SS_怪獣になれるゲームブック(Skeb)
Added 2024-01-12 12:52:22 +0000 UTCSkebでリクエストいただいた作品です。
Skebでも公開済なので全体公開です。
早速ですが本題。
東方Projectより稗田阿求。
遊べる本を使って存分に暴れまわります。
今回は黄色いお水もあるので苦手な方はお気をつけください。
(約11,000字)
※無断転載禁止
------------
世界にはゲームブックと呼ばれるものがある。
簡単に言えば、読者が主体的に物語を進めることで遊ぶための本。
具体的には、本を開くとそこには情景描写と
次に開くべきいくつかのページが提示されている。
例えば……
目の前には分かれ道がある。
左に進むなら9ページに、右に進むなら15ページに進め……
といった感じ。
私がそういった本の存在を知ったのは少し前のこと。
貸本屋をやっている私の友人の小鈴から教えてもらった。
本といえば物語を一方的に受け取って解釈するものだと思っていた。
考察の余地くらいはあるけど。
でもこのゲームブックは物語が読者の選択によって変わる。
いわゆる読書とは別物ではあるけど、とても新鮮で衝撃的だった。
小鈴曰く、子ども向けが多いけど最近は大人向けの複雑なものも少なくないらしい。
いくつか読ませてもらったけど、子ども向けは子ども向けで案外面白い。
大人向けはまだ読んだことがないけど、
内容によってはたしかに大人でも充分楽しめそう。
そしてある日、いつもどおり小鈴のところに行った日のこと。
小鈴に奥の部屋に連れられて、1冊のゲームブックを渡された。
私は首を傾げた。
書いてあったのは不思議な絵や文字ばかりで全く内容が分からなかったからだ。
さすがに私の反応は当然の反応だったのだろう。
小鈴がやや小声で説明してくれた。
これは夢の中で遊ぶための本。
始める前に世界観を想像して本に送り込むようにしばらく触れる。
そしてその本を枕の下に置いてから寝る。
すると想像した世界に自分が居るかのように夢の中で遊べる。
半信半疑……というより、全然信用せずにその日の夜に試してみた。
ここ最近で一番の衝撃だった。
小鈴が言ったとおりだった。
しかも別の日に試してみても、そのときもできた。
魔法で動いているのか、妖術で動いているのかはよく分からないし、
本当に夢の中の世界なのかも知らないのだけど、
使い方を間違わなければ問題ないと小鈴は言っていた。
この本は2冊だけしかないみたいで、今は小鈴と私が1冊ずつ持っている。
しかもこの本は連動しているらしい。
例えば私の夢の中の世界に小鈴が入ることもできるし、その逆もできる。
小鈴が内緒にしたい理由もよく分かる。
そして今夜も私はこの本を使って遊ぶ。
今日は1人で遊ぶつもり。
私の中で最近流行ってることをしようと思う。
普通なら絶対できない遊び方。
まだまだ遊び方を研究中だから、今日もいろいろ試しながらやってみる。
準備を済ませて、いざ夢の中へ……
------
「……うん、今回も問題なさそうね。」
気が付くと私は広い空間の建物のなかに居た。
たしか、寺子屋にある体育館と言われているものだったはず。
広々とした空間を独り占めするのもそれはそれで悪くないのだけど、
私の遊び場はこんな狭さでは全然足りない。
目を閉じて、胸の前で手を合わせて……
「変身……!」
ゴゴゴゴゴゴ……
胸に手をあわせたまま目を開ければ、私の体が淡く光り始めている。
そして体育館の天井が近づいている。
あらかじめ私が変化の術を使える世界にしておいたのだ。
そしてその効果で私が巨大化をしている。
あっという間に天井に頭が当たってしまった。
痛みはないけど少し窮屈かもしれない。
「そーれっ……!」
ベリベリベリッ!
