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龍生
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Masochist & Victoria 先行公開⑩

「俺のターン……!」

既にエウリュアレーの攻撃とステンノーの攻撃で二度も射精させられてしまい、絶体絶命の状況。しかし、ドローしたのはデッキからカードを追加で引き込む〈鏡魔との取引〉だった。

「俺は今ドローしたカードを発動し、デッキからカードを二枚ドローする!」

代わりに、ドローした後に「鏡」と名の付く手札を一枚捨てる必要があるが、それでもこの状況ではありがたい。

(来てくれ……!)

 一枚目の追加のドローは〈未来写し―望遠鏡―〉。デッキからカードを一枚選んで追放し、二ターン後に手札に加える効果を持つ。

 続いて手札に加わったのは、相手の攻撃と効果を防いでくれる〈ミラーシールド〉のカード。これならばステンノーの効果を防ぎつつ攻撃も防げるため、ひとまずは安全を確保できたと言える。

 そうしてできた余裕で、ここまでの戦いの中で抱き始めていた違和感の正体を探るべく思考を張り巡らせる。

(なんだ……? 何かがおかしい……)

 単におかしなことはいくつもある。本来ならば一人のプレイヤーにつき一体しか扱えないはずのヴィクトーリアが二体も存在すること。その二体の間ではバトルが発生しないこと。

 更には、今は俺のコントロール下にあるはずのエウリュアレーが相手ターンのステンノーの攻撃に協力してきたこと。

(例外が多すぎる……! こんな、一部のカードにだけルールやカードの処理を超越した効果を持たせるだろうか……?)

 まだ今日始めたばかりのカードゲームではあるが、それでも違和感が拭えない。これまでの人生で遊んできた数多くのゲームを思い返してみても、これほどまでにルールを無視した挙動を取るカードの存在を許すゲームはなかった。

(何かしらのトリックがあるのかもしれない……。それさえわかれば、攻略の糸口が掴める……!)

 防御に徹して逆転のチャンスを伺う戦法が使えない現状。ならばいっそ相手を突破する方向に進むべきだと考える。

「俺は〈未来写し―望遠鏡―〉を発動し、〈鏡写し〉を追放する!」

「追放してから二ターン後に手札に加えるサーチ効果? 随分悠長ね?」

「小夜の言う通りね♡ そんな先まで自分が生き延びられると思っているのかしら♡」

 小夜ちゃんとステンノーが呆れたようにくすくすと笑う。確かに、今すぐ逆転できるわけではない上に二ターン後まで自分が敗北していない保証はない。

 だとしても、俺は一抹の望みを掛けてこの手を打つ他になかった。

(攻略法さえわかれば、そして俺が耐えきれば、アリスを復活させて一気に攻撃に転じることができる……!)

「それでも、そんな手段を用いてまでサーチしたいカードなんて、相当強力なのでしょうね。使われる前に決着をつけましょうか」

 小夜ちゃんがそう言うと、ステンノーが挑発的な表情を浮かべる。

「きゃはっ♡ 大人しくターンエンドしちゃえば、このベロでね~っとりとフェラをしてあげる♡ 蛇ベロ秒殺フェラで天国へ連れていっちゃう♡」

 細い親指と人差し指で輪っかを作り、ステンノーが前後に動かして誘ってくる。その動作と挑発的な目つきに、性器がムズムズと疼いてくる。

(ううっ……♡ 秒殺フェラなんて……気持ち良さそう……♡)

「ほらほらぁ♡  私のベロ、とぉ~っても気持ち良いわよ♡ 貴方の弱っち~いおちんちんを私のベロでぐるぐるに包み込んで、たっぷりシコシコしてあげちゃう♡」

 ステンノーはそう言って腰まで届くほどの長い舌を伸ばして輪っかに通す。更には、舌先を丸めてとぐろを作り、上下に動かす。

「こうやってぇ……おちんちんに巻き付けたベロを動かしてとろとろにしてあげちゃう♡ 温かくてぬるぬるのベロでふやけるまで舐められたくないのかしら?」

 ステンノーによる誘惑攻撃。挑発的な表情で艶めかしい動作を見せつけてくる彼女の様子と声に、精巣が活性化してしまう。だが、ここで彼女の誘惑に屈するわけにはいかない……!

