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《前編》桑山千雪「好きって言ってもらえるように、プロデューサーさんのアナル開発がんばっちゃいます♪」

「すごいです、プロデューサーさん。お金玉さんがこんなにずっしり♡ 指の上からこぼれ落ちちゃいそう……♡」  四つん這いの無防備な玉袋をもみほぐされ、ぞくぞくと鳥肌が走る。人体の急所を脅かされた危機感によって、ではない。生殖器の一部に含まれていながら、感覚細胞の密度が陰茎と一線を画す金玉は、精液の貯蔵袋であるところの役割がその存在意義の殆どを占めている。体外にまろび出ている内臓の一器官と考えれば、他人に触られるのはもはやリスクでしかないはずだ。  それなのに、指の上で踊らされている睾丸は甘い疼き、つまりは快感を訴えている。 「おもたくって、あつくって……すん、すん……♡ においもすごいですよ♡」  糖度の高い果実の表皮に蜜の玉汗が浮かぶように、睾丸の中に蓄えきれなくなった精液が汗となって滲み出してきているのではないか。そう思わせるほどのむせ返るような雄臭さが鼻をつく。当人である俺でさえ顔をしかめたくなるほどなのだ。こんなものたとえ親しい間柄の恋人や配偶者のものであっても触りたいとは思えないだろうに、そんな場所を嫌なそぶりひとつせず揉みしだき、労をねぎらってくれている女性がいる。 「こんなになるまで蓄えてくださったんですよね、私のために。うれしいです」  ――俺の担当アイドルである、桑山千雪その人だ。  千雪の真っ直ぐな喜びの言葉で俺を内側から焼き続けていたもどかしさが、じゅわりと音を立てて氷解してゆく。禁欲の日々の中で必死に押し殺してきたもどかしさが一気に思い出されて、たまらず涙腺が緩みそうになった。重たい金玉の中にはこの二週間に患った息苦しさはもちろん、人知れず澱となって水底へと沈んでいった今までの全ての恋慕の情までもがたんまりと溶けこんでいる。  プロデューサーがアイドルに対して向けてはいけない気持ち。仮に抱いてしまったならば、人知れず廃棄されるべき危険物のそれ。理性と良識によってあるべき場所を追われた恋心は俺の身体の中を下へ下へと濾されていき、やがて女を孕ませる予定のない精液もろともに睾丸の中へと濃縮されていった。  意識して以来、事務所でのたわいもないやり取りにだってドギマギする。彼女の微笑みを直視できなくなって、夜遅くに彼女を車で送り届けている最中などは気が気ではない。そうやってすっかり千雪への気持ちを取り繕えなくなりつつも、俺は決して独りよがりな願いを叶えようとはしなかった。  俺の言葉を信じてアイドルの世界に足を踏み入れてくれた女の子を、俺の身勝手な恋愛感情なんかで躓かせるわけにはいかない。千雪のためなら我欲だって押し殺せる、それがプロデューサーとしての覚悟なんだと信じていた――千雪に真正面から問い詰められ、模範解答の裏に潜んでいた自分の本当の気持ちと向き合うことになるまでは。 『たとえば、私がプロデューサーさんのお願いならなんでも頷く確信があるとしたら……ずっと私に秘密にしてたこと、打ち明けてくれていましたか?』  まるで雷に打たれたみたいな衝撃だった。俺が千雪に想いの丈を伝えずにいた本当の理由。その正体は俺みたいなやつが千雪に見合う男になれるはずがないという、根深い劣等感から生じた諦めだったのだ。なんて、なんて浅ましい本性なのだろう。胃のあたりが急激にムカムカして、喉の奥が窄まってゆく。