PT研 第4話ー⑨『監査委員会と生徒会』
Added 2023-07-13 13:24:51 +0000 UTC9:監査委員会と生徒会 ――同時刻、PT研部室…… 「では、先程の続きをお話ししていきます……」 私と小夜子先輩は捕まっていた介護実習室から出て、いつものPT研の部室へと場所を移動し話の続きをする事となった。 これには勿論部長も理子先輩も生徒会長も随伴し私を囲む様に立ち、喋り始めている生徒会副会長の宮腰さんの話に耳を傾けている。 「あ、あの……ちょっとその前に……イイですか?」 異端審問なんちゃらの人達は、部室には来ず私達とは軽い挨拶を交わして別れる事になり……この一件は無事に乗り越えられたのだと安堵の息を吐きたかったところだけど…… 「……なんでしょう?」 「い、いや……何と言うか……部室に帰ってきたのに……私ってなんでこの格好になっちゃったのかなぁ~と……」 「……それは……私の伺い知る所ではありませんので……」 「そう……ですよね? じゃ、じゃあ……部長?」 「うん? 何だ明日香?」 「これは一体……何の冗談なのでしょう?」 「冗談? 私が何か冗談を言ったか?」 「いや、言ったとかじゃなくて……」 「なんだ? 何か不満か?」 「そ、そりゃ不満ですよ! こんな格好にまたされたら!!」 「格好? 何を言ってるんだ……体操服に着替えて貰っただけだろう? それの何が不満なんだ?」 「ち、違います! 服装じゃなくてッ! いや……服装も十分におかしいとは思ってますけど! そうじゃなくてこの拘束ですっ! 何でまた私だけこの椅子に拘束されてるんですかっ!」 部室に連れて来られるなり理子先輩が私に無言で体操服を渡し……それに着替えるよう目で脅してきた。私はそれに渋々着替え直して部室に戻ってみると、そこにはあの……拘束椅子が準備されてあった。 私は嫌な予感が過り部室から逃げ出そうとしたけど……小夜子先輩がさりげなく部室の入り口を固め私の逃走路を阻止してしまった。 アタフタしている私の手を掴んだのは理子先輩と部長であり、彼女達は無言で私をあの日と同じように靴を脱がせて裸足にして拘束し今に至っている。 「ん? あぁ……まぁ、それは話が終わった後説明するよ……」 ただ話を聞くだけでこんな拘束をする理由はない。 逃げられないよう手足を拘束されてしまった後だからもうどうにもならないのは確かだけど……この体勢で拘束されているのは嫌な予感しか過らない。 「あの……話の続きを喋っても構いませんか?」 「あぁ……すまん。頼む……」 「ちょっ! まだ私の疑問に応えて貰っていなんですけどぉ?」 「あぁもう、うっさいわねぇ! 黙ってないとくすぐるわよ?」 「ひっ! わ、分かりましたよぉ……(グスン)」 私のすぐ横には理子先輩が手を構えて待機している。 私は彼女にくすぐられても抵抗できないよう万歳の格好を強いられ異様にでかい背もたれの上の方に手首を拘束されている。 だから、彼女が手を動かせばすぐに私はくすぐられてしまう……何の抵抗も許されずに…… 「私はもともと……監査委員会側の人間でした……」 私と理子先輩のやり取りを気にも留めず副会長の宮腰さんは淡々とこの件の裏を私に話し始めた。 「監査委員会の会長は“久遠寺 初香(くおんじ ういか)”という女であり、私は初香とは小さい頃から主従の関係にありました」 「久遠寺さんって……もしかして、あの久遠寺製薬の……?」 「そうです。あの製薬会社女社長の長女……それが初香であり、その製薬会社で社長秘書を行っているのが私の母……」 「宮腰さんのお母さんが……社長の秘書!?」 「女社長に女秘書……女同士であるが故に親交は昔からあり、私はよく初香の豪邸に招かれて遊ばされていたものでした……」 「子供の頃から……親交があったという事ですか……」 「当初は私達も幼く、互いに遊ぶ中で親交と呼べる仲になっていたのですが……中学にあがる頃には彼女の考え方はガラリと変わり……私の事を忠実な僕と認識するようになりました」 「そ、それは……親の立場が影響していた……とかですか?」 「えぇ。歳を重ねるにつれ初香の私を見る目は友人ではなく……扱いやすい部下……逆らわないペット……もっと酷く言えば“自分の駒”として見るようになり、完全に主従の関係を強要して私の事を見下し始めました」 「ペット!? ……駒!?」 