どごぉぉん……
両手と頭で屋根を押し上げると、簡単にはがして持ち上げることができた。
それを適当に横に投げ捨ててしまうと、
寺子屋の別の建物にぶつかって少し崩してしまった。
ガラガラガラ……
がしゃーん!
投げ捨てた屋根で崩れた建物を見ている間にも巨大化を続けていたから、
体育館のなかに体が入りきらなくなって、体育館の壁を内側から倒してしまった。
屋根をはがしたから簡単に崩せたのかもしれない。
まだまだ巨大化を続けて、
体育館の隣の建物に勝手に足が当たって押し崩していく。
大きくなればなるほど
建物に引っ掛かったときに簡単に建物の方が壊れてくれるからとっても楽。
「……ふう、変身完了っと。
上手くいっていそうね。」
変身が終わって巨大化が止まると自分の体を観察する。
おおよそ身長200メートル、足元の街の様子が遠くまで見える。
服は巨大化のときになくなって裸に。
恥ずかしいといえば恥ずかしいけど、怪獣みたいな大きさになっているから
こういうところでも非日常を味わえると思うとちょっと興奮しちゃうかも。
そして今回は変身ということで、下半身を怪獣のそれにしてみた。
太くて硬い皮に覆われた脚、怪獣型の足、そして太くて長い尻尾。
「こういう変身は初めてだけど、ちゃんと動けるのかしら……?
よい、しょっと……」
ずずぅぅん……
まずは1歩、左足を運動場と呼ばれている寺子屋の広場に下ろしてみる。
動かしている感触は普段と変わらない。
着ぐるみなどではなくて本当に私の足が怪獣のものになっているみたい。
問題は重さ。
動かすこと自体は大丈夫だけど、あまり足を高く持ち上げられない。
あとは普段の巨大化よりも足の移動がゆっくりになってしまう。
でもその重さが全て悪いわけではない。
重いからこそ踏みつけも普段以上に力強くできる。
運動場には大きな足跡がくっきり刻まれているし、
足の周りにたくさんの地割れができあがっている。
普段の踏みつけではなかなかできない。
「そして、尻尾は……お尻を動かす感じ?」
尻尾も初めての試みだから早く慣れたいところ。
とりあえずお尻を左右に振ればある程度尻尾が動いてくれる。
上下に動かすのもなんとかなりそう。
ただ、重心が後ろ寄りになっちゃっていて違和感はあるかも。
その代わりに尻尾も地面につけば少しは身体を支えられて大丈夫な気もする?
怪獣の尻尾攻撃っていうのもわりと王道みたいだから、
尻尾に早めに慣れて私もなりきってみたいと思う。
「体の方は一応大丈夫かも?
あとは……今回の街はどんな感じかしら?」
その気になれば街の様子も決められるのだけど、
それだとあまり面白くないから特別な用事がない限りはぼんやりとだけ決めている。
そういうわけで今回も街がどうなっているか知らないから、様子を確認しないとね。
三方向を山に囲まれていて、一方向だけ海に面している。
海はちょうど今居るところの反対側にある。
今居るのは民家がたくさん建ち並ぶ地区。
ここから海側に進むと大きな建物が集まっている中心地みたいなところがあって、
さらに進めば海沿いの地区に着く。
こういう地形のときは遊び方が簡単に決まる。
手前から順番に、海の方に向かって街を横断すればいい。
わざわざ山を登る必要もないし、
怪獣ごっこをするなら建物のある地区の方が楽しい。
「それじゃあ、ちょっと歩き回って体をならしていきましょうか。
せっかく半分くらい怪獣になったのだから、情けない動きはしたくないもの。」
ずしぃぃん……
どしぃぃん……
1歩1歩しっかり踏みしめて歩き始める。
まずは足元の寺子屋の建物を踏みつけてみると、
3階建てで木造より頑丈そうな建物でも簡単に踏み抜くことができた。
まあこういうのは下半身が怪獣でなくてもできるけど、
普段よりは簡単に踏みつぶせているかも?