「迷っているようね。もしかして、お兄様はステンノーのお口よりもエウリュアレーのおっぱいの方がお好みなのかしら?」

「そういうことでしたら言ってくだされば良かったのに……♡ わたくしのおっぱいでパイズリをして、快楽で蕩けさせて精液を根こそぎ搾り取って差し上げましょう♡ またわたくしのバブちゃんにして差し上げまちゅよぉ♡」

「さっきみたいにお兄様自身がエウリュアレーに命令すればいいだけよ♡ 〝俺を攻撃しろ〟って♡ そうすれば、その子はお兄様にパイズリしてくれるわ♡」

 自滅攻撃……。本来ならば戦術的に決してあり得ない行動だが、今はその選択すら魅力的に思えてしまう。一度は誘惑に負けて彼女のおっぱいに包まれて尻尾で射精させられたせいで、彼女の爆乳によって射精したいと思ってしまっているのだ。

「好きな方を選んで負けちゃいなさいよ♡ どっちでも気持ちよぉ~く敗北射精できるもの♡」

「わたくしのおっぱいか、お姉様の長くてお美しいベロか、お好きな方を選んでいただいて構いません♡」

「さぁ、お兄様♡ どうするのかしら?」

 絶体絶命の選択。どちらを選んでも攻撃されたら射精させられてしまうことは確実。だが、まだ俺の手札にはカードが残されている。

 相手からの攻撃や効果は防げるが、自分のヴィクトーリアの攻撃は防げない〈ミラーシールド〉。このカードを使うことを考えると……。

●ターンエンドを宣言してステンノーに蛇舌フェラをしてもらう。

●エウリュアレーに俺自身を攻撃させてパイズリをしてもらう。


●ターンエンドを宣言してステンノーに蛇舌フェラをしてもらう。


「ターンエンドだ……」

 相手からの攻撃から身を守るカードでデッキを固めているため、自分のヴィクトーリア扱いのエウリュアレーの攻撃を防ぐ手立てがない。そうなると、これ以上エウリュアレーのおっぱいで攻撃された場合に射精しない自信がなかった。

(でも、ステンノーからの攻撃ならば、防げる……!)

「くす♡ お兄様は貴方のお口をご所望のようよ、ステンノー♡」

「はーいっ♡ ふやけて溶けるほどのフェラで、心まで舐め蕩かしてあげる♡」

 腰をくねらせ、音もなく床の上に尻尾を這わせながら、ステンノーが近付いてくる。

「私の攻撃を防ぐカードがあるのはわかってるんだから♡ そのカード、奪っちゃうわね♡」

(今だ……!)

 ステンノーの効果発動に合わせて、手札の〈ミラーシールド〉を発動しようとする。発動後、次の自分ターン終了時まで攻撃も効果も防いでくれる鏡の盾。それを使えばステンノーの効果で手札を奪われることも、攻撃を受けて射精してしまうこともない。

「あはっ♡ 私の攻撃を防いじゃって良いのぉ~? せっかくちんちんが蕩けちゃうほど気持ち良~いフェラをしてあげようと思ってたのに♡」

 だが、相手の方もそれを読んでいたのか、長い舌をこちらの股間まで伸ばしてくる。

「ほらぁ~♡ もうちょっとでベロが当たっちゃうわよ? 手札のカードを使わなくて良いのかしら? それともぉ、私にカードを奪われて負けちゃいたい? 選ばせてあげる~♡」

(うう……♡)

