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ハルカナ
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PT研(笑う拷問研究クラブ)第4話-⑥『裏工作』

6:裏工作 ――同時刻……。情報精査同胞会……部室…… 「お疲れさん。ちょい、お邪魔するで?」 「あぁ、会長! お待ちしておりました!」 「どうや? お願いしとった魔女狩り屋とPT研の映像……撮れとるか?」 「はい、問題ありません。PT研が捕まっていく場面と、今も現在進行形で行われている“審問”の様子……監視カメラをハッキングして録画してます」   「よしよし……。んで、どうや? 肝心の魔女狩り屋の正体は……撮影できたかのぉ?」 「いえ、それは……まだです」 「なんや? 廊下や教室中の監視カメラ乗っ取っとるのに、そこは撮影できてへんのかい?」 「……いえいえ、全部乗っ取れる訳ではありませんよ! うちのPCではフル稼働してもせいぜい3つくらいまでしか同時にハッキング出来ません。襲撃するタイミングとか分からなかったのですから、出来たことはPT研を追って事件が起きるまで見張る事くらいしか……」 「ふむぅ……それは残念やなぁ……。まぁ、審問が終わった後奴らを狙って追いかければ正体も分かるんやろ?」 「えぇ。正体不明の者を探すのは難しいですが、一度現れた者を追いかけるのは簡単です。必ず特定して見せますよ!」 「期待しとるで♥ 奴らの正体さえ映像に納めておけば……それを脅しのネタとして一生揺すって行けるんやからな♪」 「この違法な審問の様子と、彼女らの正体が収められた映像があれば言い逃れも出来ませんからね……」 「PT研には申し訳ないけど、生徒会の弱みを聞き出すのはオマケもオマケなんや。聞けても聞けなくてもどうでもいい……。でも魔女狩り屋の弱みを握るのは必須事項! こいつらさえ味方につけておけば学園内でうちらに逆らえる奴らはおらんくなるからなぁ」 「そうなれば、いよいよ監査委員会が学園のトップになる事請け合いですね♪」 「まぁ、それを盤石にする為にも……PT研には是非生徒会の弱みを吐いて貰いたいところやけど……」 「予算会議は毎年生徒会側に予算を7割も取られますもんね?」 「それはしゃーない事や。奴らが管理しているのは学園側に認知された正式な“部”の方……対してうちらは認可の降りていない“クラブ”やら“同好会”止まりの活動を仕切るのがメインやからな……自ずと学園の偉いさん達は生徒会側に予算を回す事になる……」 「それでも、無認可のクラブ活動に3割も勝ち取っていらっしゃるのは会長の手腕の賜物だと思いますがね?」 「フフ……今年はその3割を完全に逆転してやるつもりや……♥ 生徒会との立場も今回から逆転よ!」 「そうなれば……今までアングラとして活動していた我々も大手を振って活動できるようになりますね♪ 予算がおりれば設備投資も人材確保も思いのまま……」 「全部上手く行けば、ココ(情報精査同胞会)に優先的に部予算の分配したるから期待して待っておくんやで♪」 「ありがとうございます。そうなればPCやらモニターやらを買い足して、もっとお役に立てるよう設備を整えますので……」 「フフフ……頼りにしとるぞ♥」 「お任せを……」 「さて、それはともかく……これが審問の様子とやらかのぉ?」 「えぇ。2番モニターに映っているのがそうです」 「画角が遠いのぉ……少しアップに出来へんか?」 「はい、今すぐに!」 ――キュッ! カッ、カッ、カッ…… 「おぉ、おぉ♪ ヤられとるヤられとる♥ ええやないの♪ あの京堂小夜子が、こんな無様な格好にひん剥かれて……苦しんどる♥ これは見応え満点やで♪」 「奴等……ホントにやる事がえげつないですね……。もうかれこれ40分以上もコレを強いてるんですよ?」 「ハハハ……あの京堂小夜子が余裕のないツラ晒しとるやないの♪ えぇなぁ……これだけでも、ドエロく感じてまうわ♥」 「審問に利用している場所は“介護実習室”で、使っているのは実習用の床くり抜き設置型のバスタブのようですね……」 「ほぉ……? 成程、ヒトがあんまり立ち寄らん教室を審問に利用しとるんか……介護用のバスタブ使ぉて拷問やなんて……シャレが聞いとるのぉ?」 「えぇ……。毎度ココでやっていたのかは分かりかねますが……かなり手慣れた手つきでスムーズに審問の流れへと運んでいました……」 「下手したら毎回ここの教室でヤっとるかもしれんなぁ? しかし、こ奴等……案外間抜けよな? 