勝り綾香は笑ってしまう。  他の指も同じように差し込む力をギリギリ痛くない程度に加減しており、彼女に“くすぐったい”という感覚以外の刺激を送り込まないよう牡丹は徹底している。 「ほぎゃ~~はははははははははははははははははははははははははははははは、やはははははははははははははは、め、てへへへへへへへへへへへへへ!! やめてっへへへへへへへへへへへへへへへへへ、くすぐったいぃぃぃひひひひひひひひひひひひ!! くすぐったすぎてヤバいぃぃぃひひひひひひひひひひひひ!! 死ぬっ! 死ぬぅぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」  綾香が笑い始めてしまうと、牡丹は小声でインカムのマイクに「綾香様は笑い出しちゃったので夏姫様への“こしょぐり刑”を再開させてください♥」と夏姫の部屋に待機していた青い短髪のバニーに指示を送る。すると、そのバニーはニヤリと意地悪な笑みを浮かべて夏姫の座る椅子の後ろへ回り込み、牡丹と同じように両手だけを背後から前に出して夏姫の無防備な両腋にその手を這わせていった。 『ひっ!? な、な、何? 急に腋に……感触が……』  腋を触られる感触が伝わると、夏姫はハッとなって目隠しされた顔を上げ辺りを気にする様にキョロキョロと首を振る。  青い髪のバニーはそんな夏姫の反応を無視するように腋に触れさせた手をすぐにモジョモジョと動かし、くすぐりの刺激を送り込み始めてしまう。 『ひっ!? ぎっっ!? いひゃっっっ!!! 嫌ぁあぁあぁぁ~~~~っはははははははははははははははははははははははは、腋ぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ、ゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 腋いやぁぁ~~はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、くすぐらないで~っっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! ひぃぃゃ~~っははははははははははははははははははははは!!』  バニーのくすぐりが開始されると、夏姫はビクンと身体を跳ね上げさせて再びゲラゲラと笑い悶え始める。その笑いっぷりは綾香以上に激しいもので、手の枷が千切れるんじゃないかと思える程の暴れ方をして見せている。 「あひぃ~~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、夏姫ぃ~ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! や、めっへへへへへへへへへへへへへへへへ、やめてぇへへへへへへへへへへへへへへ、夏姫に手を出さなぁあぁぁぁははははははははははははははははははははははははは、いひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! いひぇぇへへへへへへへへへへへへへっひへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  綾香も負けず顔を激しく横に振って涎を撒き散らしながら笑い悶えているが、しかし夏姫の笑い方は尋常ではなかった。くすぐったくて必死に笑っているというよりも、くすぐったい刺激を生理的に拒絶する様に嫌がって笑っているという見え方すらしてくる。 『いぎゃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、くすぐったいぃぃ~~~ひっひひひひひひひひひひひひひひひひ、くすぐったいってばぁ~~~っはははははははははははははははははははは、やめてよぉ! 何でくすぐるのっ!?』  口から吐き出される唾は笑う度に量を増し、後頭部は椅子の背もたれに幾度もぶつけて金属板が凹む様な音をボコンボコンと鳴らし続けている。手首はうっ血する程枷に食い込ませており、足も同じようにバタつかせているように見える為足首の方も枷の食い込みに痛みを覚えているであろう事も容易に想像できる。  苦しんでいるというよりも、痛みが耐えられないと言いたげな暴れっぷり……それを目の前で見せつけられ、綾香は笑ってしまった罪悪感に胸を鋭く刺される痛みを覚えながらも牡丹のくすぐりに笑う事を強制させられた。 「ヒィヒィ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ひゃはははははははははははははははは、アハ、アハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 苦しいぃぃひひひひひひひひひひ、笑うの苦しぃィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、くぁはははははははははははははははははははは!!」  自分が笑えばこんなにも夏姫が苦しむ事になる……と、目の前で見せつけられているにもかかわらず……綾香は笑う事が止められない。  我慢しなきゃと思う気持ちは今でも強く持っているが、牡丹の熾烈な“くすぐり施術”によってその思いも掻き消されてしまう。  ワキ全体がくすぐったい! 牡丹の指全てがくすぐったくてしょうがない! 「綾香様ぁ~? どうですぅ? くすぐったいでしょう? 私のツボ入れマッサージは……♥」  腋の上付近に食い込んでいる親指がムニムニと肌奥をほぐすようにマッサージする。