反吐が出そうな感覚に犯されながら今度こそ確信する。こんな想いは本当に捨て去ってしまわなければならない、と。その瞬間、考えを見透かされているとしか思えないタイミングで、千雪が俺の手を包んだ。 『いらなくなんかないです』 『私も諦めなかったからここにいるんです』 『周りのたくさんの方々と……プロデューサーさんのおかげで』  大切なものを諦めてほしくないという、万感の思いの籠もった励まし。千雪は俺が何を打ち明けようとしていたのか、何を捨てようとしているのか、ついぞ言及はしなかった。けれどその時の確信めいた話しぶりからおおよそ察することはできた。彼女は気づいたうえで、ずっと赦してくれていたのだと思う。自分の感情と立場との間で板挟みになって苦しんでいる、俺の身の程知らずの片想いを。そして今あまつさえアイドル桑山千雪にとっては毒にしかならないはずのそれを、“大切なものだから”と諭してこの手に再び握り直させてくれた。誰にも必要とされないはずの俺の片想いに唯一の存在価値を与えてくれた。  だから千雪が望んでくれる限り、もう隠し立てはしないで一途な想いを捧げ続けることを誓ったのだ。そのための禁欲なんか、いくらでもする。 「この臭いのつよさに、プロデューサーさんの想いを感じます♡ ありがとうございます、捨てないでいてくれて♡ それから、お精子さんたちも、一途に待っててくれてありがとうね♡」   金玉への優しい声掛けが、俺の恋心を肯定してくれているように感じられる。捨て去るべきだと思われていた片想い精液を、他でもない本人から慈しまれることの、なんという甘やかさか。花がほころぶように嬉々とする好きな女性の声を耳にするだけで、脳がひたひたに浸かるほどの多幸感が分泌されてゆく。禁欲期間中、きつくきつく己を律した揺り戻しが今きた。自戒の枷がガタガタに緩んで、つい衝動的に身勝手なご褒美を求めたくなる。   「ち、千雪ぃっ……ぁ、あたまもなでてっ……♡ ほめてっ、ほめて、くれっ……♡」 「ふふっ♡ 素直になれてえらいですね。はい、いいこいいこ〜♡」 「う、ぁ、ぁ……♡」  仕事でふたりきりでいる時も、他のアイドルと接している時も、仕事から離れて自宅のベッドに潜り込んだ時だって。この二週間、射精したいと思い立つ瞬間はいくらでもあった。そのたびに千雪が俺なんかの気持ちを受け入れてくれたことを想って、恋心で無理やり性欲を押し潰してきた。始めは本当に千雪への想いの強さを証明するためのものだったはずなのに、いつの間にかたっぷり煮詰まった気持ちを“搾り尽くしてもらいたい”と思ってしまうようになった自分はなんて浅ましいのだろう。 「プロデューサーさんが私のためにつくってくださった、純度100%精液……♡ 今日もいただいちゃっていいですか?」  考えるまでもなく、首を何度も縦にふる。想いを寄せる女性から精液をねだられて、一体どうしてその申し出を断れようか。女に必要とされて初めて、睾丸の中身には価値が生まれる。であれば好きな女を思って精を放つことこそ、男の本懐。男に生を受けてよかったと感じる瞬間だ。たとえその格好がいかに男らしさを欠いたものであるとしても、赦してもらえるのなら一滴残らず千雪に捧げたい。 「ありがとうございます♡ では、大切にもらっちゃいますね♡」  がさごそ、と荷を漁る気配がする。四つん這いになっているから見えないけれど、俺の身体は知っている。睾丸の中身を空っぽにする準備の音だ。