2歩、3歩、4歩……っと。
「寺子屋はこれでおしまい。
まだまだ歩き回っちゃいましょうか。」
足元を見れば普段とは違う足跡がいくつかあって、
さっきまでそこにあった建物はひとつ残らずなくなっていた。
幻想郷の寺子屋よりずっとずっと大きくて、
数百人くらい入りそうな建物だったけど全部踏みつぶしちゃった。
そのまま進んでいけば今度は民家の建ち並ぶ地区へ。
住宅街って呼ばれるみたい?
「たしかに民家だけでも人里何個分くらいなんだろうってくらいあるわよね。
でも今は、全部私のオモチャ……ふふっ。」
ずどぉぉん!
どすぅぅん!
このくらいの小さな建物なら無理に足を上げなくても簡単に踏みつぶせちゃう。
紙で作った箱みたいにさくさくつぶれていくからなかなか楽しい。
建物の素材はこっちの方が間違いなく頑丈だけど、
構造は幻想郷の民家とほとんど差はないみたい。
色とりどりで華やかだったり、2階建てとか3階建ての民家もあったり。
見栄えするし普段の生活ではあまり見ないからこれはこれで特別感があるかも。
「うん、ゆっくりだったら問題なく歩けるようになってきたかも。
この調子でやっていきましょうか。」
しばらく住宅街を踏み荒らしたから一旦振り返ってみる。
私が通ったところは更地になっていて土煙があがっている。
直接踏みつけたところは足跡になっているし、尻尾を引きずった跡までついている。
これだけ大きくて重い尻尾だから仕方ないし、なかなか新鮮かも?
歩くだけで自然と左右に揺れるから、
踏み残した建物をなぎ倒しているのもなかなかいい感じ。
せっかく踏み荒らすならひとつ残らずやらないと、なんだかもったいないもの。
「さてと、このあたりには大きめの建物もあるわね。
たしかマンションだったかしら?」
ひとつの建物にたくさんの家族が住む建物。
たくさんの人が住んでいると土地が足りなくてこういうものも必要みたい?
幻想郷にある高さのある建物といえば、紅い館くらいかしら?
1、2、3、4……8階建て。
これだけ階層があると私のスネくらいの高さまであるから結構目につく。
「でもこのくらいの大きさなら……」
ゴゴゴゴゴゴ……
ゆっくりと右足を持ち上げてマンションの屋上付近に近づける。
……足を上げると結構バランスをとるのが大変かも、気をつけないと。
しっかり狙いをつけて……
ズガガガガシャァァン!
8つの階層を順番に踏み抜いていく。
ゆっくり過ぎると踏みつけている間に崩れてしまうから少し思いきりが大事。
上手くできると1階層ずつ踏み抜いていくのがなんとなく分かる。
この感じがなかなかたまらない。
今のひと踏みでマンションの右半分がなくなってしまった。
足が屋上に触れてから地面に触れるまで大体1秒。
そして残りの左半分は……
どがぁぁん!
軽く蹴りつけてみた。
怪獣足の爪と重量感のある足本体でマンションの上層部を吹き飛ばしながら
中層部以下は足裏で押し込むようにして踏み倒してしまった。
「ふふっ、あっけないわね。」
簡単に踏み抜けるし、簡単に蹴とばせるし、簡単に踏み倒せる。
こんなにも力強くなれるという全能感。
やっぱりこういう楽しさがあるから怪獣ごっこはやめられない。
どんどん壊していっちゃおう。
「このあたりは……えっと、たしか団地?
マンションとかアパートとか団地とか……違いを後で確認しておかないと。」
足元には5階建てのマンションがいくつか集まっている地区がある。
どのマンションもほとんど同じ形だから不思議な統一感があるわね。
見分けがつかなくて迷っちゃいそうだけど、どうなのかしら?