 エウリュアレーのおっぱいでぱふぱふをされ続けながらステンノーが性器に触れないギリギリの位置で舌を動かし続けている状況で、俺は……。


●「手札の〈ミラーシールド〉を発動する!」

●手札の〈ミラーシールド〉をステンノーに自分から差し出してしまった。

●「手札の〈ミラーシールド〉を発動する!」


「手札の〈ミラーシールド〉を発動する!」

 エウリュアレーのおっぱいとステンノーの舌による誘惑を跳ね除け、カードを発動させる。

これで次の俺のターンが終わるまで攻撃も効果も受け付けない。ステンノーに手札を奪われることも射精させられることも、とりあえずは避けられた。

「ふぅん? お兄様って、なかなか意志が強いのね♡」

「でもど~せちんちん気持ち良くされちゃったら瞬殺でしょ♡ 次のターンにちょろ~く負けさせてあげる♡」

(何とか乗り切った……!)

 効果が防がれ、攻撃も通らなくなったことで小夜ちゃんがターンエンドを宣言する。

「俺のターン……!」

 ドローしたカードは、〈運命の悪戯〉。まいんちゃんから託され、デッキに入れていたカードだ。それを、俺に巻き付いているエウリュアレーが読みあげて小夜ちゃんに伝える。

「あら、残念ね♡ ここで防御カードが引けていたら次のターンまで生き延びて、お目当てのカードを手札に加えられたのに♡」

「これでもう貴方の敗北は決定ね♡ 最後は私のベロに負けたいかしら? それとも、エウリュアレーのおっぱいに負けたいのかしら?」

 確かに、〈運命の悪戯〉は俺のことを守ってくれるカードではない。だが……!

「無駄よ。〈運命の悪戯〉には、私がカード名を宣言して手札に加えるだけで効果を失う弱点があるわ。その弱点の埋めるコンボを、貴方は用意できていないでしょう?」

 勝ち誇った様子で笑う小夜ちゃん。しかし、このカードを使わなければ最早チャンスすらないのだ。最後の賭けに出てみる価値は十分にあった。

「俺は、〈運命の悪戯〉を発動する!」

「とうとう自棄になったのかしら? 良いわ。私は〈怪物化〉を宣言してデッキから加えることで、その効果を――」

「俺は更に、手札の〈反鏡―エコーミラー〉を発動し、君が使った〈麻痺毒の蛇眼〉の効果をコピーする!」

 デッキから一切カードを加えられなくなる、〈麻痺毒の蛇眼〉。自分のヴィクトーリアが蛇竜種でなければ使用できないそれを、エウリュアレーに巻き付かれている今は利用できた。

「くっ……!」

 初めて小夜ちゃんが見せる、苦悶の表情。ここにきてようやく余裕を崩すことに成功した。

〈運命の悪戯〉の効果により、このターンを終了し……」

 発動と同時にターンを強制終了させ、次の自分のターンを開始する強力な効果。これにより、小夜ちゃんのターンになってステンノーから攻撃されることを回避することに成功する。