約束の日にしか持ってこない、ダイヤル錠付きのポーチを開ける音。ごとり、と何かを取り出して机に置く音。ピリピリと薄い包装を破く音。着々と行為の時が近づくのを知らせる環境音を耳にしているうちに、情景反射で自然と心臓が早鐘を打つようになる。  そうして俺が緊張で身体を強張らせている一方、千雪はとても上機嫌だ。最近お気に入りらしい、レギュラーを受け持っている子供番組の新しい体操ソング、その鼻歌を口ずさんでいる。単調で覚えやすくも遊び心のあるメロディに、毎週園児たちと一緒になって振り付けを踊る大人気な“ちゆきおねえさん”の姿を脳裏にフラッシュバックする。そういったふわふわのタオルケットのような包容力がありながら、嬉々として男の射精の世話を焼く妖艶さも持ち合わせている強烈なギャップが、頭の中の深い場所をびりびりと痺れさせる。 (う、ぁっ……♡ すきだっ、すきだっ♡ ちゆきぃっ……♡) 「〜♪ ……くすっ♡ おまたせしました。じゃぁ、改めて……触りますよ?」  俺の身体のどこもかしこも、千雪に触られてイヤな場所なんてない。だから確認なんていらないと何度か断っているものの、それでも膝の上で四つん這いになっている俺を驚かせない声がけをする細やかな気遣いが本当に好きだ。右手の補佐を終えた左手が再び俺の頭の上にかえってきて、これを撫でつけてくれることなんか、涙が出そうになるぐらい嬉しい。  そうしてまた高ぶった千雪への好意が、長い五指が竿を包みこむように絡みついた途端に、口から甘い悲鳴となって漏れ出た。 「う、ぁっ……♡」 「わぁ…♡ もうすっかりとろっとろ…♡ いっぱい待たせちゃってごめんね? さみしかったよね?」 「っ、うんっ……うんっ……♡」  握られたチンポは癇癪を起こして咽び泣いていた。自分こそ二週間ものあいだ、ただ一心に千雪のことを思って、健気に恭しく一途を貫いてきたのに。そんな我が身を差し置いて、さっきまで金玉が真っ先に愛でられていたことが納得行かなかったのだ。これがたとえば歴戦の女泣かせの剛直であったならば、『真っ先に亭主を慮らぬなど何事か』と我慢汁を垂らすまで捨て置かれた女の無礼に激憤を燃やしたことだろう。だが俺のそれは焦らされることに慣れすぎたせいで金玉が揉みしだかれているあいだも文句一つ言えず、かまってもらえる時を今か今かと待ち続けていた意気地なし。そんな猛々しさの欠片もないチンポを、千雪はあやすように褒めそやしてくれる。 「いっぱい我慢できて、えらいえらい……♡ さみしんぼなのに、えらいえらい〜……♡ あまえんぼなのに、かっこいい〜……♡」  にゅっこ、にゅこ、にゅこぉ……♡  どぷっ♡ どぷぅ♡ とろとろとろぉ……♡  包皮を剥くために上下する千雪の指に合わせて、先端から水飴のような粘液がとろぉり。尿道を内側から蠕動させながら、童貞の執着の強さが粘度に表れた“セックス切望液”が這い出てくる。いくら片想いを赦されただけで幸せだと頭では分かっていても、オスの本能はどうあがいても好きな女との繁殖交尾を切望してしまう。千雪の手で軽くシコられるだけで、汚らしい本音が目に見える形でどろどろと搾り出されてゆく。何が“禁欲で好意を示す”だ。いくら自戒しようとも、どうしても千雪とセックスしたい気持ちは無くなってくれない。 「見ないでくれっ……♡ みないで、くれぇっ……♡」 「あっ♡ すごい、いっぱいおつゆが……♡」 「あ、ぁ、ぁぁっ……♡」 「ふふ、垂れちゃう垂れちゃう〜〜♡」  ぴゅぅ……♡ ぴゅるっ……♡  びゅぷぅぅ…♡ ぽたぽたっ……♡ 「う、ぁっ、ごめ、ごめんっ、ちゆきぃっ……♡」  蛇口が閉まらなくなったドリンクサーバーのごとく、俺のチンポは千雪の手にありったけの我慢汁を分泌した。