自分達の審問が監視カメラに収められるって考えんかったんかいな?」 「全くです……。学園内にはカメラの無い場所は無いと言える程セキュリティがガッチリしているのに……よりによって、こんな場所でヤるなんて……」 「よっぽどの阿呆か……ノーテンキがリーダーなんやろうな? PT研とは大違いや……」 「まぁ、カメラが隠されていること自体を知らない生徒も多いですから……」 「あぁ、それもそうやな。うちも、お前さん達と絡むまでそういう風になっとるなんて考えもしとらんかったからな……」 「うちの学園は財閥のお嬢様的とか政治家の娘さんとかが数多く在校していますから……学園側も責任を問われる訳にはいかないんでしょうね……。下手をしたら学園長だけでなく全職員の首が吹き飛ぶ可能性もありますから……」 「何か起きたら“学校側は関係ないですよ”って証拠を示す為にこのカメラは常時稼働中……っちゅー事やな?」 「セキュリティとは名ばかりの自己防衛の手段ですよ……学園の……」 「それを逆手にとって情報を集められるんやから、お前さん達は素晴らしいクラブやで♪」 「ハハ……お褒めに預かり光栄です」 「これからも学園の裏を突いてうちらに協力してくれや♪」 「勿論です……。会長……」 「おっ! 見てみぃ! 魔女狩りの助手みたいな女たちが動き出したで! これは……もっとイジメるつもりなんやな♪ エエぞ! もっとやれ~♪」 「会長も……お好きですねぇ?」 「これが見たくてわざわざ京堂小夜子をターゲットにするようお願いしたんや♪ いつも余裕のありそうな生意気女が恐怖と苦痛に歪む顔を見るのは堪らんからの♪」 「そうですか? 私は……どちらかと言えば怖いというかなんというか……」 「なんでや? こないに安全な場所で他人の苦悶を安心して見れるんやで? それ以上の愉悦があるかいな?」 「そういう風に変換できるのは会長だけですよ……。もしもこの立場が私だったらと思うと……怖くて震えます」 「ハハハ……心配性やなぁ~。この映像をハッキングして録画しているのがお前さんやから、急に怖くなってきたんやろ?」 「そりゃそうですよ! こんな事がバレたら……私は……」 「安心せいと言うてるやろ? お前さんの力があれば学園長だろうと魔女狩り屋だろうと弱み握る事が出来る! それさえ掴めばうちらに逆らう事は誰も出来へんくなる! うちらは安泰や♪ 卒業までとは言わず卒業後も脅し続ける事も出来るんやからな……」 「……全く。それを聞くと会長の方がよっぽど恐ろしいですよ……」 「せやろ? うちは怖いでぇ~? うちに逆らうものは全部敵や! 敵には容赦せん……徹底的に潰す! 完膚なきまでに……な?」 「……………………」 「でも、仲間にはそれ以上に甘々やで? うちの用意した特性の“甘い汁”をたっぷり吸わせてやるさかい……せいぜいうちの事をヨイショする事忘れんなや?」 「(仲間に甘いっていうのと……甘い汁はまた別なのでは?)」 「まぁそういう事やから……審問が終わった後の魔女狩り屋の追跡……及びその正体の撮影……これは抜かりなく頼むで?」 「はい……勿論です」 「これが上手く行けば……うちらはこの学園の支配者になれるで♥ 金も権力も思いのままや♪」 「……ゴクリ」 「一緒に甘い汁を吸い合おうやないの♥ 奴等から搾り取る事になる……甘い、甘ぁ~い汁を……な♪」 「(うぅ、なんか……表現がいやらしくないか? 吸い合うとか普通に嫌なのだが……)」 「フフフ……ハハハハハ! はぁ~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「ハハハ……アハハハ……ハハ……」 ―――――― ―――― ―― ……同時刻 学園内 『介護実習室』……。 「はぐぅぅっっ!? ふくっっっっぅぅぅぅ!! うぅ……」  それが始まると小夜子先輩の苦悶に満ちていた顔は、今まで与えられていた苦痛が柔らいだかのように口端の口角を上げ始め笑みの形を取り始める。 「ひっっっ! ヒヒッ! ぃひ……ひひ……や、め……て……」  しかしいくら口角が上がって笑顔を見せ始めているからと言って、決して小夜子先輩の苦痛が和らいだという訳ではない。むしろその逆で……苦痛は増していると言わざるを得ない。 「っっは! ぁはは……へははははは……あぐぅぅあっっ!! んくくくく……」  先輩の足元に膝を抱えるように座り込んだ女生徒はポケットから取り出した二本の鳥の羽根を左右の手にそれぞれに摘まんで持たせ、その羽根の先端を素足の状態で無防備に晒されている先輩の足裏の土踏まずの部分に這わせてコチョコチョと小さく上下に動かしてくすぐり始めている。  