「愛想を尽かして離れようとすれば、母親に言って秘書を辞めさせるゾと脅し……強引に私を引き留めようともしました……。ですから私は彼女に逆らえず、彼女の奴隷として中学・高校とやってきたのです……」 「それは……酷い……」 「明るく陽気……成績は優秀……人望もあり、スポーツも万能……。光が当たっている場所から見る彼女は輝いて見えもしますが、いざ光の届かない場所で彼女を見れば……ずる賢く野心的でプライドが高い、自分の欲しいモノを手に入れるのに手段を択ばない……そんな醜い本当の姿を目の当たりにする事になります」 「それを見てきたのが……宮腰さん」 「私以外にも監査委員に居る彼女を知るものは大体見てきていると思います。彼女のプライドの高さと野心の高さを……」 『(久遠寺……初香さん……。私は一度だけ全体朝礼の場で見た事があった。いかにもスポーツをやっているかのように健康的に日に焼けた肌と短い白銀色の髪、鋭い八重歯が口端から見えていて、自信に満ち溢れているかのような吊り目……。遠目に見た彼女は私とは真逆の“陽キャ”のようなイメージが強く……何の勝負もしていないのに既に“負けた”と思わせる程私には輝いて見えた記憶がある)』 「しかし、そのプライドも野心もある出来事がきっかけで地の底まで打ちのめされる事となります……」 「ある出来事?」 「それが、去年行われた……生徒会総選挙」 「選挙?」 「初香は自身の野望の為に私と共に生徒会に立候補し、結果この神崎詩織会長に惨敗を喫します」 「……詩織さん」 「惨敗した事で生徒会長になるという野心は潰される事になりましたが……幸か不幸か私は副会長になるという席を得る事が出来ました」 「宮腰さんは……生徒会に入れた……。でも初香さんは入れなかった……」 「初香は私だけが生徒会に入れたことに大層腹を立てていましたが、すぐに冷静になり私がココに入った事を利用するという流れを考えつきます……」 「副会長になった宮腰さんを……利用?」 「元々初香は生徒会長になって学園の予算を自分の所に集め、部活動を自分の支配下に置こうと画策していました……」 「学園の予算を集める!? な、なんですかソレ?? そんな事が生徒会長には出来る……と?」 「明日香さんも“予算分配会議”というものが年に2回開かれているのは知っているでしょう?」 「は、はぁ……。うちもなんかそれに出るとか出ないとか……」 「予算分配会議は、学園全体の活動に学園側が予算を配分するという体になっていますが、その実は全ての活動に平等に予算が行き渡る訳ではありません」 「……そ、そうなんですか?」 「まず優先されるのは功績の高い部活動……。言うなれば学園に大きな宣伝効果をもたらすような優秀な部活動に予算の大部分が割り当てられる事になります」 「……うちだと、陸上部と、剣道部、吹奏楽部が全国大会に出てますよね? そういう部活動が優遇されるって事ですか?」 「えぇ。まずはこういう宣伝効果の高い部活動に全体の予算の半分を割り振って、その残りを他の部に分配していく……」 「予算の半分が一部の部活に振り分けられるという事は……残りの予算は……」 「勿論、その後の分配も部活動の実績やら宣伝効果を鑑みて配られる事になります。それ故、同好会止まりの活動やそういう類の有象無象の趣味程度の活動にはほとんど予算は配られません」 「あぁ……だから、うちの部は予算が無いから部室は音楽室を乗っ取って使っているし、小道具等は小夜子先輩の私物を使っているんですね……」 「そして、功績や実績を公的に記録として残せるのは部に昇格した活動が主である為……結果的に部活動の管理を行っている“生徒会”の方に予算が集中するという流れが出来ています」 「部活動の管理?」 「あなたも部の申請の為にうちに来たでしょう? ああいう、部への昇格認定だったり……部の活動報告をまとめるのは生徒会の役割になっているんです」 「あぁ、そう言えば……(無理やり部に昇格させに行ったんだった)」 「同好会や趣味クラブ……そういう“部”に昇格しきれていない活動を監視するのは監査委員会の役割であり、基本的に予算の面だけで見れば生徒会よりも下回る存在だと言えます」 「あ、あの……さっきから出てる監査委員会って……何なんです? あまり聞き馴染みが無くて……まだ理解出来ていないんですけど……」 「監査委員会は……元々学園の諸問題を調査したり、問題が起きそうな事案を未然に対処する役割を担った三権組織の一角です」 「さん……けん……そしき??」 