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ショーダウンⅡ 『10:耐え難い刺激』

10:耐え難い刺激 「ぷっっはっっ!! んひゃ~~~~~っっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、いひゃはははははははははははははははははははははははははははははは!!!」  吹き出すのと同時に口内に溜めこまれていた唾が、打ち上げられた花火の様に宙に散ってキラキラと地面に降り注いでいく。  赤や青や黄色のスポットライトがその唾の飛沫に光を差し込ませ、色鮮やかに散布されて若干幻想的にも映るものだが……綾香にはそれを落ち着いて見る余裕を与えられていない。 「おぁ~~っはははははははははははははははははははははは、ちょ、やっっはははははははははははははははは、やめて! そこ、やめてぇへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  降りかかる唾の雫を太腿に感じながらも綾香は口を大きく開かせて更に激しく悶える笑いを吐き出し始めた。その笑い方は普段の綾香を知る者であれば決して想像し得ないであろう余裕など皆無な笑い方で、5分前の彼女と本当に同じ人物であるかも疑わしくなる程のリアクションをくすぐりに対して返してしまっている。 『ムフフ♥ とうとう我慢できずに笑ってしまいましたねぇ? では……早速アチラにもお仕置きのおすそ分けを♪』  綾香が吹き出してしまった声を聞いた牡丹はすぐさま腕の横でイヤホンのプッシュセンサーに触れマイクをオンにし、離れた部屋にいるバニーのイヤホンに通信を送る。すると、モニターの中のバニーが「了解しました~」と気の抜けた返事を返しすぐさま夏姫の背後へと戻って行って椅子の下へと入り込んでいく様子が映し出される。 「はぎひぃぃひひひひひひひひひひひひ、待っヘ! ちょ、ちょっと待っっひぇへ~~~っへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、むはぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」  自分が笑った事によってモニターの中の夏姫にも罰が下されるのだと改めて知らされた綾香は、慌てて身を乗り出して上半身をモニターに近づけさせようと力を込める。しかし、彼女の懇願もその様な態度も画面の向こう側の二人には届いておらず、抵抗虚しくもバニーが椅子の下へと潜って数秒後には夏姫の足裏に再びあの苛烈なくすぐり責めが再開されてしまう事となる。 『ひっ!? いぎゃっっ!? また始まっっ……ひゃっっ!!!! にひゃ~~~~~~~~っッっははははははははははははははははははははははははは、ヤだ! もうヤだっ!! ヤなんだってばぁ~っはははははははははははははははははははははははははははは!!』  ソレが始めるとモニターのスピーカーからはけたたましい悲鳴のような笑い声が聞こえ始める。  項垂れさせていた目隠し顔をガバッと起き上がらさせ、控えめで小さかった口を大きく開かせ笑い悶えるその姿は、綾香にも劣らぬギャップを見ている者に与える。 「つぁははははははははははははははははははははは、夏っきひひひひひひひいっひひひひひひひひひひひひひひひ!! 夏姫ぃぃ~~ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ!! だめぇへへへへへへへへへへへへへ、やめて! やめさせてぇへへへへへへへへへへ!!」  夏姫が笑い出したのを見て、綾香は笑いながらも顔を真っ青に染めて思わず椅子下に居る牡丹に懇願の声を零してしまう。このように言って止めてくれる訳はない事など分かっているが、綾香は縋るような声で牡丹に慈悲を求めようとする。  コレを聞いた牡丹は椅子の下で聞こえる様にクスリと笑い声を一つ零し…… 「綾香様ぁ~? ルールは分かってらっしゃいますでしょう? 止めて欲しいのでしたら……私などに懇願する前にその間抜けな馬鹿笑いをお止めになるのが先かと♥」  牡丹は当然の如くその様に返して、綾香の足裏へのくすぐりをさらに激しいものへと変化させていく。  右足一か所を集中してくすぐっていた2本の羽根の内1本は、弱点である土踏まずの横端を素早く掻き毟る様なくすぐり方で責め立てさせ……  もう一本はそこから少し離れ右足の足裏全体を担当させる様にあちらこちらに羽根を這わせて、弱点とは別の箇所に新たな刺激を与える責めを展開していった。 