それはさておき、これも踏みつぶしていっていいんだけど
たぶん大差なさそうだから、思い切ってひとまとめに襲ってしまいましょうか。
建物に背を向けてから軽く体をひねって……
「よい、しょっと……!」
ズガガガガガッ!
尻尾を使ってなぎ払っちゃう。
魔女みたいにほうきにまたがりながら腰やお尻を動かすと
後ろ側を掃くことができる感じ?
尻尾はしなるという程ではないけど、
勢いをつけて動かせば地上の建物なんて簡単に粉々に。
たったひと振りで全部破壊して更地になっちゃった。
「尻尾って案外すごいのね……クセになっちゃうかも?」
こういう行為も普段は絶対にできないから楽しいところ。
やってみて思ったけど、
尻尾を使うなら大きめのものを相手にする方がやり応えあるかも。
次はどこを襲っちゃおうかな。
「……あっ、なるほど。
このあたりにマンションが多いと思ったけど、もしかして中心地が近いから?」
踏みつける足元ばかり見ていたから気づいていなかったけど、、
中心地のすぐ近くまで来ていたみたい。
そろそろこの体にも慣れてきたし、民家をオモチャにするのも飽きてきたし、
早速行っちゃいましょうか。
「やっぱりこの地区は大きな建物が多いわね。
幻想郷では絶対に観られない光景だわ?」
ずしぃぃん……
どしぃぃん……
中心地に入りこんでみたけど、やっぱり建物の大きさに驚かされる。
たしかビルという建物なのよね。
さっきまではスネくらいの高さの建物は数えるほどしかなかったのに、
ここではそのくらいの高さが当たり前といわんばかり。
足元の道の幅もとても広い、住宅街の道幅の4倍くらいはありそう。
あとは自動車……だったかしら。金属製の乗り物がたくさん居るわね。
「でもやっぱりこの辺の方が遊びがいがあるのよね。」
このあたりを歩くと、丈の高い草むらを足でかき分けて進む感じを味わえる。
つまり、道沿いの建物をどんどん蹴散らしていっちゃうということ。
前に進むためだし、私にとっては道が狭いから仕方ないことでしょう?
もっとも、今の私は怪獣だから
人間の規則なんかに従う必要もないのだけど。
「これは遠くからでも見えてはいたけど、
いざ目の前まで来ると結構な大きさね……?」
目の前にあるのは私の下腹くらいの高さまであるビル。
街を見渡した感じ、これがこの街で一番大きな建物だと思う。
その辺のビルは構わず蹴散らしちゃえばよかったけど、
これだけ大きいとさすがにちゃんと考えないといけないかも。
「壊す方法ならいろいろあるけど、せっかくこの体だから……」
半歩下がって、右足をさらに少し後ろに。
腰を落としてから膝を少し曲げて、
少し前屈みになりながらくるっと左回りに半回転。
ズガァァァァン!!
力いっぱい尻尾を振ってビルを横から攻撃!
「っとと……」
勢いあまって私も倒れちゃいそうになったけど、なんとか持ちこたえた。
大きさの割にビルがあまりにも脆かったんだもの。
ビルの真ん中あたりから尻尾でへし折るところまでは想定通りだったのだけど、
勢いがありすぎたのかそのまま中層部を抉り取ってビルを上下真っ二つに。
上層部は支えを失って塊として吹っ飛びながら地上に落ちて粉々になって、
下層部がポツンと、屋上のないヒビだらけの小さなビルとして残っちゃった。
もちろんこれを残すつもりは全くないけどね。
このくらいならその辺のビルと変わらないし、踏みつけで始末しちゃおうっと。
どすぅぅん……
「この街で一番大きな建物、なかなか楽しめました。
さてと、これからどうしましょうか……?」
中心地はまだ半分以上無事なところが残っている。
けど、踏み荒らすのはこれまでにある程度やってきたから別の方法がいいわね。
尻尾以外で怪獣らしいことができる方法……
「そういえば、とっておきの方法があるわね。
これも初めてだけど……やっちゃいましょうか。」
中心地を見渡しながら胸元に手を当てる。
なんとなく胸が熱くなるのを感じる……これなら大丈夫そう。
胸元から手を離して、あごを少し上げながら息を大きく吸って……
ゴォーーッ!