「生徒会……学園運営部……そして監査委員会、これらはそれぞれ役割の違う権力を持った三権組織とうちの学園では呼ばれています」 「三権組織……? な、なんですか? その難しそうな名前は……」 「明日香さんは三権分立って言葉……聞いた事はありますか?」 「あぁ……何か授業で聞いた事ある気もしますが……知らない気もします……」 「簡単に言えば、権力を一つの部署に集中させず三つに分割してバランスを取って支えて行こうとする制度の事で、我が国では司法・立法・行政がそれぞれ国会やら内閣やら裁判所やらに分けられています」 『(……やばい。なんか勉強みたいなことが始まったゾ……。これは頭痛くなるヤツだ……)』 「うちでは、予算や学園の運営を管理するのを学園運営部が……。ルール作りや規則の順守を管理するのを生徒会が……。そして、学園の問題の発見やその問題に対処する為にルールの改変を提案するのを監査委員会が担当していて、これら三つの組織が互いに権力を持っている事でバランスよく学園運営が行われている……と、いう事になっています……」 「……えっ? “なっています”って……?」 「実際は学園運営部に権力が集中していて、監査委員会が見つけた問題点を生徒会と共に話し合ってルール変更を提案しても、学園側が気に入らなければ破棄される事が殆ど……」 「じゃあ……結局権力のバランスって……」 「取れていないのが現実です。名目では公正さを売りにこの三権組織にしたとは言ってますが……形だけで、実質は運営部が一番で次に生徒会……最後に監査委員の順に権力に差が生まれています」 「それは……監査委員がちょっと可哀そう……かも?」 「まぁ、そうは言ってもこの予算分配会議に審議員として出られるのは生徒会と監査委員だけですので、何の権力もないという訳ではありません」 「でも、監査委員は殆ど予算が取れない同好会とかの管理が主なんでしょ? だったら……この会議でも影響力は低いのでは?」 「それを変える為に、生徒会に席を取れた私を初香が利用したんです」 「変える……為?」 「私が生徒会に在籍する事で、詩織会長の弱みを握る事が出来る……と彼女は考え、私をスパイとして動かしたんです」 「スパイっ!? 監査委員の!?」 「最初の頃は私も従順に会長の弱みに当たるものを調査し報告していたのですが……ある出来事から私がスパイである事がバレてしまい……」 「ある出来事?」 「それがあなた方PT研との出会い……。いえ、京堂小夜子との出会い……と言い換えた方が良いですか……」 「PT研……小夜子先輩との出会い?」 「最初の出会いは、部長と明日香さんが部への昇格認定の為に訪れたあの日……。あの時はまだ私も監査委員のスパイとして暗躍していた時期でした」 『(詩織さんを部室におびき出す為に部長が口車に乗せて捲し立てていたあの日の事だ……)』 「詩織会長がPT研の部室に行ったあの日……私は会長から“帰ってくる時間が遅くなったら即残っている先生に通報して”という指示を受けていました」 『(詩織さんが拷問を受けている間の出来事……かな?)』 「それを阻止しに現われたのが……京堂小夜子……。彼女は我々の計画を知っていて別行動してきました……」 『(さすが小夜子先輩。相変わらず何処からそんな情報を仕入れてきたのやら……)』 「そこで初めて……私は……(ゴニョゴニョ)」 「はい? あの……聞こえませんが……?」 「で、ですから……私は……その……彼女に……」 「……??」 「く、くす……くす……ぐ……られ……て……」 「あぁ、小夜子先輩にくすぐられたんですね? 無理やり……」 「うぐぅ!? うぅ……そ、そう……です……。それがトラウマになる程……責められて……」 「可哀そうに……。分かります……その気持ち」 「恥ずかしくて……悔しくて……苦しくて……。私はそこで初めて“復讐してやりたい”って強く思ってしまいました」 「そうですよね! 復讐したいですよね! 分かります! めっちゃ……分かります!」 『(あはぁ♥ 明日香ちゃんってばそんな事裏で思ってたんだぁ~? 私にぃ……)』 「その思いは……風紀委員長の一件で晴らす事になります……」 「……? 風紀委員長の一件?」 「覚えているでしょう? あなたを……明日香さんを生徒会室で無理やり拉致したのですから……」 「拉致……? あぁ思い出した! 