「ぉぎゃ~~~っっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!! ちょはめっっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへへっへっへっへっへっへ、いへひはぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」  牡丹の不規則なくすぐりが再び笑いのツボに刺さってしまった綾香は、自身の言葉を言語化する余裕すらも与えられず激しい笑いを吹き出す事を継続させられた。 「ほらほらほらぁ♥ 早く笑いを止めないとぉ~夏姫様が苦しむばかりですよぉ~? 綾香様ぁ~~?」  夏姫の笑い悶えを止めたいなら自分の笑いを止めなさいと牡丹は綾香に語り掛けるが、その言葉とは裏腹に彼女の手は的確に綾香の“弱い箇所”をついて無慈悲にくすぐり倒していく。  弱点をメインでくすぐる羽根の動きはランダムに強弱がついて、動く方向にも一貫性はなく予測がつけにくい。その一貫性のない動きが綾香の足裏を効率的こそばゆくさせ彼女に笑わずにはいられなくなる刺激を送り込んでいく。  2本の内のもう1本の羽根の方も責め方は意地が悪く……カカトと土踏まずの境界付近をコソコソと弄ったかと思えば、土踏まずの逆サイドの端をツツツと撫で上げてもどかしい刺激を加えて来たり……そうかと思えば足の指の間に強引に羽根を挟めてギコギコとノコギリを引く動きをさせて指股に凶悪な刺激を送り込んで来たり、母指球の膨らみの上で円を描くようなくすぐり方をしばらく続けたり……  右足裏だけという限られた空間の中で、擦る・なぞる・引っ掻く・掃く・撫でる……と、実に多種多様な刺激の与え方を駆使して綾香に様々な“くすぐったい”を植え付けて来ている。 「おひゃはははははははははははははははははははははは、いひへへへへへへへへへへへへへ!! く、くすぐったいっひひひひひひひひひひひ!! くすぐったいぃぃぃひっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、やめてっっへへへへへへへへへへへへへへ、我慢なんてできないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  そんなテクニカルなくすぐりを行われて、綾香が簡単に笑いを止められる筈もない。  一度笑いを我慢出来なくなって笑ってしまうと、くすぐったいと思う感覚が媚薬でも塗られてしまたかの様に鋭敏になってしまって、刺激に対して過剰な拒否反応を引き起こしてしまうようになる。  その拒否反応は手足や身体を動かして反射的にくすぐりから逃げるなどの行動を勝手に起こすのだけど、手足を拘束された彼女にはその反射行動をどんなに繰り返してもくすぐりから逃れられる訳では無い。  笑えばくすぐりに敏感になってしまうと分かっていも、綾香には笑う以外の道は用意されていない……何せ、この椅子そのものがそれを意図して作られた椅子なのだから抗えるわけがない。綾香も……マジシャンだったという事を除けばただの非力な女性でしかないのだ……このような鉄の塊のような強固な椅子を無手でどうこうできる筈もない……。 「ひゃへぇへぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、くすぐったいぃぃぃぃ!! そこ、くすぐったいんだってばぁ!! うひはっ!? んぁはははははははははははははははははははははははははははは!!」 「まだ我慢できないんですかぁ? いけませんねぇ~~目の前で恋人さんが大変な目にあっているというのにそんなにゲラゲラ笑っていては……。もっと相手を思いやる気持ちを強く持って我慢なさらないとぉ♥ それ、コチョコチョコチョ~♪」 「あひへっっひゃ~~~~~~~~っはははははははははははははははははははははは!! む、無理ひひひひひひひひひひ、言わないでっへへへへへへへへへへへへへ!! くすぐりは無理っひひひひひひひひひひひひひひひひ!! くすぐりに笑わないのは無理ぃぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「ほ~ら、こちょこちょ~♥ コチョコチョ~? こちょこちょこちょ~♥♥ 無理でも嫌でも綾香様が笑うのを止めないと夏姫さんはずっとこのままですよぉ? こちょこちょ~♥」 「あひ~~~っひーーーっっ!? んひへはははははははははははははははははははははははははははははは、な、夏姫ぃぃ~~~ひひひひひひひひひひひ!! 