ずどぉぉぉぉん!!
勢いよく息を吐くようにすれば、破壊光線!
息を吐くように口元から熱くてまぶしいものが吐き出せている。
光線が当たった建物はその瞬間に木っ端みじんになって一気に燃え上がっている。
このまま頭を動かすことで別の建物にもどんどん当てて粉々にしていける。
吐息ひとつで一気に街をめちゃくちゃにできる力。
興奮で体が震えるのは久々かも……?
「ふぅーっ……もう一回……!」
息が切れると破壊光線も止まる。
再び息を大きく吸って……
ゴォォォッ!
どかぁぁぁぁん!!
私の破壊光線で周りのビルがどんどん粉々になってあちこちが火事になっていく。
壊したいところを見るだけで光線が当たってそこが破壊される。
幻想郷で弾幕を扱える人もその気になればこういうことができるのかしら?
「……はふ。
あっ、胸元がなんとなく空っぽになっちゃった……けど、今はいいわね。」
2回目の破壊光線を止める……というより、力を使い切っちゃったかも?
この破壊光線は連続で何発も使うことはできないみたい。
このあたりは始める前の設定次第でなんとでもなりそうだから要検討ね。
それにしても……
私が破壊光線を2回撃っただけで中心地が全滅して焼け野原になっちゃった。
燃え上がっている温もりが不思議と心地よい。
あれだけたくさんのビルがそびえ立っていたのに、
こんなにも簡単にめちゃくちゃにできるなんて、怪獣ってとっても素敵だわ?
「今度はあっちで遊びましょうか。
見慣れないものもそれなりにあるし?」
ずしぃぃん……
どしぃぃん……
焼け野原にした中心地をあとにして、海の方へ。
といっても、この大きさだから移動はあっという間に着いてしまう。
このあたりは高い建物がない代わりに海側特有の施設がちらほらあるみたい。
幻想郷だと見かけないものがあって興味深いわ?
「このあたりは船を泊める場所みたいね。
こんなに大きな船は初めて見るかも?」
たしか港というのだったかしら。
今は船が2つ泊まっているわね。
前から後ろまでの長さは私の身長の半分くらいありそう?
すぐ近くには色とりどりの箱がたくさん積まれているけど、何かしら?
ゆっくりと屈んでから箱を摘まみ上げてみる。
さすがに中は見えないから、開けちゃいましょうか。
ベリベリベリッ!
「これは……果物みたいね。
こんなにたくさん……」
柑橘系の果物が大量に入っていた。
こういうものを使って遠くに物資を運ぶのが目的の船のようです。
せっかくなので食べちゃいましょうか。
「あーん……」
中身を口に落としていく。
なかなか美味しい……
もっと食べちゃいましょうか。
箱の色が同じだから中身もおそらく同じ。
でもひとつひとつ開けていくのは面倒……
「はしたないけど、歯を使って……」
バキバキッ!
箱の外装を噛みちぎってみると、思ったより簡単だった。
しかも思ったより変な味はしないし、むしろ歯ごたえがいいかも?
むしゃ、むしゃ……
思い切って箱ごと食べてみる。
太巻くらいの大きさだけど、噛みごたえも良いし味も問題ない。
ちょっとしたおやつにいいかも?
どんどん食べ進めて、食べ終わるとまた別の箱を摘まみ上げていく。
こっちはリンゴ?
こっちはみかん?