私が部室の鍵を返しに行ったとき……確か眠らされて……」 「明日香さんが来た瞬間は……正直、驚きました。なにせ……あの時生徒会室でヤってたのはスパイ活動だったのですから……」 「スパイ活動!?」 「あの時……生徒会室は電気が点いていなかったでしょう?」 「あ、そう言えば……真っ暗な部屋に独り居ましたよね……」 「私は会長がPT研を部に昇格させたというのが信じられず、もしかしたら何かしらの弱みを握られたのではないかと考え……彼女のPCに何か記録が残っていないか探っていました」 「あ、あの時……そんな事してたんですか!? (てっきり真面目に度が過ぎるくらい仕事していたのかと思ってた……冷静に私と言葉交わしてたし……)」 「まさかのタイミングで貴女が尋ねて来たものだから正直驚きました。しかし、何も知らない様子で話されてきたので、バレていないと悟り予定変更で貴女を捕まえる作戦に切り替えたんです」 「私を捕まえる作戦……?」 「その頃の私は詩織さんと風紀委員長が密かにお付き合いなさっている事を掴んでおり、風紀委員長の方にも交流を持って探りを入れている最中でした……」 「風紀委員長の……って……あの玲美さんに?」 「交流する中で私は自分に行われた恥辱を正直に彼女に話しました。すると彼女は“PT研に復讐したいなら手を貸す”と言ってくれました……」 「復讐の手助けを……それで、私は彼女達に捕まった……と?」 「本当は京堂小夜子を捕まえて復讐したいと思ってチャンスを伺っていましたが……彼女には隙がありませんでした……」 「ですよね? 小夜子先輩は自分で動いたりせず基本的に私や綾ちゃんを動かしてリスキーな事させますから……。彼女はいつでも安全なんですよね……分かります……ウンウン……」 『(明日香ちゃんって迂闊に心の声を零す事多いわよねぇ~♥ 正直というか……おバカちゃんというか……。まぁ、そこが可愛い所なんだけど……)』 「だからターゲットを貴女に切り替えて復讐する事にしました……。貴女にバレないように、使っていたPCで密かに奈々さんに連絡を取って生徒会室へ呼び……」 「私は奈々さんに睡眠薬を嗅がされ……捕まって……あの拷問を受けてしまった……と」 「えぇ。私の復讐の溜飲はこれによって少し下がりましたし、あなたが喋ってくれたお陰で生徒会長に弱みがある事も知れて一石二鳥でした……しかし、この一件がPT研にバレたのはすぐでした」 『(私がバラしたからなぁ……。口止めされてたけど……)』 「京堂小夜子は秘密を知ってしまった私の所に真っ先に表われ……また私を……拘束した……」 『(それは初めて聞く話だ……)』 「拘束して……怖い顔で……私を脅した……」 『(思い出しただけで宮腰さんの顔が真っ青になっていってる……余程怖かったんだろうなぁ……)』 「彼女は……私が監査委員と繋がりがあるのを見抜いていました。恐らく……生徒会長の事を調べている時に私の事も調べたのでしょう……。だから私に口止めを行った……。ついでに明日香さんの仕返しだと言ってとことん私の事を……責め抜いた……」 『(私の仕返しはついでかいッ!)』 「私はそこで、私の知る全ての計画を……彼女に吐いてしまった。初香が今回の予算分配会議で生徒会を潰そうとしている事も……その為に情報を集めている事も……鳴臥先生を取り込んで会議を有利に進められるよう手配する予定だった事も……」 「鳴臥先生を取り込んで有利に? それはどういう意味です?」 「予算分配会議は“部”に予算を配るという性質上どうしても顧問を持っていない先生を一人、判定役として出席させるというルールがあります。顧問を持っていると、自分の部に予算を多く回そうと不正をする可能性がありますから……何処にも所属していない公平な立場で判断を下せる先生が必要らしいんです」 「顧問を持っていない鳴臥先生がその役になるから……鳴臥先生を取り込めば自分達に有利になる……と?」 「実際に鳴臥先生を取り込むのは我々の仕事ではないのですが……とにかく鳴臥先生を自分達側に引き込むのは必須条件の一つとして考えていました」 「その鳴臥先生を顧問にしようと……うち(PT研)は動いてしまいましたよね?」 「そう。だから、初香はPT研に余計な事をするなと警告する為、私に今日……異端審問の連中をぶつけるよう声を掛けさせました」 「それで……私と小夜子先輩は捕まったという訳ですか……」 「えぇ……。しかしこの異端審問の一件は初香を騙す為の罠に書き換わりました」 「騙す……罠?」 