「もう一度、俺のターン!」

 ターン開始と同時に、〈未来写し―望遠鏡―〉の効果で、〈鏡写し〉が手札に加わる。

「そして、〈満月の夜〉を発動する! この効果により、他の全ての永続呪文の効果が無効になる!」

 〈魔性の抱擁〉の効果が無効となったことで俺に巻き付いていたエウリュアレーが離れ、小夜ちゃんの場に帰っていく。

 そして、ゲームのルールによって裏側となって無いものとして扱われていた〈アリス〉が俺の場に戻ってくる。

「ようやく出番かしら? レディを待たせる男は嫌われるわよ? マスターさん♡」

「プレゼントの用意に時間が掛かってね……!」

 憎まれ口をたたくアリスに、苦笑する。不思議と、彼女のこういう態度が心地よく感じられるようになっていた。

「あら、そ? じゃあ、私を待たせてまで用意してくれたプレゼントを見せてもらおうかしら♡」

 自分が場に戻ってきたことで勝利への筋道が出来上がっていることを信じている様子のアリス。しかし、小夜ちゃんは再び余裕の笑みを浮かべる。

「良いのかしら? ようやく本気を出せるのはお兄様だけではないのよ?」

 そう話す彼女の前で、ステンノーとエウリュアレーの二人がしゅるしゅると尻尾を絡ませ合う。

「私の場にステンノーとエウリュアレーが揃ったことにより、二人を本来の姿へと戻すわ♡」

 小夜ちゃんの言葉に訝しがっていると、お互いの尻尾を絡ませ合っていた二人が融合して繋がり合う。

「ここからは本気で行かせてもらうんだから♡」

「お覚悟、なさってくださいねぇ……♡」

 バラバラだった二人が、一本の尻尾を共有する一人へと変化を遂げる。ステンノーの尻尾の先にエウリュアレーの肉体を持つその姿は、俺にあるモンスターを想起させる。

「ウロボロス……?」

「正解よ、お兄様♡ 私の本来のヴィクトーリアの名は〈ウロボロス〉。彼女はね、一体のヴィクトーリアを二枚のカードで運用する必要があるの♡」

 彼女の言葉を聞いて、ここまでの例外的な動きにようやく合点がいく。二枚のカードが揃って一体のヴィクトーリアであるということは、つまりステンノーとエウリュアレーはあくまでルール上は同じ一体なのだ。

(だからお互いに攻撃しあうこともできず、片方の攻撃宣言時にもう片方も攻撃できたのか……!)

 そして、一人のマスターに一体のヴィクトーリアという根本のルールを破っているかのように見せていたのだ。

「さて、これでもうお兄様には勝ち目はなくなったのだけれど……大人しく降参する気はないかしら?」

 小夜ちゃんはそう言うと、ちらりと窓の外に目をやる。俺もつられてそちらに視線を向けると、海鳥の群れが飛んでいる様子が見えた。陸地が近いことの証だ。

 直後、唐突に船内のスピーカーがけたたましく音声を流し始める。


『ぴんぽんぱんぽーん! まもなくこの船は、本戦会場のあるリゾート地へと到着しまーす! 既に三連勝された女性の皆様は、下船の準備を始めてくださーい♡』


 アナウンスが終わると、にわかに船室の外が騒がしくなる。既に十分な勝利数を稼いだプレイヤー達が、船を降りる準備を始めたのだろう。一方、まいんちゃんや猫屋敷さんのように未だ勝利数が達していないプレイヤー達は躍起になって連勝を目指していることだろう。

(俺もここで負けるわけにはいかない……!)

「そう……。あくまで降参する気はないという目をしているわね。でも、本来の姿を取り戻したウロボロスは、二人のステータスを共有している上に不死身の能力を有しているのよ。勝ち目があると思っているのかしら?」

 自信満々。この状況から自分が負けるとは欠片も考えていなさそうな小夜ちゃんに、二人が言葉を続ける。

「私とエウリュアレー、両方を同時に倒さない限りは、ね♡」

「片方が残っていれば無限にもう片方が復活する私達姉妹に、どうやって抵抗するおつもりですかぁ?」

「だそうだけれど? 準備はしてあるのかしら? マスターさん」

 最後に残った最大の問題。それは、アリスを変身させたとしても二人を倒す力があるのか、ということ。少なくとも、二人を全く同時に攻撃して打ち倒さなければ勝つことはできないのだ。