当然ながら竿を握る指の重なりが受け皿になれるはずもなく、特濃の我慢汁はよりにもよって千雪のスカートへと撒き散らされる。そこで、はたと思い出した。今千雪が履いているスカートは昔着ていた思い出の浴衣をリメイクしたらしい千雪のお手製、言うまでもなく一点物だ。その大切なお気に入りを身の程知らずのどろどろカウパーなんかでびちゃびちゃと汚してしまったことに。  顔面からサァっと血の気が引いてゆく。射精どころではない。償いの言葉を、それよりも一刻も早く汚れを抜かないと。焦って立ち上がろうと両足に力を込めた無防備な俺のチンポを、人差し指がちょんっ♡とつつく。 「っ!?」  手足から、がくっと力が抜ける。 「こぉら♡ だめだぞ〜〜……♡ めっ♡」 「う、ぁっ……♡ なんっ、でっ」 「めっ♡ めっ♡ めっ♡ ……んふふっ♡」  『めっ♡』のリズムに合わせてチンポをちょん♡ちょんっ♡と連続で小突かれ、下半身の筋肉がたまらず弛緩する。かろうじて膝がソファについているおかげで姿勢を保てているだけの弱点に向かって、なぜか“おちんちんお叱りごっこ”は止まらない。突けば突くほど振り子のように揺れるチンポが尿道の奥に残った我慢汁を撒き散らしてスカートを汚れさせてしまうのに、おやつのつまみ食いをした子どもを窘めるみたく、千雪はチンポを叱るふりをしてみせる。 「くすっ♡ いいですよ、全部出しきっちゃってください♡ このスカートには思い出がいっぱい詰まってるんです」 「うっ♡ あっ♡ だったらっ、なんでぇっ……♡ く、ぁっ♡」 「染み抜きに失敗しちゃった浴衣を諦めきれなくって、それでこうやってスカートに手直したお話、しましたよね?」 「ぅ、ぁ♡ ぁっ♡ つんつん、やめっ♡」  千雪はチンポにつんつん♡と構いながら、なおも話し続ける。 「私、これで結構諦めが悪いんです。楽しい記憶がたくさん詰まった浴衣の最後が、切ない思い出で締めくくられているのをずっと後悔してました。だからプロデューサーさんに褒めていただいた時、嬉しい反面、すごく寂しくなっちゃって。その時に思ったんです、この気持ちが永遠に残り続けてしまうなら、せめてふたりの“切ない”を混ぜ合わせられないかなぁって。お互いがお互いの切ない思い出の中で慰め合ってる暈し染め……♡ ふふっ、とっても素敵……♡」 「っ、ぁっ、ぁ、ぁ……♡」  根本的な部分を履き違えていた。俺は当たり前のように行動の主体が自分にあると思い込んでいたけれど、この場の主導権を握っているのがどちらかなんて論ずるまでもない。つまるところ、俺がスカートを汚してしまったのではなく、千雪が彼女自身の意志で以て俺のチンポから“染料”を“採取”して“使っている”のだ。長く辛い禁欲生活を強いてたっぷりと執着心を熟成させた俺のガチ恋粘液で、心残りが拭いきれないお洋服を染め直す。普通なら男が身勝手に好きな女の衣服を生殖液で汚す、征服欲を満たすためのマーキングに思えてしまう先の一連の行為の裏には、俺が千雪に向けていた執着よりもなお陰影の深い、千雪から俺への執着が潜んでいた。 「っ♡ ぁっ♡ ぅ、ぁっっ♡」 「はい、たくさんの“禁欲染料”ありがとうございました♡」 「ぅ、ぁ、ぁ……♡」 「言ったでしょ? 大切にいただきますね、って。