「私が先に京堂小夜子に知らせたんです。こういう計画が有ると……」 「初香さんを裏切ったという事ですか? 宮腰さんが……?」 「私はあの日……京堂小夜子に……徹底的に責められて……ついつい本音を……零してしまっていたんです……」 「……本音?」 「私が……本意で初香の言いなりになっている訳ではないという事や……彼女の支配から解放されたいと願っている事とか……」 「……それが本音……だったんですか?」 「私は……この学園に初香の母のコネで入学させられました。初香はこの学園でも優位な立場を保てるよう私を駒に使って裏工作を働くつもりでいたんです……」 『(コネで入学させられたという事は……宮腰さんの意思など無視して進学を?)』 「私はそれが嫌だった。彼女に利用されるためだけに入学させられたことも、私だけでなく母の立場も人質に取って支配しようとする彼女の性格も……何もかも……嫌になっていました……」 「………………………………」 「そういう本音を……私は彼女に言ってしまった。苦しさから……つい……」 『(小夜子先輩のくすぐりは人間のそれとは思えないくらい凶悪だからなぁ……。言いたくない事も喋らされてしまう強制力があるから仕方がない。私なんて初恋の相手だとか、地味だった頃の黒歴史エピソードとか、幼少期の恥ずかしいやらかしとかまで搾り取られたんだから……)』 「でも、京堂小夜子はその時……言った。“もしもPT研に味方すると誓うなら、彼女の支配から逃がしてあげてもいい”と……」 「うわぁ……なんかいかにも胡散臭い誘い方しますね……小夜子先輩……」 「それが何処まで本気で言ったのかは伺い知れませんでしたが……結局私に選ぶ権利など……ありませんでした」 「……そっか……責められてる最中にそれ言われたんですね?」 「言う事を聞かないなら笑い死ぬまでくすぐり続ける……などと脅すものだから……」 「結局脅しじゃないですかっ! 人の弱みに付け込んで……この先輩はッ!」 「えぇ~? ちゃんと交渉したつもりだったんだけどなぁ~? 宮腰ちゃんも納得したみたいだったしぃ~♥」 「まぁ……私にとってはここらが潮時だと思っていましたから……どういう体であれ賭けてみる価値はあるかもと思い至りました……」 『(多分……こうなる事を見越して小夜子先輩は宮腰さんを責めに行ったんだろうなぁ~。私への仕返しという美味しい動機が生まれたからそれを利用して)』 「だから、協力しているんです。初香の計画を……破綻させるために……」 生徒会長の一件と風紀委員長の一件の裏でこのような動きがあったなんて思いもよらなかった。小夜子先輩は……どうやらこの宮腰副会長の立場をかなり前の段階から知っていたようだ。いや、そもそも学園監査委員の動向すらも知っていたのかもしれない。監査委員の企みを元々止めるつもりでいたのなら一連の事件だったりPT研の動きは……大きな計画の為に順序立てて動いていたようにも思える。 そう考えると……私の入部自体も作戦の枠の中に入っていたような気さえする。あの強引さ……あの無理矢理さ……アレは、意地でも私をこの部に加入させないと計画が狂ってしまうという意志の強さを今更ながらに感じさせられる。なにせ……部に昇格できなければそもそもこの計画は実現する前に露と消えてしまうのだから……。私が頭数として部に入ったのは計画の内であり……もっと大きなことを成す為の布石だった……と、思わざるを得ない。 一体いつからこういう計画を立てていたのか……そしてこの計画の詳細を何人の部員が知っていたのか……正直見当はつかない。私だけが知らなかっただけかもしれないし……小夜子先輩以外は誰も知らない可能性もある。 「な、成程……これは……思ってた以上におおごとだ……」 ただ一つ確かなのは、私が知ろうと知っていまいと……計画は水面下で進んでいるという事だ。きっとまだ……私も知らない何かが動いていたり動いていなかったりするのだろう。それを私が知るのは……一体いつになる事やら…… 「彼女の計画を邪魔する為には鳴臥先生をPT研の顧問になって貰うのが最優先です。しかし鳴臥先生は……もうすでに“あの先生”の力によって監査委員側に引き込まれつつあります」 「あの先生?」 「そろそろ私も戻らないと初香に怪しまれるので今は詳しくは語りませんが……監査委員会にはバックで繋がっているとある先生が存在します」 「バックで……繋がっている?」 