 俺がそんなこと考えていると、アリスが深いため息を吐き出す。

「心配してないで私に任せなさい」

「えっ?」

「言ったはずでしょう? 貴方の勝利の女神様になってあげるって。ここまで一人でよく戦い抜いたわ。貴方の最後の仕事は私を信じることだけよ」

 小夜ちゃん以上に自信満々。勝利を微塵も疑っていないだけでなく、ここまで戦い抜いた俺への信頼も感じさせてくるアリスに、俺も応える。

「手札から〈写し鏡〉を発動! アリスを、〈ウロボロス〉と同じく闇属性・蛇竜種のヴィクトーリアへと変身させる!」

 鏡に映ったアリスに、同じく鏡に映ったウロボロスの姿が移っていく。そして、アリスが光を放ちながら新たなる姿を俺達の前に表す。

「現れろ! 〈アリス・オブ・ゴルゴーン〉!」

 地面につくほど伸びた、とぐろを巻いた蛇のようにうねる銀髪を風になびかせ、下半身をウロボロスよりも長くて肉厚な蛇体に変じさせたアリス。

 踊り子のような衣装に身を包んで金のアクセサリーを身に着けたその姿は美しく、思わず見惚れてしまうがすぐに戦いへと意識を向ける。

〈アリス・オブ・ゴルゴーン〉が場に出たことにより、相手ヴィクトーリアを石化させる!」

 アリスが腰を踊るようにくねらせて蛇体長い髪をはためかせ、暴風を吹き荒らす。その風を浴びたステンノーとエウリュアレーは、驚いた表情のまま灰色の石像と化す。

「これでステンノーの効果が無効となり、奪われていたカードが俺の手札に戻る!」

「くっ……! でも、ステンノーかエウリュアレーを攻撃されたって、片方が残っていれば無限に復活が……!」

「片方? 何を言っているのかしら。私の前にあるのは一つの石像なのだけれど?」

 その言葉に、小夜ちゃんが目を見開いて「なっ……!?」と驚きの声を上げる。そう。一つの石像となってしまったために、アリスはただ石像を壊すだけで二人を一度に葬ることができるようになってしまったのだ。

「でも残念だったわね。そのヴィクトーリアを変身させたことで、私のカードの効果が通用するようになったわ」

 そう言って小夜ちゃんが手札からカードを発動する。

〈知恵の実〉を発動! この効果により、デッキの上から二枚のカードを確認してそのまま発動するわ!」

 逆転への祈りを込めるようにゆっくりとカードを確認した小夜ちゃんが、ニヤリと不敵に微笑む。

「私は〈脱皮〉を発動して、〈ウロボロス〉の石化を解除! 更に、〈石化の蛇眼〉の効果でお兄様のヴィクトーリアを石化させるわ!」

 石となっていた表面だけが砕けるようにして、ステンノーとエウリュアレーが復活する。そして二人の瞳が妖しく光り、石化光線が放たれた。

「これで逆転よ! やっぱり勝つのは私ね、お兄様」

 完全に勝利を確信した様子の小夜ちゃん。俺は、そんな彼女に「それはどうかな?」と言ってやる。

「俺は手札から、奪われていた〈リフレクトミラー〉を発動する!」

 直後、アリスの手に鏡で出来た大盾が現れ、石化光線を跳ね返す。当然、跳ね返す先はステンノーとエウリュアレー。二人は再び物言わぬ石像となる。

「そんな……」

「これで振出しに戻ったわね」

 アリスの言う通り、状況は完全に元通り。小夜ちゃんは無意味に手札を一枚使っただけとなった。

「打ち砕いてあげる。勝つのは、そして本戦に出るのは私達よ」

 そう言うとアリスは長くて太ましい尻尾を大きく振り上げ、物言わぬ石像と化したステンノーとエウリュアレーへと攻撃しようとする。

 すると、小夜ちゃんが先の割れた長い舌を伸ばし、そのベロを囲うように指で輪っかを作った。

「お兄様ぁ? 攻撃を取りやめてくれたなら、私の口で気持ちよぉくしてあげても良いのよ♡」

「なっ……!」

 俺の目の前で舌を蠢かし、手首にスナップを利かせて手を動かす小夜ちゃん。挑発的に誘ってくる流し目も色っぽく、にわかにペニスが疼いてしまう。

「ほらほらぁ♡ 私の手とベロで好きなだけ気持ちよぉくしてあげる♡ 攻撃を止めてターンエンドしてくれたなら、次のターンで私のお口に射精させてあげる♡」

 れろれろれろ……と宙を舐めるように舌先を動かし、手をシコシコと上下させる小夜ちゃんを見ていると、ペニスがどんどん硬くなっていってしまう。

(うう……♡)