カウパーさんももちろん、一滴残らず、ですよ」  やがて突かれても突かれても涎を垂らさなくなったチンポの裏筋を、つつ〜♡っと根本から先端まで指先がなぞる。これがコンドームをつけますね♡の合図。ただし俺と千雪の間柄で、コンドームが正しく避妊具としての役割を果たした試しはない。用途に沿う形にふさわしく名前を改めるとしたら、きっと“採取袋”なのだろう。  ぴちっ、ぱつんっ。“採取袋”の装着を終えたあとにも、ゴムが空気を追い出しながら肌に張り付く音が鳴る。そして何らかの容器のキャップを開けて、とぷとぷと粘度の高い液体がたっぷり千雪の手のひらへと溢れ出したのもわかった。鳥肌が立つ。身体がこれからどんな目に合うのか、覚えてしまっているからだ。  医療用のゴム手袋と、乾きづらくべたつくにくいアナル用ローション。男を“穴”に仕立て上げるための、必殺コンビ。  つつ〜〜……っ♡ 「う、ぁ、ぁっ……♡」 「ふふっ♡ 怖くない、怖くない……♡」  ウォッシュレットで洗浄済みの尻穴に、ゴム手袋を装着した千雪の指が這う。くすぐったい、だけではないゾクゾク感が脊髄を伝って後頭部をぞわぞわと脅かす。身体が反射的に逃げようとする。恥をかきたくないと、好きな女に格好悪い姿を晒したくない、と。なけなしのプライドが、躾けられる犬の格好をやめたいと吠える。  だが絶対的な確信を得たまさに今ならそれがいかに見当違いで、愚かな反応であるか理解できてしまう。二週間の禁欲をやり遂げた俺が、千雪に射精を手伝ってもらうのではない。千雪が、二週間禁欲させた俺を射精させるのだ。てっきりこの秘密の関係は、分不相応な俺の願いを千雪が汲んでくれて叶ったものだとばかり思い込んでいたけれど――その実、千雪はこの関係を持ちかけてきた時から、ずっと自らの意志で俺をオトすつもりだったのかもしれない。 『プロデューサーさん、初めてのえっちは……どんな形がいいですか?』 『私も、初めてはプロデューサーさんとがいいなぁ……♡って……ダメ、ですか?』 『片想いだけじゃ……さみしい、じゃないですか……♡』 『それとも……私とは、お嫌です?』 『きゃぁ♡ ふふっ♡ 嬉しい〜♡ じゃあ、しっかり“初めてセックスのプランニング”立てちゃいましょう♡』 『あ、これなんかどうです? エネマグラを装着しながらのセックス……♡ 男の子は、全然動けなくなっちゃうんですって♡』 『だから女の子が腰に足を回して、“ぱんぱんさせてあげる”、完全女の子上位セックス……♡』 『女性が男性よりも痛みに強いのは、よく知られてますけど……気持ちよさへの耐性も女の子のほうが強いそうです』 『とろとろになるまで可愛がられたお尻の穴で、女の子と同じ体験をしちゃったら、ふふっ♡ どうなっちゃうんでしょうね……♡』 『もどかしすぎて、きもちよすぎて、涙が出ちゃうような……あまあまとろとろの朝までスローセックス……♡ 楽しみですね♡』 『ええっと、そのためにはたくさん準備する必要がありまして……♡』 『体を開発する以外にも……その……すぅ…っごく両思いになるのが、コツなんですって……♡』 『ふふっ♡ はい、私が言い出したことなんですから♡ まかせてください♡ どっちもがんばりますね♡』  あの時の『がんばりますね♡』は、俺が千雪に向ける大きな矢印に釣り合うように努力してくれる、という意味じゃない。その逆だ。千雪が俺に抱いている大きな矢印と釣り合いが取れるよう、数々の手練手管を尽くして俺の恋心を肥大化させるという意味だったのだ。  