「彼女の目的は我々とは違うようですが……彼女は監査委員に協力的です。初香も彼女には逐一情報の共有を行って協力を仰いでいるようです」 「だ、誰です? それは……」 「彼女も顧問を持っていない先生に分類されます……だから、鳴臥先生がPT研に取られたとしても彼女が会議の場に出て来る事もあり得ます……」 「顧問を持たない?」 「彼女はなぜか表舞台に立ちたがりません。目立つ事を嫌い……ひっそりと身をひそめるように自分の教室に引きこもっています……」 「それは誰なんです?」 「これ以上は……言えません。私も……彼女の力を受けていますから……これ以上喋れないんです……」 「どういう事ですか!? 彼女の力って……? 何かされているんですか? その先生に……」 「いずれ分かると思います。鳴臥先生と対峙するという事は、その力と戦うという事ですから……」 「…………???」 「とにかく……私はこれで失礼します。これ以上は、何も話す事はありませんので……」 「あ、ちょ! ま、まだ聞きたいことが!」 「……申し訳ありません……では……」 「あっ……あぁ……」 深々と頭を下げたかと思うと、副会長は急々と部室の扉を開き部屋を後にした。 その行いをPT研のメンバーは誰も咎めようともせず、ましてやあの生徒会長すらも神妙な面持ちで彼女の離脱を黙って見送った。 その後……部室には嫌な沈黙がしばらく続く。 「……結局、宮腰さんって……信用して……大丈夫な方なのですか?」 しばしの沈黙のあと、私は恐る恐るこの質問を小夜子先輩に向けて飛ばしてみた。 すると先輩はコホンと咳払いをし私に笑顔を向けて言葉を返してくれた。 「信用できるか分からなかったから、今回の魔女狩り屋さんの一件を全部彼女に任せてみたわ♥ 私が指示したのは電源を切るタイミングと魔女狩り屋さんの責め方の指導だけ……それ以外は全部彼女に調整して貰ったの……」 「今の所……問題は……なかったという事ですよね?」 「そうね……一つ想定外な事があった事を除けば……概ね信用できると私は見ているわ」 「想定外? それは……何です?」 「フフフ……なんだと思う?」 「……えっ!?」 小夜子先輩の顔に僅かに邪悪な影が差し込んだ。私はこの質問をした事に嫌な予感を走らせる。 「あの時……私は言ったわよね?」 ジリジリと手を構え迫ってくる小夜子先輩……そして何故か、同じように滲み寄ってくる無言の生徒会長……。 「何があっても……言わないでって……。喋らないでって……」 「あ、え? わ、私ですか? 私……何か悪い事を……??」 徐々に距離を詰めて来る二人に私はパニックになり手足を暴れさせようと試みる。しかし手足はしっかり枷によって拘束され固定されている為動かす事は出来ない。 この時初めて悟った…… 私がこの様に拘束されたのは……話が終わった途にこの罰を下す為だったのだと…… 「私の秘密……アレは何があっても絶対に口外しないで下さいって……しっかりお願いしていた筈ですが……?」 あの美人で優等生な生徒会長が私に向けて意地悪なジト目を見せて近づいてくる。 「ま、ま、待ってください! ひ、秘密は……喋ってません!! あの時は……まだ喋ってなんて……」 「でもぉ~あのタイミングで電源が落ちていなかったら喋るつもりだったでしょ? 確実に……」 「そ、それは! だって、小夜子先輩が死にそうだったから……」 「私は……苦しみながらもこれだけは何度も言っていたはずよ? 絶対に喋るなって……」 「あぅぅ……だ、だって……だって……」 「明日香ちゃんはなんでこう……口が軽いのかなぁ? こんなんじゃ、将来立派なスパイにはなれないゾ~?」 「す、スパイなんかになりたい訳じゃありませんっ! 私は普通に学園生活を送りたいだけの一般人で……」 「秘密を喋りそうになった代償は明日香さんの身体で払って貰います……イイですね?」 「はひっ!? せ、生徒会長ぉ? なんですか……その手は! やだやだ! 近づけないでぇ!」 「私も苦しい思いしたんだから……明日香ちゃんも少しは苦しい思いしなくちゃ……ね?」 「そ、そんな理不尽なぁ! 嫌ですぅ! あれだけ怖い思いしたんですから許して下さいよぉ!!」 「だぁ~め♥ 口の軽い明日香ちゃんには……再教育を受けて貰いまぁ~す♥」 「そ、そんにゃ! やだぁぁ! そんなの理不尽だぁぁ!!」 「生徒会長? 手加減なしで思いっきりやっちゃってくださいね?」 