 決して乗ってはいけない誘惑。ここで彼女の言葉に惑わされてしまったら、せっかくの逆転勝利のチャンスを逃すことになってしまう。

 頭ではそう理解しているにもかかわらず、精巣が刺激されてしまって理性を保てない。

 まだ幼く、恐らくは小学生の小夜ちゃん。そんな少女である彼女の煽情的な挑発と、色っぽい流し目に興奮と射精欲が抑えられない。

「おちんちん、とっても辛そうよ♡ 私が手コキとフェラで抜いてあげる♡」

「そ、そんなこと……」

「ここで負けちゃっても大丈夫よ♡ お兄様は私相手に立派に戦ったわ♡ 敗北を選んで私達のものになるというのなら、毎日たっぷり可愛がってあげるわ♡」

 これ以上彼女の言葉を耳にしてはいけない。わかっていても、小夜ちゃんの次の言葉を期待してしまっている自分がいた。

「俺は……」


●ターンエンドを宣言してしまう。

●このまま攻撃を続行する。

●このまま攻撃を続行する。


「俺は、アリスで〈ウロボロス〉に攻撃!」

 小夜ちゃんの誘惑を振り切り、攻撃宣言を行う。同時に、アリスが再び尻尾を大きく振り上げる。

 すると小夜ちゃんは「そう」と言って右手をデッキの上に置いた。

「降参(サレンダー)よ。私の負けを認めるから、ここでゲームを終わりにさせてもらえないかしら」

 唐突で意外な申し出に、咄嗟に言葉が出ない。アリスも、ぴたりと止まって動かないまま俺の方へ視線を向けてくる。

「お兄様は見たでしょう? 私の舌の形を」

「ああ、うん……」

「あれね、生まれつきなのよ。生まれた時から、舌が割れているの」

 小夜ちゃんの声のトーンで、それが彼女にとってコンプレックスであり、好ましくないものであることが伺えた。

「家族からも気味悪がられたし、友達だってできなかった。当然よね。私、舌を見られるのが怖くて人前で口を開けられなかったんだもの。カードバトルの時だってマスクが離せなかったわ」

 しかし、小夜ちゃんは先ほど俺にベロを見せつけてきたし、それ以前も口を開けて笑みを浮かべることもあった。

 不思議に思って聞いている俺の前で、彼女が言葉を続ける。

「全部、二人のお陰なのよ。ウロボロスが初めて自我を持って具現化した時、私の舌を見て〝お揃いね♡〟って。〝本当の姉妹みたいね〟って言ってくれたの。だから私は、こうやって人前に自分の舌を晒すことができるようにさえなったわ」

 それ以前の生活が、どれだけ孤独で寂しいものであったかは想像に難くない。そして、そんな小夜ちゃんにとって二人がどれだけ救いになったのかも。

「本当の姉妹にも等しい二人の石像を壊されるくらいなら、私はどんなに惨めでも降参を選ぶわ。たとえ、それで辱めを受けることになったとしても」

 そこで一度息を呑み、呼吸を整える小夜ちゃん。冷静に言葉を紡いではいても、内心では恐怖と戦っているのだろう。

「それとも、お兄様はどうしても二人を打ち砕きたいのかしら……?」

(涙を……)

 声を震わせ、涙の雫と共に振り絞った彼女の言葉に、俺は無言のまま首を横に振って答える。

(ここで攻撃しようと、彼女の降参を受け入れようと、俺の勝利は変わらない)