食べてから味が分かるのもちょっとした驚きがあって楽しいかも。
「ふう、ごちそうさま。
思ったよりお腹が膨れたかも?」
全部で4箱くらい食べちゃった。
少し動き回ったからちょうどいい補給になった。
それにしても、こうやって箱がつまれていると悪いことを考えるときがあるわよね。
積み木で作られた建物を片付けるときに思い切って崩してみたくなるというか……
どかぁぁん!
ずどぉぉん!
そう考えた瞬間に体が先に動いちゃった。
積み上げられている箱を蹴散らしていったり、一気に踏みつぶしていったり。
普段は理性で抑え込んじゃうことを構わずやってしまえるのも
この遊びのいいところよね。
「箱の方はこのくらいにして、次はこっち……」
どしぃぃん……
ざばぁぁっ……
箱はひととおり蹴散らしたから、次は船の方をオモチャにしちゃう。
一旦海に入ると、立っている状態でちょうどお腹あたりに来るから遊びやすそう。
「とりあえず……えいっ、えいっ!」
どかぁぁん!
どごぉぉん!
手をグーにして腕を振り下ろして船に叩きつけてみると、
船の甲板を叩き割ることができている。
船の上に乗っている箱もまとめて叩きつぶしてみたり
手で払って海や港にばらまいてみたり。
ただ、何度も叩きつけているけどなかなか奥の方までは壊せていない。
結構難しい……これだと何十回もかかりそうでじれったい。
「んー……そーれっ!」
バシャーン!
バキバキバキッ!
思い切って全身でのしかかることにした。
さすがに全体重をかければなんとかなるだろう。
予想通り、体を押し付けたところが一気に沈んで
船の底までぺちゃんこにすることができた。
中にたくさんの水が入ったみたいで、船はそのまま沈んでいった。
「船って案外頑丈なのね……
でも、今ならこれがあるから……」
港に泊まっていたもうひとつの船に近づいて、思い切り背を向ける。
膝を曲げて前屈みになって、尻尾を大きく上に上げて……
ずどぉぉん!
力いっぱい振り下ろしてみれば、船が真ん中で綺麗に真っ二つにへし折れた。
これだけでもいいけど、ダメ押しでもう一撃。
どかぁぁん!
今度は尻尾を横振り。
尻尾が当たったところは粉々になったけど、まだ形を保っている。
だけどそのおかげで水面から離れて、港の倉庫に激突してしまった。
「これだけボロボロにすれば充分な気もするけど……
このままだと頑張れば修理できないこともないわよね。
……ちょっとくらいなら出せるかな?」
すぅーっ……ごぉっ!
ずどぉぉぉぉんん!!
少しだけ力をためて息を一気に吐き出すと、火球を放つことができた。
いろいろやっている間に破壊光線の力がある程度回復したみたい。
火球だけならあんまり力を使わないみたいだから、使い分けるといいかも?
ボロボロにした船に直撃させれば倉庫ごと大爆発。
粉々になって跡形もなくなっちゃった。
興奮のあまりまた体が震えてしまう。
体が少し水に浸かっているのも理由かもしれないけど……
「これでこのあたりはおしまい、っと。
あとはあそこを襲えばこの街は終わりかしら。」
ばしゃぁぁっ……
ざばぁぁっ……
海を挟んだ反対側に見える地区へと移動する。
海といっても足の付け根までは濡れないくらいだから大したことはないけど。
陸の方を見ればさっき焼き払った中心地がまだまだ燃えている。
あれを私がやったと思うとドキドキしちゃうわ?
「さてと、ここは工場地帯というものだったかしら。
ここも特徴的な建物が結構多いわね。」
海のお散歩もあっという間に終わって、目の前に広がる工場地帯を見渡してみる。
あちこちから煙が上がっていて、縦横無尽に管が張り巡らされている。
いろいろな建物が集まっているし、
円柱の建物や球形の建物なんてものも見えるわね。
それじゃあ上陸……と思ったけど、
船がひとつ泊っている。
さっきまで遊んでいたものとはちょっと形が違うみたい。
「船をオモチャにするのはさっきやったし、かといって見逃すのも……
そうだ、それなら……」
船を両手で捕まえるとそのまま持ち上げてみせる。
案外軽いものね。
「これを、えいっ!」
ぶぅんっ……
ずどぉぉぉぉんん!!