「えぇ。私もこの明日香さんには……あの時散々苦しい思いをさせられた身ですから……。その恨み……ここで晴らさせて貰います」 「そ、そんなの覚えてませんっ! 私……覚えてませんっっ!!」 「問答無用っ! 死ぬほど悶えさせてやるんですからッ! 覚悟なさい!」 「ほ~ら、明日香ちゃ~ん? 私は足の裏をコチョコチョしてあげる♥ いっぱい笑ってね~? コチョコチョコチョコチョコチョ~♪」 「ひゃめっ! んひゃ~~~~~~~~~~~っッっ!!?」 こうして……異端審問研究クラブの一件と、その裏で動いていた大きな計画についてを私は知る事となった。 「ひゃめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、くしゅぐったいぃぃぃぃっっひひひひひひひひひひひ!! 会長やめてぇへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 鳴臥先生を顧問にする……という計画には、監査委員会という裏(?)の組織と対峙する構図が出来上がっていたのだという。 「ほら、体操服の中に手を入れて直にくすぐってあげます! もっと笑ってください? コチョコチョコチョ~♥」 「ギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、会長の手が体操服の中で暴れまわってくすぐってるぅっふふふふふふふふふふ、ニャハハハハハハハハハハハハハハハハ!! くすぐったい! 滅茶苦茶くすぐったいぃぃぃひひひひひひひひひ!!」 そして……生徒会副会長の宮腰さん。彼女は監査委員の会長である久遠寺さんの幼馴染で……彼女によって苦しめられた被害者の一人だったという。 「相変わらず……明日香ちゃんの足の裏はスベスベで触り心地が良いわぁ~♥ いくらでも指が滑っちゃう♥ ほら、コショコショコショ~♪」 「にょはっっ!? うひゃははははははははははははははははははははははははははは、えはははははははははははははははははははははは、小夜子先輩ィぃヒヒヒヒヒヒ、足の裏ぁそんな触り方しないでぇへへへへへへへへへへへへへへ!! 触り方が早すぎて我慢できないぃィひひひひひひひひひひ!! ダハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 宮腰さんはどうやらこちら側に寝返ってくれたようだ。今後も監査委員会の情報をコチラに回してくれる事になるだろう。 PT研はこの後……当初の予定通り鳴臥先生を顧問に迎える為の動きを始める筈だ。 「明日香さんって……意外に持ってるもの持ってますよね? 綾のより……少し大きいんじゃないかしら?」 「ハギャ~ッハハハハハハハハハハハハハハ、かいちょ~っほっほっほっほっほっほっほっほ、そこ胸っへへへへへへへへへへ、そこ胸触ってますぅぅふふふふふふふふ!!」 「う~ん、でも流石に玲美よりは小さいわね……触り心地は悪くないんだけど……」 「変態ぃィひいヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、会長の変態ぃぃひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「あら……知らなかった? 私……妹にも欲情しちゃう変態なのよ? それをあなた……昨日今日会ったような他人に言いそうになりましたよね? アレがどれだけ冷や冷やしたか……分かります?」 「ぎゃ~っははははははははははははははははははははははははは、ごべんだざいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、それは私が悪かったでずぅぅふふふふふふふふふふ、クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 「許さない♥ 私に恥をかかせようとした明日香さんには……玲美以上の苦しみを味わって貰いますから……」 「オハヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、えひひひひひひひひひひひひひいっひひっひひひひひひひひひひひひひひ、やだ! やだぁぁ!! もうヤダぁぁ!!」」 宮腰さんの言ったとおりであれば……どうやら監査委員会に協力をしている“先生”というのがバックに居るのだという。 