 それなら、最初から答えは決まっていた。

「わかった。受け入れるよ。攻撃はしない。君の降参を呑む」

「無条件で……?」

 信じられない。という風に目を見開く小夜ちゃん。もしかすると、降参を受け入れられる代わりに肉体関係を要求される程度のことは考えていたのかもしれない。

「当たり前だろ。君に降参させるために何かを無理強いなんてしないよ」

 俺がそう言うと、石像となったステンノーとエウリュアレーの姿が消えていく。恐らくは、正式に彼女の降参が処理されたのだろう。

「……私の負けね。完敗だわ」

 強烈な自信と、それを裏打ちする実力と実績があった彼女にとって重たい敗北だろう。しかし、それをしっかりと受け止めることができる辺り、彼女もまた強いプレイヤーだと思えた。

「男性に負けただけでなく、自分から降参したなんて知られたら、きっと笑いものね」

 自嘲的に笑う小夜ちゃん。しかし、彼女の笑みにはどこか安堵の色が滲んでいた。

「でも、ありがとう。私の大切な二人を壊さないでくれて」

「良いよ。わざわざ攻撃する必要もなかったしね」

 丁寧にペコリと頭を下げられ、却ってこちらが恐縮してしまう。相手が小学生な分、なおさらだ。

「さて……まだ到着の時間には少しだけあるようだし、私は何とかここから三連勝を目指してみるわ。難しいかもしれないけれど、本戦でまた会えたら今度こそ負けないから」

「もちろん! その時はよろしく!」

 アンティルールに則って〈知恵の実〉を渡してきた小夜ちゃんと握手を交わし、別れる。小夜ちゃんはそのまま部屋を出ていき、俺の方は一旦この部屋で到着を待つ。

「さっきの、本当に攻撃しなくてよかったのかしら?」

 一連のやり取りを見届けていたアリスが、俺に蛇体を巻き付けながら問い掛けてくる。

「彼女はもう敗北を認めていた。その上で攻撃をするメリットがない」

「メリット? 相手の心を折ることができたじゃない。そうすれば二度と貴方と戦おうとは思わなかったでしょうね。貴方は、未来の強敵を仕留め損ねたのよ」

「何が言いたいのさ?」

 俺の耳元で囁き続けるアリスの顔も見ずに尋ねる。

「甘いって言っているのよ。今後、相手の心を折ることのできない、命乞いに耳を貸すプレイヤーだと思われるデメリットを考えたことはあるのかしら?」

「俺は別に、ゲームで人を傷つけたいわけじゃない。小夜ちゃんの心を酷く傷つけるような真似をするつもりはなかっただけだ」

 まいんちゃんだって、猫屋敷さんだって、俺へのリベンジを誓って想いとカードを託してくれた。そしてそのカードのお陰で勝つことができた。

 だから、どれほど甘いと思われたとしてもわざと相手の心を折るような真似はできなかった。

「対戦相手を打ち負かして終わりじゃない。俺は、ゲームによって楽しく遊んで、世界中の人と友達になりたいと思っている」

 そこまで話すと、アリスは「ふぅん……」と言って息を吐き出した。

「合格♡」

「えっ?」

 今までのやり取りは何だったのか、と尋ねる前に、アリスが「ふぅー……♡」と吐息を耳に吹きかけてくる。

「うわわわっ……♡」

 くすぐったさと快感にゾクゾクと背筋が震え、身体が勝手に身をよじろうとする。しかし、アリスの蛇体に巻き付かれているせいで固定されている身体は動かない。

「なかなかどうして……私好みのプレイヤーだわ♡ どうやら貴方を下僕に選んだ私の目に狂いはなかったようね♡」

 蛇体をくねらせて俺の正面へと移動し、俺の頬を両手で包んだアリスがじっくりと見つめてきながら言う。縦長の瞳孔が特徴的な綺麗な赤い蛇眼に見つめられていると、自然とドキドキしてきてしまう。

「ご褒美をあげるわ♡ 口を開けなさい♡」

 彼女の言葉に従って見つめ合ったまま口を開けると、アリスは長い舌を伸ばして見せつけてきた。

目の前に舌を伸ばしてきたアリスの舌の上を、ついーっと唾液の雫が滑り落ちてくる。

(うわ……)