夏姫ぃぃ!!」  画面の中の夏姫は“喜ぶ”という感情が暴走しているかのように激く笑い悶えている。嫌だ嫌だと叫びながらも笑い苦しんでいる様子は傍目には滑稽に見えるかもしれないが、逃げられない状態でくすぐられ続け笑わされるという辛さは実際にそれを受けている綾香には痛い程に理解出来ていた。  笑っても笑っても脳が“くすぐったい”と感じてしまえば、例え呼吸が出来なくて苦しいと思っていても笑う事を優先させられる。  笑えば笑う程身体は疲弊し肺は酸欠状態を強いられるのに、ほんの少し足の裏を柔らかい羽根でコショコショとくすぐられるだけで笑い狂いたくなる感覚に追い込まれてしまう。自分は“笑いたくない”と心の底から思っている筈なのに……羽根先が土踏まずの肌を悪戯に撫でれば思いとは裏腹に馬鹿になったかのように笑い狂ってしまうし、指先や指の付け根なんかをチョロチョロっと撫でてくれば笑う力が残って無くても腹の底から笑いを搾り出してして笑い悶えてしまう。  くすぐりという刺激は本来そういう非道な刺激であると……綾香はよく知っている。その辛さを二年前に存分に味わった身であるのだから、夏姫が今どれだけ苦しい思いをしているのか想像できない筈がない。  しかし……  そうであっても……  笑う事が止められない。  夏姫を助けたいと……その思いを強く持っているにもかかわらず……牡丹のくすぐりに笑いを堪える事が出来ていない。 『くすぐったい! くすぐったい! くすぐったい!! くすぐったいぃいぃぃっっ!!!』  綾香の頭の中はその言葉に埋め尽くされている。目の前で苦しんでいる夏姫の映像を見せられながら……自分も椅子をガタガタいわせ笑い狂っている。笑いたいと思ってもいないのに…… 「ほらぁ~! 暴れても逃げられませんよぉ? 逃げようとしたって私のこの羽根からは絶対に逃げられないんです♥ 右に逃げてもこんな風に羽根が追いかけてきて~~綾香様の無防備な足裏をしつこくコチョコチョくすぐります♥ 辛いからって左に逃げても羽根は何処までもついていって、このヨワヨワな土踏まずの肌をコチョコチョし続けますからぁ~」 「ンハァ~~~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! や、やめ! やめへ、やめてっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「フフフ♥ モニターの中の夏姫様も……きっと綾香様を恨んでいる事でしょうね? ここ(椅子の下)まで彼女の絶叫笑いが聞こえてきてますもの……さぞや苦しい思いをしている事でしょう♥」 「夏姫ぃぃ~ひひひひひひひひひひひひひひひひ!!! 嫌ッはははははははははははは、も、もうやめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、せめて夏姫だけでも許じでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「綾香様も……夏姫様の無様な格好を見てもっと大笑いしながら楽しんでくださいね? 後から、綾香様のその馬鹿にするような笑い声も夏姫様に聞かせて差し上げますので……今のうちに心いくまで大笑いしてあげてくださいませ♥」 「イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! いやぁ~~~っはははははははははははははははははははははは、そんなの嫌っはははははははは!! 私の笑い声なんてぇへへへへへへへへへへへ、聞かせないでっっ!!」 「そう思うのでしたら……早く笑うのを我慢する事をお勧めいたしますよ。いつまでもだらしなく笑われていては……こちらも面白くありませんし……」 「そ、そ、そんな事言ったってぇへへへへへへへへへへへへへへ!! こんな状況で笑いを止めるだなんて……無理に決まってぇ~~へへへへへへへへへへへへへへ、くひゃ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「まったく……だらしのない方ですねぇ? 