工場地帯に投げつけてみる。
船が空を飛ぶなんて面白いでしょう?
船が地面に叩きつけられた瞬間に大爆発が起きちゃったのはちょっと驚いたけど……
このあたりは燃えやすいものが集まっているのかしら?
「いろいろなところから煙が上がっているし、それもそうよね。」
ずしぃぃん……
どしぃぃん……
ようやく上陸。
まずは目の前にあった大きな煙突を引っこ抜いてみる。
屈んでから根元をつかんで、一気に引き上げる。
どこぉぉん……
案外簡単に引っこ抜けちゃった。
大きさは私の身長の半分の半分くらい、こん棒みたいな感じ?
「それなら……えいっ、えいっ。」
ずどぉぉん!
どかぁぁん!
引き抜いた煙突で別の建物を叩きつぶしてみる。
煙突は早速欠けちゃったけど、建物の方も屋根が割れたり外壁が崩れたりしている。
意外と頑丈かも?
ズガガガガガッ!
今度は横になぎ払ってみて建物を一気に壊しちゃう。
尻尾でなぎ払うよりは大したことないけど、建物を粉々にしちゃうくらいはできた。
「あっ、もう折れちゃった……
まあ頑張った方かしら。」
さすがに人間の作ったものだから脆くても仕方ない。
へし折れて使い物にならなくなった煙突は適当に投げ捨てて、
今度は別の建物を襲ってみる。
まずは円柱形の建物。
お酒を造るときの樽に近い気がするけど、こんなに大きいのは見たことがない。
「よく分からないけど、それっ。」
どすぅぅん!
なんでもいいから壊してしまおう。
簡単に踏みつぶせるのは予想通りとして、
踏みつけた瞬間に中から液体があふれ出てきた。
明らかに水ではない。
この感触は、油?
「もしかして、ここで使う燃料が入っているのかしら?
これがばらまかれたら大変なことになりそう?」
ずどぉぉん!
どかぁぁん!
実際に大変なことになるかたしかめてみよう。
この燃料入れを蹴飛ばしてみれば工場のあちこちにたくさんばらまかれていく。
もしかしたらさっき投げつけた船の中に燃料がたくさん入っていたのかしら?
足元にある燃料入れは全部蹴散らしたから、火をつけたときが楽しみね。
「そしてもうひとつ気になっているのが、これ。」
バキバキバキッ!
今度は球形の建物を引きちぎって持ちあげてみる。
思ったより軽いから、中には何も入っていなさそう?
「何も入っていないのかしら……
それにしてもこの形、とっても投げやすそう。」
腕を振り上げて、適当なところに投げつける。
ずどぉぉぉぉんん!!
地面にぶつかった瞬間、爆発が起こった。
何も入っていないはずなのにこんなに爆発するなんて……ちょっと驚いちゃった。
もしかして気体の燃料もあるのかしら?
それはさておき、今の爆発でさっきまき散らした燃料に引火しちゃった。
火の海が広がっていく。
「うーん、思ったより地味ね……」
たしかにあちこちの建物に引火して火事になっているのだけど、
さっき船を投げたときと比べて全然燃え上がっていない。
だったら私が燃やしてあげましょうか。
ゴォォォッ!
どごぉぉぉぉんん!!