尻穴の可愛がりと拗らせガチ恋の悪化。俺の身体と心の開発のために、千雪は尽力を惜しまなかった。 「んっ……♡ ぁっ♡」 「ふふっ♡ お客様、お加減はいかがですか〜♡」 「っ、ぁ、き、もちいい、ですっ……♡」 「え〜、結構お身体開発されちゃってるんですね〜♡」 「っ、は、はいっ……♡」 「パートナーさんと仲良しなんですね〜♡」 「っ……♡ ぅっ♡ は、いっ……♡」 「ふふふっ♡」  事実として今、尻穴にローションを塗布されているだけで、熱のこもった吐息が自然と漏れ出てくる。以前までは尻穴を弄られてあからさまに喘ぐことに抵抗を感じ、心の中で繰り返し『千雪とのセックスっ……♡ 千雪とのセックスっ……♡』と唱えて懸命にオスの自我を保ちながら反応を噛み殺していたはずなのに。いつの間にやら、セックスのための我慢ではなく、こうして尻穴を弄くられることそのものにも魅力を感じるようになってしまった。 「中も触っていきますね〜? 力抜いてください〜♡」 「はぁっ……♡ う、ぅ……♡ あんっ♡ ッ!? ぁ、ぁっ……♡」 「きゃっ♡ かわいいお声〜♡ はい、先っぽ入りま〜す♡」 「あっ、ぁっ、あっ♡ あっ♡」 「『あんっ♡』『あんっ♡』ですよ? ほら、お尻ゆるぅく、ぬぽぬぽされるのきもちいいね〜♡」 「あんっ♡ あんっ♡ う、ぅぅんっ♡」 「んふふっ♡ だいじょうぶ、だいじょうぶ♡ お尻で感じちゃう、弱い男の子でもだいじょうぶ♡」  言い聞かせるような優しい指使いと囁きによって、禁欲を経て俺の中で育っていた荒々しい肉欲――千雪のめりはりのある艶やかな身体もろとも、甘やかな女らしさを残さず我が物にしてやるんだという剛毅な猛々しさ――が霧散してゆく。 『ふふっ♡ もう、プロデューサーさんったら♡ お尻で喘ぐような男の子が、女の子をいじめるようなセックスがしたいだなんて思っちゃダメなんだぞ〜♡ よわよわの雑魚オスくんになるって、千雪お姉ちゃんとお約束したでしょ〜♡ もっと奥までほじほじされたいよ〜……♡ おもたいお金玉、男の子のお射精スイッチこねこね射精で空っぽにしたいよ〜……♡』  お姉ちゃんぶった辱めの台詞が幻聴する。“女の子に乱暴するセックスなんかしちゃいけません♡ したいと思っちゃいけません♡”と性感帯に直接言い聞かせられるような指遣い。妄想の千雪が囁く言葉の数々が、強制力を伴って心の奥底にまで染み込んでくる。 「っ、してっ……♡ ほじほじしてっ……♡ 千雪っ、千雪っ……♡」 「はい、もちろんです。……あ、でも窓がちょっとだけ空いてますから、声、抑えてくださいね」 「えっ……あ、まって、ちゆ――ッ、あっ♡♡」 「わぁ……中、とろっとろ♡ やわらかぁい♡」  制止の声が届く前に指が滑り込んできた。生じた異物感に思わず悲鳴があがる。そこに込められた色は苦悶でも困惑でもない。AV女優の演技さながらのわざとらしい喘ぎ声が、本気で自分の喉の奥から溢れ出したのだ。ペニスや睾丸への愛撫は歯を食いしばればどうにか我慢できた。だが尻穴は反応を偽れない。度重なるほじられ愛撫によって、縦に広がるようになってしまったこの穴がいちばんの弱点であると、マゾ鳴きを以て千雪に“調教”の成果を示してしまう。 「ほぐしながら、奥まで挿入していきますよ? 踏ん張るみたい感覚で、かるぅく力んでくださ〜い♡ あんまり力入れると、痛くなっちゃいますよ〜♡」 「んっ、ぁ。