最初のあのカッコいいお姿は何処へ行ってしまわれたやら……」  牡丹は椅子の下でワザとらしく大きく溜息を吐き「仕方ありませんね」と呟きつつ羽根の動きを少しずつ弱めて行ってあげた。 「ハァハァハァ、ひひひひひひひひひひ、ひひひひ……いひぃ……ひひっ! ひぃ……ヒィ……」  羽根の動きが“笑わせよう”とする動きから“疲労しきった足裏を労って愛撫する”ような動きへと変化した事で、どうにか地獄の笑わされループから抜け出す事が出来た綾香は……まだ余韻の残るこそばゆさに若干の笑いを反射的に吐かされながらも、肺から酸素を搾り出す程の笑いは出さずに済むようになった。 「まぁ、最初はこの程度で許して差し上げましょう……」  綾香の足裏から完全に羽根を降ろし切った牡丹はその引いてきた羽根を着物の帯に挟んで一旦手元から放し、その様に零しながら椅子の下から這い出してきた。  入る為の空間が開いているとはいえ椅子下は3面が鉄板に囲まれた狭い空間であり、綾香の素足の体温やら足裏から気化した汗の臭気やら自分の身体の体温やらが混ざり合い、頭がクラクラする程度には熱さも不快指数も高まる事となっていた。  牡丹はそんな過酷な場所から這い出してくると、糸目にしていた目の横を垂れている大粒の汗をポケットから取り出した薄紫色のハンカチを取り出して拭っていった。 「……ふぅ♥ 娑婆の空気は美味しいですねぇ……」  などと呑気に息をついて自分の汗を拭った牡丹は、ぐったりと頭を項垂れさせて肩で呼吸を繰り返す綾香を見てニヤリと笑みを零した。 「さて? 安堵している所申し訳ありませんが……次のくすぐり責めに……移らせて頂きますねぇ?」  牡丹はその様に言葉を零して、手をグー・パーと交互に開いたり閉じたりを繰り返し……そして、綾香のあの部位に恋焦がれる様に視線を寄せていく。  まるで……そこを最初から“触りたかった”と言わんばかりに……手の指に力を込めてグー・パーを繰り返す。  彼女が頬を赤く染めて見つめているその部位は……  綾香の……剥き出しの状態に晒されていた……  ワキの部位……だった。  ノースリーブの赤いチャイナ服の裾から伸びている綾香の細くて華奢な腕……その腕の付け根には、肩と胸筋が交差して形作られている美しい“ワキ”の部位が晒されていた。  普段、腕を降ろしていればお目にかかる事など滅多にない……希少とも言えるその腕下の部位に、牡丹は見惚れるような熱視線を送り込んでいる。 『やっと……綾香様のあの“ワキ”に触わる事が出来るのですね……♥ 初めて見た時から……とてもエッチで、早くイジメて差し上げたいと思い焦がれていました。その美味しそうな“腋”を、この私の手で……♥』  足裏責めに笑い狂わされたお陰で身体中が疲弊し、その疲弊の弊害で腋の窪みや周囲には彼女のかいた汗がじんわりと浮き出ていてそこを湿らせている。  牡丹の目にはスポットライトの色を反射するその汗がキラキラとスパンコールを塗ったかのような煌めきを見せており、魅力的な腋を一層妖艶で淫靡な部位に見せて輝きを放っているように感じた。  柔らかそうで……しなやかそうで……敏感そうな……美し過ぎる綾香のワキ。  牡丹はその腋の部位を……食い入るように見つめ、そして……続けていた手の開閉運動を不意に止めた。  綾香の腋を見つめつつ、牡丹は傍に置いてあった踏み台をその手で少し押して……綾香の背後にその台を設置し直した。  椅子の背後に置かれたその踏み台に……牡丹は興奮を抑えようともせず息荒く足をかけていく……  そして、椅子の背もたれ越しに見える綾香の後頭部に視線を移しながらも……綾香を絶望させる言葉を耳打ちした。 「実は……わ・た・しぃ♥ 女性の“腋”を見るのも……触るのも……大好物……なんですですよねぇ~♥」  ……と。  そんな、牡丹のアレなカミングアウトが行われていたのと時を同じくして……  紅葉との2戦目のポーカーバトルに挑んでいた麗華は、新品のカードデッキを受け取り自分自身で混ぜ……紅葉にの指示通りに追加でもう何度かカードを切ってそのカードをシューターの中へと入れ込んでいた。  シューターにセットしたトランプは紅葉の手に一切触れることなく蓋が閉じられ、そしてバネの力で押し出された最初の一枚目のカードが取り出し口に自動でセットさせる。  麗華はそのカードを引き抜いて自分の手元へと寄せ、心の中で言葉を反芻する。 『もう二度と……負ける訳にはいきませんわっ!!』 ……と。


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