人差し指も窪みの少し下の筋肉の塊をコリコリと揉んでくすぐったくさせる。中指はチャイナ服の袖付近をサワサワと摩ったり指先でグッグッと押し込んだりとランダムなマッサージを入れて来る。薬指と小指は袖の中でモゾモゾと蠢いて肋骨の間に走る神経をまさぐる様に刺激し他の指とは別次元のこそばゆさを生み出している。  足の裏をくすぐられた時の比ではない……規格外のくすぐったさがこのマッサージから与えられている。   この刺激に笑うなと言う方が無理な話だ。どんなに我慢強い人間でも、こんなくすぐられ方をしたら笑わずには居られなくなるのは当たり前だ。 「ごめぇぇん!! 夏姫ぃぃひひひひひひひひひ、ごめんッっ!! わだじぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ、我慢出来ながっだぁぁははははははははははははははははははは!! あんたの為に我慢するって誓ったのにぃひひひひひひひひひひひひひひ!! こんなくすぐりなんかにぃひひひひひひひひひひひひひひひ、笑わされちゃってぇへへへへへへへへへへへへへへへへホントにゴメンっっふふふふふふふふふふふふふ、くひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だははははははははははははははははははははははは!!」  綾香が夏姫に謝罪の言葉を発しても牡丹のくすぐりは止まらない。  腕を降ろせず刺激から肌を守る事も出来ない綾香の“無抵抗な腋”を、一切容赦なく……冷徹に……確実に笑い悶えるようコチョコチョとくすぐりを続けていく。  傍目には綾香の暴れっぷりは相当なモノに移っているだろうが……牡丹は両手を前に差し出して、手の指しか動かしていない。  他の……足とか腰とか頭とかは一切動かさず、機械の様に腕を伸ばして手の指だけを動かしている……  ただ指を動かしているだけにもかかわらず……綾香は鞭打たれて悲鳴を上げるよりも大きな声を出して笑い悶えさせられている。    指が……腋の肌をただ、コチョコチョとくすぐっているだけなのに……綾香は狂ったように笑い悶え、ひたすら不自由な身体を暴れさせて無駄に体力を浪費している。 「はははははははは、ヒィヒィ! うへひゃひひひひひひひひひひひひひひひひいひひひひひひひひひひ、いひひひひひひへへへへへへへへへへへへへへへへへっはははははははははははははははははははははははは、くすぐったいぃぃ!! 滅茶苦茶くすぐったいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  笑わされる事で感じる息苦しさは水に顔をつけられて窒息させられるのに匹敵するくらいに苦しい。笑いと共に吐かれる息は次に吸う酸素の量よりもはるかに多く、常に肺の中は酸欠状態を強いられる事になる。ただでさえ酸欠が続いているのに、くすぐりはその酸欠気味の肺からも笑う為の酸素を搾り取って綾香に吐き出すよう要求してくる。それが続けば、緩やかに真綿で首を絞められるように徐々に酸欠状態が酷くなる。そして、その酸欠はやがて呼吸困難を招き酸欠よりも更に上の“窒息状態”へと綾香を誘っていく。 「はひぃ、あひぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ、うぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、夏姫ぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ、許してぇへへへへへへへへへへへへ!! 私ぃィひひひひひひひ、笑いが止めらんないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  笑う事での身体への影響は何も苦しいばかりではない。  笑うという動作を身体が行うと、その都度腹筋やら口角やら、背筋やら横腹やらが無理な運動をしてしまって筋肉も骨も軋むように痛みを発して辛い……。 「ニャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、うひゃはははははははははははははははははははははははははははははは、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、くひ、うひぃ! くひ~~っひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、うぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ……」  その痛みはくすぐったいという感覚に入り混じって綾香に苦痛を味合わせる。笑ったら身体が痛くなると分かっているけど、笑う事がやめられないから身体の痛みもひどくなる一方になる。  そんな痛みや苦しみをリアルに味わっているのに、自分はと言うと笑っているばかりでまるで緊張感がない。死の危険すら感じているというのに……それすらも可笑しいと言わんばかりに笑ってしまっている。  それが一番辛い。  自分の感情が、自分の思い通りならず……笑うという行動に制限されてしまっているのが……最も辛い。  せめて、辛いという感情をそのまま表情や態度に出せれば自分の意思で苦しんでいるんだと自覚できて安心もするが、それもさせて貰えずただ“笑え”とだけ刺激に命令されて自分はその命令を拒否できずに笑ってしまう……自分の意思は一切介入させて貰えず笑うという行為を強制されているのは、もはや感情を操作されていると言っても過言ではない。  