 余りにも淫靡なその光景に見惚れていると、唾液の雫が舌先から俺の口内へと滴り落ちる。

(ううっ♡)

 彼女の唾液が一滴口に入っただけで、興奮がいっそう高まって鼓動が激しくなってしまう。

「キスは最後までお預けと約束していたから、今は唾液だけで我慢してもらうわよ♡ 下僕さん♡」

 舌が俺の唇に触れないように、でも触れてしまいそうなほどにギリギリの位置でわざと舌先を踊らせながら、アリスが雫の糸を俺の下に繋げてくる。

「蛇になったせいで唾液が媚毒になってしまったみたい。貴方、きっとこのまま私に深く魅了されちゃうわね♡」

 彼女の瞳と舌にうっとりと見惚れているうちに甘い唾液を注がれていき、甘い雫に酔わされていく。

「ここまで戦い抜いた手にもご褒美をあげましょうか♡ 胸、触らせてあげるわ♡」

 そう言うとアリスは俺の手を取り、豊満な乳房へと押し当てさせる。

「ああっ……♡」

 弾力たっぷりなアリスのおっぱい。そこへ手を押し付けると乳肉の中に手が埋もれてしまい、もちもちふわふわとした感触が掌や指の隙間を支配してくる。

 加えて、もにゅもにゅぷるぷるとした弾力たっぷりの乳肉の感触に掌を押し返されてしまう。

「ダーメ♡ 手を離したら唾液を飲ませるのもやめちゃうわ♡」

 おっぱいの弾力に負けて手を離しかけた瞬間、アリスが言う。

「ご褒美って言ったでしょう? 受け取るつもりがないのかしら?」

 唾液を受け止めているせいで舌が動かない為に、小さく首を横に振って答える。

「でしょう? それならちゃんと、私から手を離さないでいなさい♡」

 とろとろの唾液で理性が少しずつ溶かされていき、掌いっぱいに乳肉の弾力と柔らかな感触を覚えたせいで、ペニスが見る見る勃起していく。

「あらぁ、マスターさん? おっぱいを揉んでいるせいで興奮してしまったのかしら?」

「ううっ♡」

 弾力たっぷりの爆乳おっぱいはこちらの指を簡単に押し返してくるせいで、ほとんど強制的に指を動かされて揉んでしまう。むにゅむにゅもちゅもちゅとした乳肉は押し返してくるたびに指の隙間をくすぐり、揉んでいるこちらの興奮をどんどん煽ってくる。

(ううっ♡ おっぱい♡ おっぱい♡)

 行為としてはこちらが動いて攻めているはずなのに、結果として一方的に興奮させられていくだけ。アリスは涼しい顔をしたまま俺の口に唾液を垂らし、乳房を揉ませながらも堂々とした態度を崩さない。

「……こんなものかしら? ただ唾液を飲ませながら胸を触らせてあげただけなのに、随分蕩けた顔をしてしまうのね♡」

 俺の口から舌を離したアリスが、れろぉ……んと顔を舐めてくる。その生温かさと柔らかな感触に震えていると、彼女はそっと耳元に口を寄せてきた。

「大きくなってしまったマスターさんの性器、私にどうしてほしいのかしら?」


Masochist & Victoria 先行公開⑩

Comments

小夜ちゃん、気に入っていただけて嬉しいです~! 主人公たち以外のマスターとヴィクトーリアにも絆があることも知ってもらえてよかったです。 小夜ちゃんとか、今回戦った子達にもまたどこかで再登場してほしいですね……! お気に入りの女の子たちなので!

龍生

舌が割れているせいで辛いことがあった小夜ちゃんですが、ステンノーとエウリュアレーに出会いコンプレックスを克服できて良かった。 その二人が倒されるなら、自ら負けを認めるほどの強い絆。 それを見てステンノー達に攻撃しなかった主人公。 これは小夜ちゃんとのフラグが立ったか? 小夜ちゃんの再登場を強く期待!!

farubumu13


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