ここに来るまでに充分回復したから、しっかりと破壊光線を撃つことができた。
そのまま工場地帯をどんどん焼き払っていく。
「ふう。
このくらい派手な方が楽しいわ?」
破壊光線を止めたときには工場地帯で燃え上がっていない建物はひとつもなく、
あちこちで爆発音が絶えず響き渡っている。
炎の温もりも心地よいし、なにより征服感がたまらないわね。
あとは放っておけば勝手に燃え尽きて何もなくなるし、
この街もこれで全滅だから次の街にでも行こうかしら。
と、体が震えあがる。
興奮もしているけど、これは……
「……催してきちゃった。」
怪獣のパーツになっている下半身以外はずっと裸で、
しかもしばらく海を歩いていたから体を冷やしたのかもしれない。
怪獣だからお外でするしかないけど、
かといって海に流すのもちょっともったいない。
「それなら……」
目を閉じて、胸の前で手を合わせて……
ゴゴゴゴゴゴ……
再び変身の術を使う。
今度は巨大化だけの変身。
視点がだんだんと高くなって、
さっきめちゃくちゃにしたところがよく見える。
足跡、尻尾の跡、そして火の海。
ここにあった街が私によって滅ぼされたと思うと、ドキドキしてしまう。
そんなことを考えているうちに巨大化が止まる。
さっきまでの10倍、つまり身長約2,000メートル。
「男の人は立ってやるのも当たり前みたいだし、
いっそのことこういうところも思い切って……」
しょわぁぁぁぁっ……
火の海と化した工場地帯に向けて、
両脚を少し広げてから抑えていたものを解き放つ。
黄色い水が私のお股から勢いよく火の海に降り注いでいく。
「上は大水、下は大火事。
これなーんだ……なんちゃって。」
お外で、ほぼ裸で、立ったまま出す。
こんな経験は普段はできないし、そもそも恥ずかしくて絶対にできない。
でも今なら、そんな恥ずかしいこともできちゃう。
それに、一度出したら止められるものでもない。
全部ちゃんと出し切って……
「はぁ……すっきり。
これはこれで、クセになっちゃうかも……?」
ひとしきり出し終えてから足元を見てみる。
大きくなることでたくさん火を消せるかなと思ったけど、
さすがに工場地帯全部の火は消せなかった。
けど、大体は消せたみたい。
黄色い水たまりに沈んでいるところもあるわね。
火の海のままっていうのも悪くなかったけど、
こうやって消すのも私の思うがままっていうのも良いかな、って?
ただ、結構においが広がっていてちょっと恥ずかしい……
出すこと自体は気持ちよかったのだけどね?
「とりあえずこの街はおしまいということで……
せっかく大きくなったのだし、別の街でもう少し遊んじゃいましょう。」
ずずぅん……
どすぅん……
街をあとにして海へ入り、別の街へ向けていざ出発。
この大きさと足首くらいまでしか濡れないけどね。
大きくなったから次の街はもっと大変なことにしてあげるんだから。
------
『思ったより派手に遊んでいてちょっと驚きだけど、
思いきりが良くてなかなか楽しそう?』
阿求は私に気づいていないけど、
後ろから見守っているのも結構楽しいね。
邪魔しないようにこっそり見ているから、逆に気づかれたくはないけど……
さっきのアレとか小鈴に見られて恥ずかしい、なんて言われかねないし?
一緒に遊ぶと誘われてはいないけど、
阿求が今夜遊ぶと予想して本を使ったら予想通り。
なかなかいいものが見れて私もドキドキしている。
阿求はまだまだ遊ぶつもりだし、もうしばらく見ていようかな。
私が遊ぶときの参考にもなるし、2人で遊ぶときにも楽しめそうだからね?
------
おしまい。
Comments
ありがとうございますー。 いい場所で見てみたいものですね
ナーヴ
2024-01-15 14:51:00 +0000 UTC阿求さんの蹂躙とてもよき... 間近で眺めてたい...玩ばれたい... 連れ去られて飼われたい... 特等席から見せつけられたい...(*´ч`*)
八雲橙
2024-01-14 22:52:36 +0000 UTC