その先生がどんな人物なのか分かってはいないけど……先生には何かしらの力があるのだと言っていた…… それは何なのか……そして先生とは何者なのか? まだまだ明らかになっていない闇の部分が多いけど……私達はどうやらそれらと戦う羽目になりそうだ。 「足の指の間ぁ~♥ 指の付け根ぇ~♥ 土踏まずぅ~♥ コ~チョ、コチョコチョ~♪ 足の甲も……足の横のラインも……カカトもぉ~コチョコチョコチョ~♪」 「ィギャハハハっ!? あひゃへへへへへへへへへへへへへへへ、やべでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、足全体が痒くなるぅふふふふふふふ!! そんな触り方されたら痒くなっちゃうぅ!!」 「あら……痒い? だったら……土踏まずだけ掻いてあげましょうか?」 「はひぃ!? やめ……それはやめてっっ!!」 「やめませぇ~ん♪ ほ~ら、カリカリカリカリ~~~♥」 「ぃっッっっッっ!!? ぎゃぁ~~~~~~~~~~~っっっあっっははははははははははははははははははははははははははははははははははは、それ掻いてないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! ただくすぐってるだけぇぇへへへへへへへへへへへへ!! だひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 「あらら? そう? じゃあ……これで良い? ガリガリガリぃィ~~」 「ぶっっ!!! ブギャ~~~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、やべで! やべでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ死ぬ! 笑い死ぬぅぅふふふふふふふふふふ!!」 顧問先生の獲得……予算分配会議……監査委員会……そして、謎の力を持つ謎の先生…… そのどれもが情報量が多すぎてまだ頭の中で整理が出来ていないのだけど…… 今はそれを整理するよりも…… 「明日香さんはやっぱり胸よりもワキの方が好きみたいですね? いいですよ? その万歳して伸びきっているワキ……私がくすぐり回してあげますから。ほ~ら……こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♥ もっと笑って? ほらほらぁ!」 「ぎゃは~~っははははははははははははははははは、いっっひゃああぁっはははははははははははははははははははははははははくしゅぐったいぃぃ!! くしゅぐったいぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ♥ ンハハハハハハ……」 「あぁ~可愛い♥ 明日香ちゃんの足の裏ぁ……可愛くて大好きぃ♥ この抵抗できない足の裏を……もっとイジメたくなっちゃう♥ 私の指でぇ~狂わせたくなっちゃうぅ♥ コチョコチョ~♥」 「にひゃ~~~っひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、くぎゃ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、だはははははははははははははははははははははははは……」 先輩方に…… くすぐり殺されないかの方を心配した方が…… 良さそうだ…… 「「こ~ちょ、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♥」」 「ダヒャヒャヒャヒャヒャ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……し、死にゅぅぅ~~~~」
Comments
ありがとうございます。残念ながら初香のくすぐりシーンはシナリオ上難しいと思ってます。キャラに魅力を感じてもらって申し訳無い部分ですが今回はシナリオを優先したいと思います。
ハルカナ
2023-08-08 16:04:04 +0000 UTC久遠寺初香がくすぐられるパートも出てくるんですかね??ハルカナさんの小説楽しみにしてます!
toshi0325monst
2023-08-08 14:04:59 +0000 UTC