そのくすぐりがいかに耐え難いこそばゆさを先輩に与えているかは彼女の表情を見ればすぐに伝わってくる。 「や……め……っは!! ぷくくくく……ぅぐぅぅぅぅぅぅふっっ!! むぐぅぅぅ……っヒヒ!?」  口の端をヒクヒクと痙攣させ、勝手に込み上げて来るあの感情を必死に耐えている小夜子先輩……その顔は、普段の朗らかで余裕ある表情からはかけ離れた懸命そのものの表情。ひとたびお腹に入れた力が抜けてしまえばたちまちに上半身は水の中に沈んでしまう……だから笑いたくても笑ってはいけない! 笑えば力が抜けてしまうのだから……と、私に訴えかけるかのように首を横に振り、刺激を拒否しながら先輩は必死に笑う事を耐えている。私はそんな先輩に声をかけて励ます事も、くすぐっている女生徒を止めさせる声を上げる事もさせて貰えていない。私に出来る事は、口枷を通して「むぅ~むぅ~!」と気の抜けた情けない声を上げることくらい…… 「コチョ……コチョ……コチョ……。こちょ……こちょ……。いかがです? 自分が実際にこういうシチュエーションに置かれてくすぐられている感想は? こういう状況だと余計にこしょばゆく感じるのではありませんか? コショ、コショ……♥」  のんびりとした口調でその様に先輩に問いかける女生徒。先輩はその問い掛けに対して眉間にしわを寄せながら睨みつつ荒い言葉を返した。 「こ、こ、この程度! 大した事ないわ!! 理子ちゃんのあの容赦しないくすぐりに比べたら……こんな刺激……くっっ!!」 「そうですか……それは残念。でも……その割には、随分と苦しそうな顔をなさっているようですが?」 「大した事ないって言ったら……大した事ないッ!! こんな素人のくすぐりに笑うなんて事ある筈が……」 「素人? くすぐりに素人や玄人などという区分けがあるのですか? それは初耳ですね……」 「理子ちゃんのくすぐり……味わってみなさい! こんなものじゃ……ぅく!? ないんだからっ!」 「それは勘弁願いたいですね……。私……今やってるような事を自分にされたら……狂ったように笑っちゃう自身ありますから……。コチョコチョコチョ……」 「はっっっひぃぃぃっ!? ちょっ! ちょっっほ!! 羽根の動き……早く……っふ! なってるっっぅふふ!!」 「……こんな……ムズ痒くなりそうな刺激……子供の時から好きじゃないんです。見てるだけで……くすぐったくなりますから……。コチョ……コチョ……」 「あっっ!? はっっ! 今度はゆっくりっっひひひ!! 急に動きがゆっくりにぃィ!! 土踏まずの触り方ッっ……やらしいぃっひひひ!!」 「玄人のテクニックだとか技だとかは分かりませんが……“自分がされて嫌な刺激のされ方”はすぐに想像出来たりします。私だったら……こんな風に触られたらやだなぁ~という触り方を、貴女に与える事は出来ます。こんな風に……コチョコチョコチョ」 「きゃひゃっ!? また早くッっふふふふふ!! なってぇっっ……ぅっくぅぅ!! ダメ……っ! く、く、くすぐったい!! 足の裏がぁ……どうしても……くすぐったいぃ!!」 「部員の前ではいつも影のボスの様な振る舞いをしているですが……いざ自分がやられたら余裕が無くなっちゃうものなのですね?」 「影の……ボスなんて……思って……ないっ! くぅ……うぅぅぅ!! くっくっく……私だってただの……一般生徒と……同じ……っひひ!?」 「貴女がそう思っていても……他の部員たちはそう思っているでしょうか? 特に下級生の立場に居る部員たちは、コレを見てどう思うでしょうか? ねぇ? 明日香さん?」  その様に言葉を紡ぎ突然私の顔を振り向いて答えを求めて来る大人しい印象の女生徒。しかしこの言葉にも私は「むぅむぅ!」という気の抜けたこもり声しか返せない。 「あぁ……そうだった。口枷が有ると喋れないんだったな……」  その様子を見かねたリーダー格の女性が椅子に縛られた私の方へと歩み出て…… 「ほら、コレで喋れるだろう?」  と言って私の口に咥えさせていたボールギャグのベルトを緩めて口から外してくれた。 「ぷっっは!! ハァハァハァハァ……」  涎が口内に溜まり呼吸が制限され息苦しさを覚えていた私だったけど、この口枷が外されたことで一気にその息苦しさから解放され、私は我も忘れんとする勢いで荒い呼吸を繰り返した。溜まっていた涎が口の端から垂れてしまっていてもお構いなしに……とにかく肺に酸素を行き渡らせようと口を大きく開いて呼吸に集中した。 