自分の感情は、他人の“くすぐり”という行為によって“笑う”という感情表現しか行えなくされている……それは言い換えれば他人によって自分の意思の自由が支配されているのと同義だ。  笑えと強制されれば笑う事しか出来ない……  まるで意志を剥奪された人形のように振舞うよう強制されるこの責め苦に……綾香は、恐怖を抱き不安を抱え絶望に心を折られてしまう事となる。 「ギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、やだぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、もう嫌ぁはははははははははははははははははははははははは、許じでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、もう私の事ぉ笑わせないでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」    やめてと懇願しても、笑っていては真剣さに欠ける。  怒りを露にしても、威圧感は笑いで消され……  辛いと言葉で言っても相手側からは楽しそうに笑っているとしか見られない……  自分の意思が何一つ伝えられない……それが分かっているから余計に辛い。  綾香の苦痛は物理的な苦しさよりも、自分の感情が笑う事でちゃんと発現させらない苦しさの方が強く感じられている。  せめて、いつもの強気な態度を示す事が出来れば……自分の負けん気も保つ事が出来てどんな責め苦にも耐えられる自信が持てそうだが…… 「おひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、いへひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、うへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! 死ぬっ! マジで死ぬ! ホントに死ぬぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」  一度くすぐりに笑ってしまえば、もうこの強気な態度は表に出せない。  笑いが笑いを誘ってまた自分を笑わせてしまう為、自分の力では笑う事を止められない。  牡丹が慈悲をかけてくすぐりを弱めてくれない限り……綾香は笑い続ける運命にある。  頭の中を空っぽにして……ゲラゲラと笑い狂う事しか綾香に選択肢は無いのだ。 「コチョコチョコチョ♪ ほ~~れ、コチョコチョ~♪ 綾香様はクールな見た目ですから普段笑う事なんて多くはないでしょう? だったら私がもっと笑わせて差し上げます♥ もっと笑って……素敵な笑顔を振り撒いてくださいませ♪ こちょこちょこちょ~~♥」  「ひっ!? ぎゃっっ!! はひゃっ!! ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ちょ、はひ!? うひゃ~~~~~はははははははははははははははははははははははははは、やめてっへへへへへへへ、笑いたくないっっひひひひひひ!! もう、笑いたくないぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「ウフフ♥ 遠慮なさらずにもっともっと笑ってくださいよぉ♥ ほらぁ、どうせ抵抗なんて出来ないのですからぁ……くすぐったい刺激を素直に受け入れて、心の底から笑ってください? コチョコチョコチョコチョコチョコチョ~♥♥」 「おぎゃぁあぁぁぁぁはははははははははははははははははははははは!! ぃ、痛いぃひひひひひひひひひひ、横腹が痛いぃぃひひひひひひひひひひひひひ!! 笑い過ぎて横腹がぁはははははははははははははははははははははは、クヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、んひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ~~っ!!」 「ほぉ~ら、楽しいですねぇ~♪ 楽しいでしょう? こんなに笑っていらっしゃるのですから……楽しいに決まってますよねぇ?」 「楽じぐないぃィぃィぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、楽しくないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ……ダハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! うひゃはははははははははははははははははははははは、苦しいし、痛いし、辛いだけぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、うひぃ~~ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「またまたぁ~♪ こんなに笑って下さっているのに楽しくないわけがありませんでしょう? ほ~ら、少しツボ位置をずらしてまたマッサージして差し上げますからぁ♥ コチョコチョコチョ~♪」 「ギャハッ!? ほぎゃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やめでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、くすぐり方かえないでぇへへへへへへへへへへへへへへ!! だぁぁははははははははははははははははははははははははは!!」  