ぁっ♡ まってっ、まってっ、千雪っ、ちゆっ……♡ んうぅぅっ♡ んぅぅぅっ……♡♡」 「ふふっ♡ 力抜くのじょうずじょうず〜♡ 浅いところぬぷぬぽされるの、大好きですもんね〜♡」 「〜〜〜ッッ♡♡ んぐぅっ♡ ふ、ぅぅぅ〜……ッッ♡」  人差し指と中指に、人の言葉を奪われる。リズミカルに指が折り曲がるたびに括約筋がほぐされて、排泄のためにあるはずのそこが女の子の思い通りになる性感帯へと作り変えられている感覚。尻穴の締りに少しずつ力が入らなくなり、名状しがたい屈辱感が快楽を引き連れて俺の身体を内側から脅かしてくる。千雪の膣内で、口で、胸で、あるいは手でもいいから、とにかくチンポをねっとりと素早く扱き上げられたい。男として当たり前に抱くチンポ快楽への希求が、アナルへのもどかしさで上から塗りつぶされてゆく。 「開けてくださ〜い♡ お尻の穴、あ〜ん♡してくださ〜い♡」 「う、ぅぅぅっ……♡ う、ぅぅ、ぅっ……♡♡」 「私、どうしても前立腺くんを、いいこいいこ♡してあげたいんです♡ ご存知ですか? 前立腺って男の子の身体の中でいちばん、甘えんぼな部位なんですって。なんでも、開発すればするほど人懐っこくなって、自分から指に“頬ずり”するみたいに吸い付いてくるようになるらしくって。そのうち、前立腺をこねこねされてない射精なんかじゃ、満足できないようになっちゃう……♡」 「く、ぁ、ぁ、ぁっ……♡♡」 「ふふっ♡ そしたら、プロデューサーさん、自分で言えます? 女の子に、“お尻に指入れながら手コキして”とか……♡ セックスする時は“エネマグラ入れていい?”とか。自分がお尻の穴開発済みの男の子だって打ち明けられますか?」 「い、いえ、ないっ……♡ いえ、ないっ……♡」 「でしたら、もう一生、私としかえっちなことできませんね♡」 「〜〜〜〜ッッッ♡♡♡」 「ずぅっと離れられませんね」 「うんっ、うんっ……♡」 「そんなふうにしてもいいですか?」 「っ♡ っ、ぅ、ぁっ……♡」 「……いい?」 「っ、ぅ、んっ……♡ し、てっ……♡ してっ……♡」 「はい、言質いただきました♪」  ぬぷっ♡ ぬぷぷぷぷぅ……♡♡ 「……んぅぉッ♡♡ ぐ、ぁっ♡ あぁぁぁ、ぁぁぁ……ッッ♡♡」  その言葉を待っていたと言わんばかりに、二本の指がナカへと侵入する。長く美しいだけではない、趣味で裁縫や刺繍まで緻密な作業を難なくこなす器用な指先だ。挿入口から第二関節ほどの深さにあるくるみ大の弱点はその芯をあっさりと捉えられ、跳ね返さんばかりの弾力をいなして指の腹が腸壁越しにぐにぐにと食い込む。  くに、くにっ♡ こ〜ねこねこねこね♡♡ 「わぁ♪ ふふっ♡ 前に触ったときよりも、大きくってコリコリしてる気がしますね♡ プロデューサーさん、ほら、わかりますか♡」  まるでふらりと立ち寄った店で自分の好みの雑貨と偶然出会った時のような、嬉々とした反応。二本の指を交互に折り曲げて、千雪は俺の“射精スイッチ”を楽しそうに弄んでいる。一方でそれに応えられる余裕は俺にはまったくない。喩えるならばそう、射精直前にチンポの根本へぐぐぐっ♡と精液が集まってくる感覚に近しい。快楽の大波が押し寄せてきて自分の意志とは無関係に思考が塗りつぶされる、そんな状態を無理やり強いられている。  こ〜〜ねこねこねこね……♡ こねこねこね♡ 「お、ぉ……♡ ぅ、っ…ほァ…♡ そ、れダメっ……♡ それダメっそれダメっそれダメぇっ……ほオ゙ッッ♡♡」


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