「さぁて、明日香殿には改めて聞かせて貰おう……。どうだね? いつも偉そうにしている先輩が目の前で無様な姿を晒している様子を見るのは? スカッと晴れ晴れするような良い気分になるだろう?」  呼吸を荒げる私にその様なデリカシーの欠片もない質問を加えて来るリーダー格の女性に、私は怒りを言葉に乗せるかのように声を荒げこの様に言葉を返えした。 「小夜子先輩を……解放してくださいっ!! さもないと……本当に、大変な事に……なりますよ?」  求めていた返答とは違う回答が返され、肩をすくめて「ふぅ」と溜息をつくリーダー格の女性……私はそんな彼女に“本気だぞ!”と脅しをかけるような睨みを送り付けている。 「大変な事になる……とは、どういう事になるのだろうな?」  溜息を吐き終えた後私の顎を摘まんで自分の顔に無理やり視線を合わせるよう強いてきた彼女は、睨んでいる私に向けて小馬鹿にするような笑いを最後に零して見せた。  その態度に更にムカついた私は…… 「同じ目に合わせてあげます! 隠れても逃げても無駄です! 必ず見つけ出して全員捕まえて、あんな風に逃げられないように拘束して、死ぬほど苦しい目に合わせたやるんですからっ!! 覚悟していてください!」  と、調子に乗ってその様な脅し文句を口から吐いてしまった。 「おぉ……怖い怖い。そんな事宣言されたら……増々君たちを無事に返す訳にはいかなくなるな……」 「……はっ? へっ? え??」 「素直に怖がってくれていたのであれば……必要な事を聞き出したら丁重に解放してやろうと思っていたのに、そこまで復讐心をギラつかされちゃ放ってはおけなくなるんだよな……」  解放して貰う事も身の安全を保障して貰ってもいないのに、このような脅しを返せば火に油を注ぐだけだと……あれほど部活で身をもって学んでいた筈なのに……。私はついつい終わりの見えない不安と沸騰した怒りが制御できずにその様な言葉を口走ってしまった。  拘束されている間は何を言っても脅しにならないと理解していたはずなのに……。 「復讐すると今でも心の底で思っているという事なら、その信念がポッキリ折れてしまうまで責め抜くしか方法はあるまい? で、ないと……君たちは何をしてくるか分かったものじゃないからね……」 「や、ちょ、待って……。これは言葉のあやというか……ホントは本気でそう思っては……」 「あぁ、でも安心したまえ? 君には危害を加えるつもりはないのだから……」 「あ、え? は……い……??」 「危害を加えるのは彼女にだけさ……そういう決まりになっているからね……」 「ちょ、待って……下さい……。私の一言で……小夜子先輩が……?」 「君は……上手だね……」 「……は、はい?」 「日頃の鬱憤が余程溜まっていたのだろう?」 「……な、何の事……ですか?」 「だって……我々を利用して、先輩の事を徹底的にいたぶらせようとしているじゃないか……」 「そ、そんな! 違います! そんなつもりで言った訳じゃ……」 「ちょっと早いとも思ったが……まぁ、君が望むのなら仕方がない。お望み通り……彼女に死ぬほど辛い思いをして貰おうじゃないか……」 「ま、ま、待ってください!! 違います! そんな事望んでなんかいません!」 「もしかしたら……事故で死んでしまう事になるかもしれんが……仕方がないよな? 君が望んだことだから……」 「事故で……死……!? だ、だめ! 何言ってるんですかっ!! そんな事していいわけがッっ!!」 「よし、それじゃあ私もあっちに参加するとしよう……。ここからが審問の本番だ!」 「待って! 行かないでっ!! そっちに行かないでっっ!!」  私の悲痛な叫びでは彼女の抑止力にはなり得ない。リーダー格の女性は私の声など無視して小夜子先輩の方へと歩み寄って、傍で待機していた小柄な女生徒の肩をポンと叩き合図を送りながらしゃがみ込む。 「キャハ♥ 待ってました♪」  その合図を受け取った小柄な女生徒は、嬉しそうな声を出しながら構えていた手を小夜子先輩のお腹に向けて移動させていく。  そしてリーダー格の女性は、首の後ろで手を組んでいる為に無防備になっていた先輩のワキに手を忍ばせ全員に向かって目で合図を送った。  そして私の制止など聞こえていないかのように無慈悲に…… 「よし、ヤってやれ!」  と、部下にも自分にも指示を下すのだった。


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