腋全体をモニョモニョと指が揉み込む度に綾香の笑いはトーンが跳ね上がる様に高くなって声量が大きくなる。指の動きもただ揉み込むだけでなく、振動するように震わせたり、爪の先でほじくる動きをさせたり、指の腹で撫でる動きをさせたり……動く指がランダムであるのと同じように指の動かし方もランダムに動かしていつでも新鮮な刺激をワキに送り込んでいる。  綾香の笑いは休む事を知らないように途切れなく口から吐き出されていく。 「はぎひぃぃひひひひひひひひひひひ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ひぃひぃ、クヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、んへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、こほほほほほほほほほほほほほほほほほほ……」  笑いの連続は肺から生存の維持に必要な酸素さえも奪い去り、綾香の顔を青ざめさせていく。 「ひぎひひひひひひひひひひひひ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、うへへへへへへへへへへへへへへ……ゲホゲホ!! ひぎっ!? っひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、んへへへへへへへへへっへへへへへへへへへ、ゲホゲホゲホ!!」  これ以上笑えば命の危機を迎えてしまう……と自覚しているが、両腋から絶え間なく送り込まれてくるくすぐったい刺激が綾香を無理やり笑わせてしまい呼吸をする間も惜しむように笑い狂ってしまう。  牡丹はそんな綾香の苦しみなど気にも留めず両手の指を動かし続ける。  自分の指が綾香の生命を脅かしていると知りもせずにくすぐったい刺激を送り込み続ける。 「やはぁひひひひひひひひひひひひひひぃへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ゲホゲホ!! ひぎぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ゴホゴホ! ひぃひぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ぅへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  やがて呼吸の苦しさのあまり咳き込むようになって笑いも途切れがちになると、そこでようやく牡丹は“自分がやり過ぎてしまった”と気付く。  そして、窒息寸前まで追い込まれ真っ青になった綾香の顔を見て慌てて手を止める。  同じように酸欠で意識が朦朧となっていた夏姫の方にもくすぐりを止めるよう指示を出し、バニーの手もそこで止まる。 「ぇげ、ひひ……ひへへへ…ふひひひ……ひひ、いひひひ……ゲホゲホ!!」  綾香と夏姫はそこで同時に力尽きるように頭を項垂れさせ、力のこもらないか細い呼吸を繰り返してどうにか肺に酸素を取り込ませていった。 「おっと……少し……やり過ぎてしまった様ですねぇ。私としたことが腋の触り心地があまりに素晴らしくて……つい我を忘れて責め過ぎてしまいました❤」  牡丹はそのように言って自分の手をワキワキさせて、今しがた綾香の腋をくすぐった感触を思い出す。 『あぁ……♥ 綾香様の腋……柔らかくて温かくて、張りもあって……触るだけで気持ち良くて……くすぐるのがクセになってしまいそうです♥』  綾香の腋の体温や肌の柔らかさを思い出しつつ、自分が涎を垂らしながらくすぐりを続けていた事に気付き慌てて手でその涎を拭いて興奮していた証拠を消し去ろうとする牡丹。彼女は、自身の涎に濡れてしまった手を逆の手の着物の袖ではしたなく拭うと、部屋の隅に居る紅葉達の姿に視線を移し……彼女達の状況をしばし観察した。  紅葉と麗華は、対戦の準備が整って今まさに三戦目を始めようとする瞬間にあった。  紅葉の顔には余裕の笑みが浮かんでいるが……対する麗華の後ろ姿は、何やら追い詰められているという雰囲気を背中に纏っている。 『あの様子ですと、紅葉様は問題なく連勝中……と思っておいて良さそうですね……』  これは、また紅葉の勝利は堅いだろう……と確信した牡丹は安堵の息を零し、自分の近くに待機していた“赤いロングヘアのバニー”を手で招いて自分の傍に来させた。  近づいてきた赤い髪のバニーは頭を横に傾けて何の用かと疑問を顔に浮かべる。そんな彼女に牡丹は綾香にも聞こえるような小声で指示を零していった。 『良かったら……綾香さんへのくすぐりを手伝ってくださいませんか?』と。  その指示を聞いた赤いロングヘアのバニーは“やっと誘ってくれたか”と言わんばかりに口元にニンマリと笑みを浮かべる。  そして牡丹と共に綾香の不自由な身体を眺めて再びニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべなおす。  綾香はそんな二人の視線を背中に感じ、勘弁してと言わんばかりに顔を横に振り乱す。  しかし、笑みを浮かべたバニーはそんな綾香の態度を無視するようにそのまま彼女の“足裏”のある椅子下へと潜り込んでいった。  バニーは綾香の足裏が椅子の下でモジモジと動いているのを目にし舌で唇を舐める仕草を行う。  そして手を構え……艶めかしく動く綾香の足裏にその手を近づけさせ……


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